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2017年10月5日更新

[彩職賢美]牛飼い・フリーカメラマンの久高幸枝さん|毎日丸ごと闘牛女子

闘牛が盛んなうるま市石川で牛飼いの一家に育ち、牛と接して約40年、県内では数少ない女性牛飼いの久高幸枝さん(42)。牛の世話をしながら趣味で始めたカメラで、牛との日常や迫力ある闘牛のシーンを撮影するフリーカメラマンでもある。牛と暮らし、育て、撮り続けることで「闘牛の魅力を多くの人に伝えたい」と奮闘している。


 

闘牛の魅力を全身全霊で

牛飼い
フリーカメラマン
久高幸枝 
さん

牛のひづめを削る削蹄師(さくていし)の父・唯志さんの影響を受け、物心ついたころには牛の面倒を見ていたという久高さん。「小学生のころ、弟や妹と共に、父から『自分が担当する子牛を選びなさい』と言われ、それぞれ世話をして、誰が強い牛を育てるかと勝負していました。今思えば、牛飼いになってほしいという父のマインドコントロールだったかも」と笑う。

牛飼いとして朝晩の草やりはもちろん、散歩やタイヤを角で突いたりするトレーニングなど世話は多岐にわたる。「牛が目や表情で気持ちを訴えているのが分かるんです。汗の量が多かったり、目がうつむき加減だったりと細かな変化も見逃さないよう努めています」と、牛の体調管理には特に気を配る。「個性もそれぞれで、手なずけるのに時間がかかることもあるが、その過程でどんどん愛着が湧いてくる」とニッコリ。

牛の世話とともにフリーカメラマンとしても活動。カメラを始めたのは小学校5年生のころ。父の一眼レフカメラを触るうちに興味が湧き、コンパクトカメラを買ってもらったのがきっかけ。「芸術的な写真より、みんなの記憶に残るようなものを目指しています」。多い年で年間30回ほど開かれる闘牛大会では、牛が入退場する出入り口付近に陣取る。それを知ってか、多くの勢子が闘いの後は久高さんの方へ牛を向けたり、ポーズをとってくれるそう。闘牛のほか、地元で開かれるイベントをはじめ、七五三や生年祝いなどの撮影も手掛けている。

長く保育士を務めていた久高さんは、片頭痛があり主治医からはあまり体力を使わない仕事を勧められた。その際、「趣味のカメラを生かしたい」と、10年間勤めた保育園を辞め、カメラ販売店勤務を経て、ブライダルカメラマンに。充実した日々を送っていたが、日曜日も仕事が入るため、闘牛大会に足を運べない日が続いた。そのとき、「闘牛場に行けない悔しさからか、自然と涙が出ました。私は牛を撮るのが最も好きなんだと実感しました」。それからは、フリーカメラマンとして、闘牛を中心に撮影を続けている。

仕事も順調に見える久高さんだが、体調に気を遣いながら業務をこなす。片頭痛をはじめ、動脈の一部が裂け、血管壁内に血液が漏れる動脈解離や、脳の脊髄液が漏れ出し少なくなる低髄液圧症候群といった病気とも闘っている。治療のため数週間寝たきりだったことも。それでも、長期入院の際に数時間の外出が許可されたとき、真っ先に向かったのが、牛舎だった。

「牛に触れるのは私の生きがい。牛のいない人生は考えられない」。今でも久高さんが牛舎に行くときは、体調を気遣い兄弟が同行することも。「好きなことを続けられるのは、家族の支えのおかげ」と感謝する。

2013年には、これまで撮影してきた写真を一冊にまとめた写真集「闘牛女子。」を出版。ことしの8月にはその第2弾となる「闘牛女子。2」も出した。そんな久高さんを慕い、「私も闘牛女子になりたい」という、若い女性も増えている。

「他の仕事をしながら牛の世話をし、趣味の範囲で闘牛をする人が多く、お金がかかるのも事実。今後は牛と気軽に触れ合え、闘牛グッズが購入できる施設をつくりたい。そして、若い牛飼いたちを支援できる仕組みを作りたい」と熱い思いを語った。




技繰り出す瞬間を狙う
「闘牛は、闘う本能を持つ牛同士が繰り広げる真剣勝負で、1トンほどの巨体がぶつかり合うその迫力に圧巻されます」と久高さん。大会では、常に同じ位置でシャッターチャンスを待つ。「例えば、カケがはずれたら、押していくなど、技を繰り出す瞬間を狙っている」という。勝ち牛には大会中の写真をプレゼントしている。




みんなでつかんだ初勝利
9月17日に開かれた「敬老の日大闘牛大会」に久高さん(左から3人目)の牛「隼 ハート」が初出場し、2分足らずで勝利。久高さんが体調を管理し送り出しただけに「家族で勝ち取った初勝利」と家族みんなで喜んだ。(写真は久高さん提供)




闘牛をより身近に
うるま市石川のケーキ店「プティ・フール」では、商工会とコラボして、闘牛の写真などを飾った「闘牛ギャラリー」を設置。久高さん=写真=が撮影した作品もある。また、同店では闘牛のパッケージのお菓子も販売。同市の「神村酒造」にもギャラリーが設置され、闘牛カレンダーやポストカードなどのグッズも販売されている。




「闘牛女子」の新刊も
このほど、闘牛の迫力や牛飼いの家族のほのぼのとしたシーンを切り取った写真集「闘牛女子。2」を出版した。価格は1,500円(税別)、県内書店で発売中。そのほか、久高さんはSNSを活用して、闘牛の魅力を発信している。
https://ja-jp.facebook.com/闘牛女子-久高幸枝-1470734193231865/



久高さんのハッピーの種
Q.リラックスできる時は?
私にとって、牛と触れ合っているときが至福の時。牛舎にいる時間が家にいる時間より長いほどなんです。
家でも家族の話題は、もっぱら牛の話。今日の牛の様子だったり、「草を変えた方がいいのでは」であったり「あっちにいい草生えてたよ」とか「体調を見て、餌のコントロールした方がいい」など、アドバイスを受けることが多いですね。



PROFILE
久高幸枝(くだか・ゆきえ)
1975年生まれ、うるま市出身。牛飼い一家の長女で、小学校5年生から闘牛の写真を撮り始める。高校卒業後、専門学校に進学。1996年、保育士の資格を取得し保育園に勤務。2006年、趣味のカメラを生かしたいとカメラ販売店に転職。ブライダルカメラマンを経てフリーカメラマンに。2013年、写真集「闘牛女子。」を出版。ことし8月には第2弾の「闘牛女子。2」を発売した。



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撮影/比嘉秀明・編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1272>
第1577号 2017年10月5日掲載

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安里則哉

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日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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