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新城和博

2025年10月27日更新

鳥づくし|新城和博さんのコラム

ごく私的な歳時記Vol.129|首里に引っ越して30年ほど。「ボーダーインク」編集者でライターの新城和博さんが、季節の出来事や街で出会った興味深い話題をつづります。

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家のすぐ裏の森からホウホウホウと声がする。

日が落ちると森は気配を変え樹木のシルエットが思いのほか際立ち、昼間とは違う存在感を漂わせる。その森の奥からホウホウホウと、鳴き声がする。今年はいつも以上に鳴き声の頻度が高い。深夜のざわめきという感じなのだ。

うちの裏の森にはフクロウがいる。一度だけその姿を見たことがある。

たぶんその鳥の名はリュウキュウコノハズク。うちの前の電線の上に、鳩のようにとまっていた。夕暮れどき、そのシルエットはどうみてもフクロウ。存在感がすごかった。ちなみに電線に逆さにぶら下がっているオオコウモリのシルエットはよく見る。

鳴き声でネット検索すると、ヒットしたのはコノハズク。ホウホウホウと間髪なく響いている。

すこし前までは、ゆったりと間をあけてホウホウしていたのに、よく聞くとなんだか被さり気味にホウホウしている。もしかして複数のコノハズクがいるのかしら。そうだったらなんて素敵なのだろう。

そんなことを考えていたら、新聞で那覇の街中の公園にコノハズクがいたという記事が掲載されていた。意外とコノハズク、身近な鳥なのかもしれない。

そういえば今年はアカショウビンの、キュロロロローの鳴き声も、梅雨の始まりからそろそろ十月も終わろうとする最近まで、森の中から響いていた。今年の梅雨はなんだかよく分からないままに始まりすぐに終わったので、アカショビンも鳴き納めの時期を誤ったのかもしれない。


今年はサシバの鳴き声もよく聞こえた。この季節、数少ない那覇・首里の森を定宿のように立ち寄るのだ。今年は長く滞在しているのか、朝夕、鳴いている。

曇り空にくるりと舞うサシバ(黒いシルエット)
 
渡りは毎年のことではあるけれど、森の上空でくるりと飛翔する彼らの姿を見ると、なにかしらいいことがあるんじゃないかと、かってに思ったりしている。吉兆というやつだ。

キーッ、キーッと、どこかしら幼い響きで鳴きあう二羽のサシバは、渡りの打ち合わせでもしているか、今夜のとまり木を探しているのか。

今朝も鳴いていた。ようやく風が冷たくなり、曇り空の上空高く、ゆったりと旋回していた。今週いいことがある、と思うことにした。


蝉や蛙や鈴虫たちの鳴き声をあまり聞かなかった今年の夏から秋。その分、よけい彼らの鳴き声が気になったのかもしれない。これまでの季節感のズレを感じつつ、ようやく秋の到来をしみじみと感じた。

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ライター/編集者
1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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