[彩職賢美]音楽家のホプキンソン上原江吏子さん|アイルランドで歌広め|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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彩職賢美|沖縄の輝く女性にインタビュー

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彩職賢美

2019年2月7日更新

[彩職賢美]音楽家のホプキンソン上原江吏子さん|アイルランドで歌広め

エネルギッシュで目力が強い。ホプキンソン上原江吏子さん(58)は、アイルランドに住む音楽家。昨年、指導する少年少女合唱団が、アメリカのカーネギーホールに出演した。「音楽を通して世界の文化に触れ、多様性を知ってほしい。それが、平和につながる」。アイルランドへ移住したのは、古謡に魅せられたから。原点は、家で聴いていた祖父母の民謡だ。

歌は国を超えて平和願う

音楽家
ホプキンソン上原江吏子 さん

幼いころ、毎日祖父母の歌う民謡を聴いて育った。祖父母は石垣島出身。「小さなころは内気で、父の後ろに隠れるような子。よく本を読んだり、歌っていた」

そんな上原さんが自分を表現できたのは、舞台だった。上京後、劇団四季研究所を経て旅行出版会社で働いた。仕事で世界を飛び回り、週末は音楽活動をする日々。多忙で体調を崩した。「物質に囲まれた生活が苦しくなって」、アイルランドに移住したのは34歳。導いたのは歌だった。

その2年前、妹と世界一周旅行の途中にアイルランドを訪れる。歌声パブで客数人が歌っていたアイルランド民謡に、心をつかまれた。「手を取り合って目をつむり、ゲール語で歌っていた。魂を共有している、という感じで。大好きなアーティスト、ケイト・ブッシュも歌っていた歌。こぶしがきいて石垣の古謡にも似ていた。探していたものだ、と」

物質的には貧しいながらも、心温かな人たちがたくさんいた。「沖縄にすごく似ているんです。歴史的に大国に支配され続けて、その中でもユーモアを忘れずに切り抜けていく精神とかね」。現在は、イギリス人の夫と2人の娘と共に暮らす。


今、力を入れているのが子どもたちの合唱教育だ。「アイルランドには正規の音楽の授業が無いことが多く、宗教、民族音楽以外に触れることが少ない。音楽を通して、さまざまな文化や価値観を伝えたい」

フランス語や日本語など、さまざまな国の曲を歌う。カーネギーホールで歌ったのは、ベネズエラの作曲家が作ったスペイン語の合唱組曲。多彩なラテンのリズムを習得するため、子どもたちにサルサダンスや打楽器も学ばせた。「言葉にリズム、音階、ダンス。音楽から、世界の多様性が見えるんです」

合唱団の中には、外国から転校してなじめず、登校拒否になった子もいた。歌を通して自信を取り戻し、高校卒業の資格の取得を目指す施設に通うようになった。「教えていて良かったなと思う」

「田舎にいても、やればできる。世界は広く、出ればつながると知ってほしい」。時には寄付を募り、積極的に海外へも遠征している。

2年前に出演したプラハの音楽祭の歓迎パーティーで、世界中から集まった若者が声を合わせて「ウィ・アー・ザ・ワールド」を歌った。「国際的な問題が起きたときに、出会った人たちの顔が浮かべば争いは減る。交わること、出会うことは大事」

自身も、世界のウチナーンチュが連携し、沖縄を支援する「世界うちなんちゅ同盟GUA」の設立に関わり、沖縄の現状を歌で世界に伝えるイベント「ビッグ・シング」を企画している。

移住し、生き方は大きく変わった。「はっきり言わないとコミュニケーションが成り立たないし、社会も変えられない。意見を言うのは責任を伴うけれど、鍛えられた。沖縄は辺野古を始め理不尽なことがある分、考える土壌があり、可能性がある」

日本の女性を取り巻く環境には、疑問を持つ。「子育てや家事の負担が大きく、スーパーウーマンじゃないと働けない。でも、沖縄は働く女性に肯定的だし、元気な女性も多い。わがままと言われても、自分が輝くことはいいことだと肯定して」。力強いエールを送る。


アメリカのカーネギーホールに出演

上原さん提供

昨年6月、カーネギーホールに出演した合唱団の子どもたちと上原さん。テレビニュースにも取材された。出演のきっかけは、たまたま地元の人がユーチューブにあげた動画を、コンサートの関係者が見ていたこと。「向こうの子どもたちは、やんちゃでエネルギッシュ。その良さを生かしながら、やる気を上げるためにはどうしたらいいかを一番考えます。毎年、夏季学校に参加して新しい曲や指導法に触れてブラッシュアップしています」


上原さんのハッピーの種

約5000坪の土地で、「サスティナビリティーな生活をしている」と話す上原さん。数えられないほど多くの種類の花を育て、時には市場に出荷している(上原さん提供)

Q.リラックスできるのは、どんな時間?
花、中でも原種のバラが大好き。人見知りなところがあるので、一人でする庭作業は心落ち着く時間です。育てた花を飾ったり、イチゴをつんで、マフィンを焼いたり。ぜいたくだなぁという実感があります。


上原さん提供

石油を使わずに生活していて、冬は一日中暖炉に泥炭をくべます。食べる物も地元の旬のものだけで、大変なこともありますけどね(笑)。最近、友人が包装の要らない量り売りのお店を始めました。アイルランドでは、公共施設でのビニール袋やプラスチック容器の使用禁止が決まり、環境への意識は高いです。



PROFILE
ホプキンソン・うえはら・えりこ

1960年生まれ。那覇市で育ち、1982年に琉球大学音楽科卒業。上京し、劇団四季研究所を経て、デュオ「真南風」として活動。94年にアイルランドに移住。音楽教育や演劇、ダンスパフォーマンスに、出演者や演出家として携わる。ウエストポート少年少女合唱団、ユースクゥワイア監督。

撮影協力/アルテ崎山


週刊ほーむぷらざ「彩職賢美」|輝く女性を応援!
今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1325>
第1645号 2019年2月7日掲載

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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