「言葉にならない」|本村ひろみのコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

本村ひろみ

2019年11月6日更新

「言葉にならない」|本村ひろみのコラム

フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。fun okinawaコラム「おきなわ暮らし散歩 Vol.60」

「言葉にならない」

暑さは体にまとわりついて、なんだか体も重たくなるし動きも鈍くなる。だけど、涼しさはいろんなものを開放していっきに気分まで軽くする。
朝夕の風が涼しい季節になりましたね。見上げる空も秋の表情。いつもの散歩道の色彩も秋をまとい始めました。
2019年も残すところあと8週間ばかり。あたりまえですが月日は止まることもなく、無常にも過ぎてゆく。振り返って後悔している時間なんてない、そう思えるほど淡々と毎日が駆け足です。









さて芸術の秋を楽しもうと、少し強い北東の風が吹いていた10月終わりの水曜の午後、沖縄県立博物館・美術館で開催されていた「現代彫刻展 上條文穂と波多野泉展」へ出かけた。沖縄県立芸術大学に縁のある作家お二人の彫刻展。お会いしたことないのに県芸の教授というだけで勝手に親近感いっぱい。上條氏の温かみのある大きなテラコッタ作品は「街と彫刻展」でも目にしていたが、今回の展示会では木で作られた「ひとは」シリーズや、壁一面に展示された「八月の果て」など、近年の木彫の作品を見ることが出来て充実の展示会だった。繊細で詩的。
“素材との対話”を大切にしながら展開してきた、と上條氏が仰っているように、対話のさまざまな手法が鑑賞できた。



波多野氏の展示会場入り口にはコロンとした金箔(きんぱく)の大きなオブジェが置かれていた。作品名に「鼓(追想)」と記されている。膨らんだ鼓のなかに思い出が詰まっているのかな、などと思いながら改めて作品を見ると愛嬌(あいきょう)のある羊のような生き物にも見える。作品を包む空気がやわらかい。
ポスターにもなっている「animal eyes(女)」や「滅びゆくものたちへーanimalism」など力強いまなざしの作品と、真正面に向かい合ってみたり、斜め横からソっと眺めてみたりと、作品の見つめる先を想像した。
 出口近くに赤いジャケットを着た男性の像があった。
作品「城を葺いた男」。
この作品は2013年に制作されたもので首里城の赤瓦を作った奥原崇典氏の像だった。あの赤を再現するために試行錯誤、研究を重ね尽力された奥原さん。その像を前に、今年やっと完成した首里城へ思いをはせた。

彫刻作品は時間の層。そして作家の制作する時間は瞬間の非連続。
そして作品に作家の言葉が濃縮されている。
それを感じる、とても見応えのある現代彫刻展だった。



その翌日の朝。
私たちは現実のものとは思えない映像を目のあたりにした。
燃える首里城。
言葉にならない。ただただ涙があふれてきた。
県芸に通う道のり、見上げれば緑の木々の合間に赤瓦の首里城があった。
あたりまえの風景はあたりまえのものではなかったと気づく。
そして
さまざまな思いを胸に、私たちはまた歩み始める。
琉球の誇る建築技術、伝統美の集大成となる新しい首里城のために。

本村ひろみ

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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