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2018年12月20日更新

[彩職賢美]コラムニストの伊是名夏子さん|身長100センチ 子ども2人

「布団をかぶろうとして引っ張ったら、骨がポキッと折れちゃって」。伊是名夏子さん(36)は、骨が弱い「骨形成不全症」だ。身長100センチ、体重20キロ。10人のヘルパーに支えられ、2人の子を育てながらコラムニストとして活躍している。「骨折中も、これが過ぎれば楽しいことがある、と思っていた。やりたいことがたくさんあるんです」。単身での海外留学、妊娠、出産。周囲の反対をものともせず、思いをかなえてきた。

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子育てはヘルパー10人と

コラムニスト
伊是名夏子 
さん

骨折を繰り返して両腕は曲がり、頭の重みを支えられず、背骨も曲がっている。耳の骨が弱くて右耳は聞こえず、左耳には補聴器。歩けず、常に電動車いすを使う。

それでも、伊是名さんは「歩ける人をうらやましいと思ったことは一度も無い」とことも無げに言う。「2人の姉を見て、歩けたらごみ捨てしないといけないのか、と思っていた。姉が苦手なお菓子作りを手伝うこともあったし、苦手なことも得意なこともあるわよねって」。

7歳、骨折時に泣くと振動で余計に痛くなると分かり、「もう泣かない」と決めた。「そしたら親は、『泣かない痛みだから大したことない』と思い、病院に連れて行ってくれなくて。ひどいでしょ」と笑い飛ばす。

小中学校は支援学校に通っていたが、周囲の反対を押し切り、首里高校へ進学。その理由を、「校風にあこがれたのと、気になる人が行くって聞いて」とチャーミングに笑う。校内に段差があり、移動時は友人に抱っこしてもらった。「お願いするのは最初はドキドキしたけれど、それしか方法は無かったから」。多くの友人に囲まれ、生徒会や放送部に所属、高校生活を満喫した。

卒業後、東京の大学へ。一人暮らしは「すっごく楽しかった」。当時、出会った夫とは、伊是名さんのアプローチから始まった。「気になる人には積極的に声をかける。だってワクワクするじゃない?」と屈託がない。

バリアフリー先進国のアメリカ、福祉国家のデンマークへ単身留学。異なる福祉を経験し、世界が広がった。



「やりたい!」と思ったら、チャレンジしてきた。中でも、妊娠・出産は大きな出来事だった。

「子育てがしたかったので、出産が難しければ養子を考えていたんです。いいお医者さんに出会い、出産できる可能性があることが分かった」。子どもが、自身と同じ障がいを持つ可能性は2分の1。だが、「自分の経験もあるし、同じ障がいがある子を育てているママもいる。大学院で未熟児のリスクも学んでいたので、不安は無かった」と、迷いは無かった。

31歳に妊娠。「想像以上に順調」で、9カ月で男の子を出産。その2年後、女児を出産し、2児の母となる。

伊是名さんには、子どもを片手で抱き上げたり、ミルクのお湯を沸かすことは難しい。人生で最も大変だったのが、「下の子が1歳になるまでの2人の育児」だった。日中はヘルパーに支えられたが、夫は夜勤があり、夜9時から朝まで一人。「危ない状況にならないよう、準備をして細心の注意を払う。それでも予想通りにいかず、私も体調を崩したり。一日一日、乗り越えるのに必死でした」

現在、娘は3歳、息子は5歳に。子育ての傍ら、コラムの執筆に精を出し、「助け合う」をテーマにした講演会は50回を超えた。2019年4月には、子育ての本を出版予定だ。

活動的で常にポジティブに見えるが、「よく落ち込んで、食欲が無くなるし熱も出る」意外な一面も。それでも、「どんな人生も、良いことも悪いことも同じくらいだと思っている。変えられないことにとらわれるより、目の前のことをやるしかしかない」と言う。経験から生まれた言葉が、心を打つ。


もっと知りたい!伊是名夏子さんのこと


2歳差の子育て、楽しいけど大変!

伊是名さん提供

現在、息子は5歳、娘は3歳。伊是名さんは、二人に身長を追い越された。子どもたちは、車いすに一緒に座りたがる。「息子が1歳の時、あんまりかわいくて、二人目を考えたんです。もう少したったら、イヤイヤ期が始まっていたはずだけど(笑)。2人の子育ては楽しいけれど、2歳差なので、とっても大変!」

洋服探しに一工夫

伊是名さん提供

取材時には、赤とゴールドのネイルをしていた伊是名さん。洋服探しにも、一工夫。「子ども服を着ていますが、子どもっぽくならないよう、海外ブランドのファストファッションや、フリマアプリのメルカリでお手頃に購入しています。体が変形していてユニークな体型なので、合う服を見つけるのは難しいのですが、合うメーカーを見つけたら、それを中心にそろえています。オシャレには自信がないので、ワンピースが中心です」

気持ち伝えるラインスタンプ

伊是名さん提供

最近ハマっているのが、友だちが作ってくれた顔写真入りのラインスタンプ。「夫にはなかなか言えない『ありがとう』や怒った気持ちをスタンプで伝えます。角が立たず、笑いになります」


伊是名さんのハッピーの種

Q.関心があることは何ですか?
性教育です。体と自分を大事にするために欠かせません。特に障がいがあると、女性として見られにくく、自分自身も女性であることを考えないようにしてしまいがちです。自分を大切にして、相手を思いやることも、性教育がベースになります。自分の好きなことを大切にして、相手の生き方も認められるように、子どもたちも一緒に勉強しています。



PROFILE
いぜな・なつこ

1982年名護市生まれ。沖縄育ち。2001年首里高等学校卒業、早稲田大学第一文学部に入学。大学在学中03年アメリカサクラメント大学に交換留学、04年デンマークに留学、06年大学卒業。08年那覇市の小学校で英語指導員を経て、結婚。13年香川大学大学院教育学研究科修了。第一子を出産。15年第二子を出産。現在は神奈川県在住

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今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1321>
第1639号 2018年12月20日掲載

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この記事のキュレーター

スタッフ
栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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