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新城和博

2021年9月14日更新

突然の贈り物  第3回この沖縄本がスゴい!受賞作『ぼくの沖縄〈復帰後〉史プラス』のこと |新城和博のコラム

ごく私的な歳時記Vol.87|首里に引っ越して20年。「ボーダーインク」編集者でライターの新城和博さんが、この20年も振り返りながら、季節の出来事や県産本の話題をつづります。

緊急事態宣言が日常となってしまった今年の夏、突然の贈り物という感じで、「第3回この沖縄本がスゴい!」受賞作に、『ぼくの沖縄〈復帰後〉史プラス』が選定された。この賞は「沖縄県内の本屋・取り次ぎ・出版関係者が協力し、県内の読書普及を図るべくおすすめの1冊を選定し、その本を最大限PRして県内の出版社も盛り上げよう」という企画。地元の本屋さんに選んでもらったのだ。ありがたい。にふぇーでびる。サンキュー。感謝に堪えません。



この本は、ぼくが沖縄の日本復帰40年にあわせて、沖縄タイムスで2011年から2012年にかけて連載したエッセーを元にまとめた。1972年の復帰の年から(小4でした)これまでの沖縄の社会的出来事を個人的な体験を重ねて書いた、私的な現代史という内容。ボーダー新書として書籍化したのが2014年だったので、さらに書き下ろしを含めた文章を加えた。その後さらに増補したので2018年までのことを「プラス」をつけて増刷して、さらに今回の受賞を機に、19年、20年の出来事をこっそり付け加えている。

「プラス」の部分は思い起こすというより現在進行形のことばかりだったので、この連載で書いていたエッセーをいろいろ引用している。もうとっても役に立った。自分の記憶もいまはネットのなかにあるのだ。このサイトで連載してからも沖縄はほんといろいろあったんだなぁと思いつつ、来年は復帰50年である。

 記憶をよみがえらせるというのは、若いときとはちがって、歳をとってくると、いろいろ案配が変わってくる。ぼくの場合は、那覇を見渡せる、どこか高いところから、遠くの風景を眺めている感じ。40年前、30年前のほうがなぜかクリアに見えたりするのです。記憶という風景を描くときは、モノクロの映像に、今手にしている絵筆をもって色彩を加えるようなもの。いわゆる「後付け」なのだ。遠くみえる風景の方がうまく着色できるのは、それらがひとつの物語としてある程度定着しているから。一方ここ数年のことは自分の思いとの距離感が定まらず、構図が不安定でタッチも戸惑い気味になってしまう。逆にうまく思い出せない。まだ物語として熟成されていないのだ。

8月から9月にかけて大展開している地元書店でのフェアの甲斐あって、新しい読者から感想を聞くことが増えた。同世代の方ならみんな共通の記憶体験として共感してもらえるのだけど、20代の読者もいろいろ思い出すらしい。「復帰後」というとイメージは「昭和」なのだけど、実は「平成」がまるごと入っているのである。そんな彼女たちが思い描く復帰後の沖縄という風景は、ぼくとはまた違う色合いになることだろう。

というわけで、緊急事態宣言のなか、ゲキ推ししてもらっている『ぼくの沖縄〈復帰後〉史プラス』、沖縄の本屋さんでぼくが腕を組んでお待ちしています。

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ライター/編集者
1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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