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2018年2月22日更新
傷小さく効果高い「超音波吸引法」|教えて!ドクター当山<201>
春先になるとポカポカと汗ばむ日もある一方で、気になり始めるのが脇の下の臭い「ワキガ」や汗ジミができるほどの「多汗」。「毎年春休みに入ると、本土への大学進学や就職を控え、ワキガ・多汗の改善を希望するフレッシャーズが多く来院されます」と当山美容形成外科の当山拓也院長。そんなワキガ・多汗が起こる原因や施術について話を聞いた。
遺伝性のあるワキガ
超音波で汗腺破壊し吸引
ワキガ・多汗症の改善に
―ワキガとはどういうものですか?
当山
脇の下の臭いは大きく分けると次の二つに分類できます。
一つ目はワキガ。こちらは毛穴近くにあるアポクリン腺から出る汗が一番の要因です。遺伝性があり、アポクリン腺が発達する思春期に気になり始めますが、本人はまったく気が付かず、ご家族など周囲の方に促されて来院される方が多いのが特徴です。
一方で、汗で湿った皮膚に雑菌が繁殖して起こる臭いもあります。こちらは誰にでも起こるものです。
治療の際には、脇の下に挟んでもらったガーゼで、どちらが原因なのかを見分けることから始めます。
―ワキガの場合は、どのような治療法がありますか?
当山
保険診療と自費診療の2種類の手術があります。
保険診療は、脇の下を4センチほど切開し汗腺をもれなく切除する「皮弁法」ですが、傷痕が大きく残ってしまう上、止血用のガーゼが取れるまで1週間ほど必要です。そこで当院でお勧めしているのが「超音波吸引法」です。
これは超音波の物理的な衝撃によって組織を破壊・吸引する施術法。脇の下を1.5センチほど切開し、そこからボールペンの3~4倍の太さのハンドピースを挿入して行います。施術時間は両脇合わせて1時間半ほどです。自費診療ですが、出血も抑えられますので術後の合併症も少なく、止血用に固定したガーゼも1~2日ほどで取ることが可能。抜糸は10日後です。
―超音波はワキガにも有効なんですね。
当山
はい。昨今はワキガ専用のレーザーも登場していますが、それだけではなかなか悩みが改善しないと来院される方も少なくありません。その点、当院がお勧めする超音波吸引法は以前からある治療法ですが、これまでの経験から、患者さんの体への負担が少なく効果が高いのが分かっている治療法の一つです。
多汗はボツリヌス菌注射
汗と雑菌抑え臭いにくく
―多汗の治療法は?
当山
超音波吸引法で改善するのはあくまでワキガ。多汗を改善するにはボツリヌス菌注射を併用する必要があります。また、ボツリヌス菌注射で汗を抑え雑菌を繁殖しにくくすることで、臭いが気にならなくなるケースも多いもの。春休みに入ると施術希望者が増え、予約が取りづらくなりますから、施術を考える方は早めに来院し相談されることをお勧めします。
汗腺の種類
ワキガの原因となるのが毛穴近くで汗を出す「アポクリン腺」。下着を黄ばませ汚れる原因にもなる。興奮したり緊張したりする際に汗を出すのが「エクリン腺」で乾きにくい特徴がある。
超音波吸引法の仕組み
脇の下を1~2センチほど切開して皮下にハンドピースを挿入。超音波領域の周波数を振動させて汗腺の組織を破壊し、吸引する=上・下図参照。
当山拓也 氏
当山美容形成外科 院長
当山美容形成外科 院長東京医科大学卒業後、東京大学医学部形成外科学教室入局。東京警察病院、杏林大学形成外科等で研さんを積む。リッツ美容外科・東京院、東京西徳洲会病院形成外科・美容外科医長、アヴェニュー表参道クリニック副院長をへて、一昨年4月に医療法人形成会当山美容形成外科副院長に。昨年6月、同院院長に就任。
<この記事に関する問い合わせ先>
医療法人形成会 当山美容形成外科
098-867-2093
http://www.touyama.com
Eメール info@touyama.com
※次回は「針脱毛」です。
<過去記事一覧>
『週刊ほーむぷらざ』 教えて!ドクター当山<201>
第1596号 2018年2月22日掲載