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2021年4月1日更新

「女性の健康週間」オンライン市民公開講座|更年期 悩まず受診し適切なケアを

3月1日~8日の「女性の健康週間」にちなみ、「女性の健康週間市民公開講座YouTubeオンラインセミナー『今こそ考えたいトータルヘルスケア』」が3月6日に開催された。県内の女性医師3人が、更年期を乗り越えるための備えについて講演。263人が視聴した。(共催・沖縄産科婦人科学会、(公財)おきなわ女性財団、大塚製薬(株)ニュートラシューティカルズ事業部)

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琉球大学病院 
周産母子センター 助教
赤嶺 こずえ 氏

 

更年期症状 エクオールで症状緩和も

閉経の前後5年間を更年期といい、女性ホルモン(エストロゲン)の減少によって引き起こされる、心身の不調を更年期症状と言う。ほてりやだるさなどがあり、日本人女性で一番多い症状は肩こり。疲れやすさ、頭痛と続く。

治療法には女性ホルモンを補う方法があるが、持病や病気の既往歴によっては、その治療が行えない。そのような人や女性ホルモンを補う治療法を希望しない人には、漢方薬や、作用は穏やかだが、エクオールという成分を含むサプリメントを使用する方法がある。エクオールとは、大豆イソフラボンの代謝産物で、女性ホルモンと似た働きがあり、更年期症状の緩和が期待できる。その他にも、ヨガやウオーキング、など適度な運動はストレスを解消し、更年期症状の緩和に役立つ。

更年期症状は必ず全員に治療が必要ということではなく、日常生活に支障をきたすほどの不調がある人が治療の対象。

また、更年期に起こる体の不調全てが更年期症状とは限らず、別の病気が隠れている可能性もある。症状があれば無理をせず、婦人科の受診を。



琉球大学病院 
腎泌尿器外科 助教
芦刈 明日香 氏

 

骨盤臓器脱・尿失禁 生活の質 低下につながる

女性は更年期以降、女性ホルモンが減少すると、骨盤臓器脱や尿失禁に悩む人が増える。骨盤臓器脱とは、腸などの臓器を支える骨盤底筋が女性ホルモンの減少によって弱まり、膣から腸や子宮が体外に出る症状のこと。10人に1人の割合で発症し、出産回数の多さや、加齢に伴ってリスクが高まる。

くしゃみや重いものを持ったときなど、腹部に力が入ると起きやすい腹圧性尿失禁も、骨盤底筋が弱まると起こる症状。尿道を適切に締められなくなることが原因。手術でも改善できるが、尿道や膣、肛門に力を入れて締めたり緩めたりを繰り返す「骨盤底筋訓練」も役立つ。

排尿トラブルの過活動膀胱も多い。①我慢できないほどの尿意の切迫感②日中8回以上トイレに行く③夜中に1回以上尿意で目が覚めるのどれかに当てはまると、過活動膀胱の可能性がある。

どれも命に関わりはしないが、生活の質の低下につながる症状。泌尿器科は年齢や男女問わず診察を行っているため、日常生活に支障があれば、泌尿器科に相談を。



中部徳洲会病院 整形外科 部長
高江洲 美香 氏


骨粗しょう症 適度な運動で骨を強く

閉経後の女性は、骨粗しょう症のリスクが高まる。骨には古い部分を壊す破骨細胞と、新しい骨を作る骨芽細胞があり、破骨細胞が骨を破壊し過ぎないように抑制するのが女性ホルモン。閉経で女性ホルモンが減少すると骨がもろくなり、骨粗しょう症になりやすい。

骨粗しょう症になると、骨折しやすくなる。県内における大腿骨(ももの付け根)骨折の発症は、男性が全国1位、女性が2位。大腿骨骨折で寝たきり生活になる人もいるため、1年以内に死亡する割合が24%という調査結果もある。

骨量のピークは20歳頃で加齢とともに下がるため、骨粗しょう症対策は早ければ早い方がいい。骨作りには、骨の材料になるカルシウムと、その吸収を助けるビタミンD、カルシウムの骨への沈着を助けるビタミンKが必要。また、適度な運動は骨を強くして骨折のリスクを減らすので、女性には一日40~60分のウオーキングがおすすめ。

骨粗しょう症は薬での治療も可能。バランスの良い食事をとって適度な運動を行い、必要であれば薬で治療することで、健康に過ごすことができる。




琉球大学病院
周産母子センター 教授
銘苅 桂子 氏


情報得て更年期の理解を

更年期の症状は個人で異なり、尿失禁や骨粗しょう症は誰にも相談できずに生活の質を落すことがある。しかし、更年期障害は期間限定。症状を和らげる治療があるので、今回のようなセミナーで情報を得て、一人で抱え込まないでほしい。更年期を理解し、対応することが健やかな老年期のカギになる。

沖縄の女性は家事や育児、仕事に追われて自身の健康を後回しにしている人も多い。女性の健康が家族の幸せにもつながる。我慢し過ぎず、体のケアも大切に。


 

更年期に注目の成分「エクオール」


大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されて作られる成分エクオールは、女性ホルモンと似た働きをして、更年期症状の緩和が期待できると注目されている成分。日本人では約50%の人が体内でエクオールを産生することができないが、エクオールを含むサプリメントで補うことができる。県内では調剤薬局や医療機関で販売中。乳酸菌で発酵させたエクオールを一日当たり10mg摂取することで、肩こりやホットフラッシュの改善、骨密度の維持、シワの面積の抑制などの研究報告があり、活用してみるのもよさそう。


『週刊ほ〜むぷらざ』「女性の健康週間」オンライン市民公開講座
第1756号 2021年4月1日掲載

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