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新城和博

2019年9月3日更新

「オードブル・ウークイ供え物じょーとーやさ」仮説|新城和博のコラム

ごく私的な歳時記Vol.64|首里に引っ越して20年。「ボーダーインク」編集者でライターの新城和博さんが、この20年も振り返りながら、季節の出来事や県産本の話題をつづります。



「オードブル・ウークイ供え物じょーとーやさ」仮説

 今年のお盆は、沖縄の旧暦のお盆、いわゆる旧盆と、全国的な月遅れのお盆が同じでしたね。つまり旧暦七月十五日と新暦八月十五日が一緒だったというわけですが、そうか全国的には、最近できた休日「山の日」が八月十一日なので、お盆休み、さらに八月十五日の終戦の日と、休みが続いているのだなぁ。
 今年は、お盆三日目のウークイにトートーメーに供えるおもちを、牧志の公設市場界隈(かいわい)で買った。ここ数年、お盆オードブルと一緒にスーパーで頼んでいたのだけど、第一牧志公設市場が工事のため仮設店舗に移転した夏、ということもあって、定点観測的に市場通りをぶらぶらしながら、お盆のおもちも買ったのだ。
 昔は母親に頼まれて、お盆のお菓子全般を買いにいっていたこともあったけど、久々に立ち寄った製菓店は意外と空いていた。もちろんたくさん準備されているおもちやお菓子は、どんどん買われていくのだけど、きわめてスムーズにお盆の買い物ができた。一つずつパッケージされていないおもちを選ぶと、すこしだけお盆テンションがあがる。年々市場でお盆の買い物をする人は減っているというけど、そこに市場がある限り、旧盆の買い物に出かけるスタイルは消えないとは思う。



 最近はお盆の準備、特に供える料理をスーパーで用意する需要が増しているようだ。年々充実するお盆用のチラシを見ていて、そう思う。特筆すべきは、お盆にオードブルというのが完全に定着し、なおかつ供え物としても活用されてきた、というところだろう。
 実はお盆の供え物は伝統的に昔から決まっているかのようにみえるが、例えば、くだものなどには流行がある。今の定番ともいえるパイン、リンゴ、バナナなどはよくよく考みると、昔からあったはずはないのだ。最近のはやりでいうと、キウイとか。
 しかしウークイという肝心要の日に備えるお重は、三枚肉、カマブク、クーブなどの、「ザ・旧盆・オールスターズ」ともいうべきセットである。したがってスーパーもかなり力をいれてお重セットを売り出しているが、なかなか高価である。そこで、どうせならより、ウサンデー(供えたあとのおすそわけ)に、みんなが食べやすいものを、ということでオードブルが少し格上げし、供え物として活用されはじめてきた……のではないかという、「オードブル・ウークイ供え物じょーとーやさ」仮説をたててみる。行事の供え物としていけるかどうかの判断は、とても興味深い問題なのである。ケンタッキーフライドチキンは、結構定着しているという話も聞いたことがある。では、いまや沖縄料理として紹介されるタコライスはどうか……などなど。
 そういえば、そもそも年中行事にオードブルが定番化したのはいつごろからだろう。他府県はどうなんだろう。疑問はつきない。これらの諸問題は来年のお盆までの課題としておこう。
 御願が通るか、通らないかは、あなた次第です! 
 ちなみにお盆の間じゅう、こんなことを考えて続けていたわけではありません。

 ウークイの翌日、市場通りを歩いていたら、シャッターの閉まったお店に、正しいお盆休みの張り紙を見つけた。(※写真参照)


 

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ライター/編集者
1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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