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2018年8月23日更新

[彩職賢美]就労継続支援B型事業所 「みみの木」の金城美保恵さん|県内第1号の手話通訳士

雇用契約に基づく就労が困難な人に就労の機会を提供する就労継続支援B型事業所「みみの木」(那覇市)。同所の生活支援員の金城美保恵さん(60)は、ろう者(聴覚障害者)が行う封筒の箱詰めなどの軽作業のサポートを担う。さらに沖縄県手話通訳問題研究会(沖通研)の手話講習班のメンバーとして、手話通訳士の育成にも力を注いでいる。

就労継続支援B型事業所「みみの木」生活支援員 社会福祉士・手話通訳士・精神保健福祉士の金城美保恵さん
 

ろう者によりよき環境を

就労継続支援B型事業所 「みみの木」
生活支援員 社会福祉士・手話通訳士・精神保健福祉士

金城美保恵 さん

「ろう者は、周りに手話をできる人が少ない環境で生活する人が多く、自分の思いを話したくてもなかなか難しい。そのため引きこもりがちになってしまうことも」と金城さん。そんなろう者の働く場であり、仲間と集う場となっているのが同事業所。利用者同士が作業をしながら活発に手を動かし会話をする光景が見られる。「静かだけど実は、仕事のことからプライベートのことまで、手話で熱い討論や提案、意見交換が行われています」。
現在、50代から80代までのろう者が働いている。そんなろう者の業務やコミュニケーションを円滑に進められるよう、サポートするのが金城さんの役割だ。
大切にしていることは、「なかま(利用者)がその人らしくいられること」。「これまでなかなか環境的に意思表示ができなかった人たちが、思っていることを言い合えることで、満足そうな表情をするのを見るとうれしいし、私にとっても仕事の励みにもなります」と話す。また、「自分の意見が言い合えるのが、この事業所の環境です。なかまが自分の気持ちを気軽に伝えられる。それは精神的安定にもつながります」と強調する。

「小学生のころ、教科書に盲学校の紹介があり点字に興味を持ちました。そして高校生になり、点字の講習会に参加しようと訪れた会場を誤って、手話を学ぶ会場に行ってしまったんです」と手話通訳を学ぶようになったきっかけを話す。
短大卒業後は「もっと手話を学びたい」と、東京へ行き、手話講習会や手話サークルに通い勉強した。帰沖後は障害者支援施設で働き、1989年に行われた全国初の手話通訳技能認定試験に合格し、県内第一号の手話通訳士取得者となった。その後、那覇市の手話通訳者として21年間勤め、その間、自らの活動の幅を広げようと社会福祉士の資格も取得。2016年、就労継続支援B型事業所「みみの木」開設に参画。NPO法人の手続きの書類作成などを行い、立ち上げから関わった。
金城さんには気になることがある。それは職業としての身分の不安定さだ。手話通訳者は非常勤や臨時職員の扱いが多い。「県内に正職員として働く手話通訳者はいません。それでは、手話通訳士を目指す人が増えないと思う。ろう者を元気づけ、やる気を促す手話通訳士が少ないことは、ろう者の社会参加の機会が減ることにもつながるのでは」。
そんな中、手話通訳者の行政職員を増やそうと沖通研が取り組んでいる。金城さんは沖通研の手話講習班の一員として手話通訳士育成にも力を入れている。「県内の手話通訳士の資格取得者は30人足らずで県外に比べ少ない。資格取得者を増やすことが、専門職としての正職員化のきっかけになれば」と力を込める。
金城さんは普段の業務に加え、沖通研が発行する「沖通研だより」の執筆も行う。「手話に関する文章を書くことで自分の気持ちを再認識し、ろう者のことを新たに考える機会になっています」と言う。「今後はB型事業所だけでなく、老人ホームも展開し、なかま同士が交流できる場を増やしたい」と考えている。




定期的に手話通訳士試験の勉強会も

手話通訳士を目指す人たちに向けた勉強会の講師として活動する金城さん。勉強会では、手話通訳士試験の過去問題の中から金城さんが厳選して出題し、解説する。「一緒に考えながら、ポイントをできる限り分かりやすく説明するよう心掛けています。時には、手話通訳士の合格証を参加者に見せ『この合格証を勝ち取って』と励ますこともあります」と金城さん。参加者のモチベーションアップにつながっている。
勉強会は、参加者に赤、青、黄、緑色のカードを渡し四択形式で回答してもらう。その際「1番だと思った人は赤を、2番と思った人は青を挙げて」という具合に進めていく。これは参加者全員の回答を把握しやすく、スムーズに会を進めるための工夫だ。
金城さんは、手話通訳士を目指す人に「手話も言語の勉強と一緒で、合格するには手話の歴史的背景や文化を学ぶことが大切」とアドバイスした。

勉強会では手話通訳技能認定試験の過去問題を出題し、丁寧に解説する=沖縄県総合福祉センター
勉強会では手話通訳技能認定試験の過去問題を出題し、丁寧に解説する=沖縄県総合福祉センター

<問い合わせ先>
就労継続支援B型事業所「みみの木」
098-988-8662



金城さんのハッピーの種

Q.休日の過ごし方は?
休みの日には、映画やお笑い番組を見たり、読書をしていることが多いですね。映画は、心が晴れやかになるハッピーエンドのものが好きで、読書では、アドラー心理学の本が好き。中でも、一番の楽しみは1歳の孫と近くの公園で遊んだり、一緒におやつを食べたりすること。心の癒やしにもなっていますね(笑)。

孫の望恵瑠(のえる)ちゃんと共に(写真は金城さん提供)
孫の望恵瑠(のえる)ちゃんと共に(写真は金城さん提供)



PROFILE|きんじょう・みほえ|1957年、北大東村出身。短大卒業後、手話を学ぶため東京へ。帰沖後、福祉施設などに携わる。1989年、第1回手話通訳技能認定試験を受け合格。92年、那覇市の手話通訳者に。2013年、社会福祉士の資格取得を機に那覇市を退職。行政機関で相談員を担った後の16年、就労継続支援B型事業所「みみの木」の生活支援員に。沖縄県手話通訳問題研究会の手話講習班として手話通訳士の育成も担う。
PROFILE
きんじょう・みほえ
1957年、北大東村出身。短大卒業後、手話を学ぶため東京へ。帰沖後、福祉施設などに携わる。1989年、第1回手話通訳技能認定試験を受け合格。92年、那覇市の手話通訳者に。2013年、社会福祉士の資格取得を機に那覇市を退職。行政機関で相談員を担った後の16年、就労継続支援B型事業所「みみの木」の生活支援員に。沖縄県手話通訳問題研究会の手話講習班として手話通訳士の育成も担う。




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撮影/比嘉秀明・編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1309>
第1622号 2018年8月23日掲載

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安里則哉

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日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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