[彩職賢美]伊良部漁業協同組合の普天間一子さん|島の宝は漁師と船|fun okinawa~ほーむぷらざ~

沖縄で暮らす・食べる
遊ぶ・キレイになる。
fun okinawa 〜ほーむぷらざ〜

沖縄の魅力|スマイリー矯正歯科

わたしらしく

彩職賢美

2018年3月29日更新

[彩職賢美]伊良部漁業協同組合の普天間一子さん|島の宝は漁師と船

彩職賢美の取材を依頼すると、「彩も賢も美もない。職だけ。普通のおばさんだよ!」と、ワハハと笑う普天間一子さん(58)。6年前、普天間さんが中心になって始まった伊良部島の漁師体験や民泊は、今では年間延べ6400人超が利用する島の事業の一つになった。「漁師が元気じゃないと、島が元気じゃなくなるさ」。行動力の源は、あふれ出る島の人への思いだ。



宮古・伊良部島編

伊良部島で民泊、漁師体験

伊良部漁業協同組合
普天間一子 さん

「民泊を始めるまでは、普通の事務員。年を取ってからが忙しいよ」と普天間さん。その行動力は、並大抵じゃない。

6年前、観光協会から普天間さんの勤める漁業協同組合に、県の離島体験促進交流事業として、民泊をしないかと提案があった。漁協の総会で提案されるも、無反応。見かねた普天間さんが、担当者に名乗り出た。伊良部島はカツオ漁が盛んだが、「将来的に、燃料の高騰や高齢化、後継者不足で、漁だけで食べていくことは難しくなる」と、漁師の将来を見据えてのことだった。

県の勉強会で「原石を探して」と言われ、「島の原石は漁師と船と魚。あのオジイ、このオジイに何させようかと、頭の中で構想が始まった」。

「波を切って走り、風を感じられるサバニは特別な体験。サバニに乗せて漁師体験をさせたい」。

実施には、漁師の協力が不可欠。一軒一軒、漁師の家を回って依頼するも、「魚を獲って生活をするのが漁師だろ」と取りつく島もなかった。「漁師を倒すのが最初の仕事(笑)。お金も出るし、午前中漁をした後でいいとお願いしても、最初はダメダメって言われて。何回も通った」。結果、普天間さんの粘り勝ちで、8隻のサバニを確保。民泊を受け入れる民家探しにも奔走し、離島体験の子どもたち150人を受け入れた。

スタート後も、さまざまなトラブルが起きた。「普通の漁師の姿を見せるだけでいい、と言ったら、漁師がタバコを吸う、空き缶を捨てる。学校の先生からクレームが来た」。

それから、「民泊や体験中は、酒もタバコも泳ぐのもダメ。出した食事は検食できるように取っておくこと」と決まりを作った。民泊中は、漁協のスタッフらと手分けをし、民家を回る。ケガや病気など、トラブルがおきたら夜中でも対処する。体制は整い、今では登録民家は約70軒に増えた。「『どんな体験より民泊がいい』と子どもたちは言うし、子どもたちが数年後に訪ねてくると、受け入れた家族は『うちの子たちが来た』と自慢する」と評判は上々だ。

長続きの秘訣(ひけつ)は、「客でなく、漁師に合わせる」こと。普段やっている通り、漁は早朝に行う。「無理をしたら長続きしない。私が一番に守るのは島の人。それをどうして輝かせるか」。始めたころから思いは一緒だ。

普天間さんは現在、民泊の子どもたちと民家をコーディネートするほか、集落を案内する「やーがまくーがま」を行い、漁師体験や魚さばき体験も手掛ける。島の人と外の人を結ぶつなぎ役だ。「一人では何もできない。みんなに助けられている」と何度も口にする。モットーは、「まずはやってみる。ダメなら、方法を変える。やるなら笑顔で、自分が一番楽しむ!」。ブレない、飾らない。そんな人柄に、自然と人が集まるのだろう。

伊良部大橋がかかって3年。現在、民泊の受け入れは学生が主だが、4年後には県の補助がなくなるため、自立に向けて取り組んでいる。さらに今年、新たな漁協の事務所が完成予定だ。島の環境は変わる。「これからは、もっと大人も受け入れて島を活性化させたい。橋をどう生かすかは、島に住む私たちの責任」。明るく、新たな道を切り拓(ひら)く。




いつでも側に読みかけの本
「飛行機が遅れた時、待っている時間が好き。ぼーっとできて、本を読めるから」と普天間さん。ハッピーになる本や漫画が好きで、いつでも読みかけの本を持ち歩いているという。家の本棚には、さまざまな本が並ぶ=写真。愛読書は、パール・S・バックの「大地」。中国の農民の一家3代を描いた小説だ。普天間さんは学生のころ読み、農民の力強い、ぶれない生きざまに感銘を受けた。




集う、笑う、楽しむ!
ストレス解消法は「人と集い、笑い、楽しむこと!」と普天間さん。写真は、婦人会のメンバーと伊良部大橋開通3周年記念ウオーキング交流会で、余興をした時(右側が普天間さん)。「佐良浜は漁師町で、男の人が漁に行く間、女性が家を守っていた。隣の人と協力しないとやっていけないから、自然と助け合っていました。今も家に帰ると、野菜や魚が置いてあったりしますよ」。
 中高時代のバレー部でもチームワークの大切さを知った。高校では九州大会に出場し、普天間さんはアタッカーだった。「協力することや、今すべきことを考えること、根性など、生きる力を学びました」。

伊良部漁業協同組合
0980-78-3119




普天間さんのハッピーの種
Q.休みには何をしていますか?
孫の世話をしています。お姉ちゃん(小1)と最近、保育園を卒園した双子の女の子=写真前列左2~4番目=がいるのですが、結構厳しいので「おばあ、ちらい(嫌い)」と言われることもあります(笑)。
子どもは3人、孫が3人います。子育てでは、「偉くならなくてもいい。人に迷惑をかけずに、責任の持てる行動をしなさい」ということだけ、話していました。

(上記3点の写真はすべて普天間さん提供)


PROFILE|ふてんま・かずこ|1959年伊良部島佐良浜出身。宮古高校を卒業後、那覇市へ。82年に結婚、愛知県名古屋市へ移り住む。86年、伊良部島へ戻る。89年から伊良部漁業協同組合で事務職として働く。2012年、漁協で県の離島体験促進交流事業に関わる。民泊や、集落を案内する「やーがまくーがま」、「カツオ一本釣り修行ツアー」などを手掛ける。
PROFILE
ふてんま・かずこ
1959年伊良部島佐良浜出身。宮古高校を卒業後、那覇市へ。82年に結婚、愛知県名古屋市へ移り住む。86年、伊良部島へ戻る。89年から伊良部漁業協同組合で事務職として働く。2012年、漁協で県の離島体験促進交流事業に関わる。民泊や、集落を案内する「やーがまくーがま」、「カツオ一本釣り修行ツアー」などを手掛ける。



週刊ほーむぷらざ「彩職賢美」|輝く女性を応援!
今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1294>
第1601号 2018年3月29日掲載

彩職賢美

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
栄野川里奈子

これまでに書いた記事:294

編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

TOPへ戻る