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2015年6月11日更新

[彩職賢美]画家・アーティスト 山城えりかさん|幻想的な絵画で活字の世界広げ

書籍の表紙から裏表紙までを飾る装画。芥川、直木賞作家らの装画を手掛ける画家の山城えりかさん(35)は、独特の画風で活字の世界を彩り、広げる。「装画には手に取って初めて分かる世界がある。美しい女性をモチーフに、現実的なものを極力省くことで神秘性が生まれる。絵を通して、普遍性や見る人の想像力に結び付けたい」。その姿勢は作家や読者から評価を受けている。


 

神秘的な美しい女性描く

装画で独自の世界観を表現
画家・アーティスト

山城 えりかさん


本を手に取る。表紙には女性らしき人のお尻がチラリ。背表紙を通り、裏表紙には女性の顔。帯をはずして広げると1人の女性が室内に横たわる。山城さんの描く装画の一つだ。

「装画の魅力は絵を折り曲げ、本を包み込むことで遊びが入れられる点。帯がかかった状態で書店に並び、帯をはずし、折られた部分を広げると、新しい世界が発見できる」と、目を輝かせながら話す。画家として創作活動をしながら、2008年から装画というジャンルに関わり始めた山城さん。ネットで流れていた作品を見た装丁家から依頼され、芥川賞作家の津村記久子、金原ひとみらの本も手掛けている。

依頼があるとまず本を読む。作品のイメージを絵にするが、忠実に写実的に描くより、幻想的な描写が多い。「作品の内容とある部分、結び付けてはいるが、私が描く女性は登場人物というより自分が持つ女神像を表している」という。直接的な表現をしない点は独自の作風として高く評価される。

創作の中で追求するのは「普遍性」だ。「絵は時代性、生活感を省き、神聖さを出している。非現実的な世界を描くことで、自分が持っている普遍性を追求したいから」との信念が強い。

描く女性は全て美しい点が共通する。「女性目線で女性を見ているが、それは美しい女性をあがめたいという思いと、美しさには普遍性があると感じるから」。本にこだわる理由もある。「印刷物が好きですが、中でも書籍で使ってほしいという思いは強い。書籍には消費されずに残るという意味での普遍性があるから」と熱く語る。



帯をはずし、装画の持つ奥深さを説明する山城さん。「帯の下の隠された部分に、装画ならではの面白さや新しい発見がある」と語る


現在開かれている個展は、これまでの装画や描き下ろした作品を展示している。今回はこれまでにはない童話の世界にも挑戦した。そこにもあえて現実感を出さない作風は息づく。「モノクロで描くことによって、色が想像できる。白と黒という『規制された』中に広がる世界があり、私自身の表現の幅も広がる」と話す。

出産を9月に控えた山城さん。「絵本が好きで、児童文学にも興味がある。生まれてくる子どもの視点を通して、自分に新しい引き出しができればいいなと思う」と、新しい分野へのチャレンジに意欲を見せる。

2年前、東京から沖縄に仕事の拠点を移した。東日本大震災後、「安心して子育てできる環境にいたい」との思いから、同じく画家の夫とともに戻って来た。妊娠が分かり、診断の結果、女の子だという。「いろんな世界を共有したいと、女の子がほしかった。子どもが生まれたらどうになるのか、未知過ぎてよく分からない」と笑う。

絵を描きながら考えているのは「女性を応援して、元気付けたい」ということ。本の読者層が30代前後と、同世代の女性で、「本を手にとる瞬間は現実逃避し、癒やされ、エネルギーを持ってほしい」から。装画にこだわり、出産、子育てという新しいステージに挑もうとする山城さんは、創作意欲に満ちあふれている。


 

山城さんのハッピーの種

Q.趣味は?
アクセサリーをたまに作ったりします。何かを生み出すのが好きなんでしょうね。コットンパールを使ったネックレスとか、最近作りました。私の場合、仕事にするのでなはく、趣味にすることで気楽に楽しめます。

Q.作画の発想が湧くのはどんな時?
視覚的に刺激を受けた時です。主にネットを見ている時ですが、すてきな女性を見ると、インスピレーションが湧いてきます。そのエネルギーは自分でもびっくりするぐらいです。来日中に知り合ったフランスのミュージシャン、エミリー・シモンにも魅かれるものがあって、彼女をモデルにした絵を描くと自分にエネルギーが湧いてくるのが分かります。


山城えりか装画展
「物語る絵」~ものがたりを装う絵画展~

カフェ ユニゾン
沖縄県宜野湾市新城2-39-8(地図
MIX life‐style 2階
2015年6月29日まで開催
11時30分~22時
入場無料
http://www.cafe‐unizon.jp
098-896-1060

山城えりかオフィシャルWebサイト
http://erikayamashiro.com/



画家・アーティストの山城えりかさん
PROFILE
山城えりか(やましろ・えりか)1979年那覇市生まれ。2013年に帰沖する。2000年、美術大学進学のため上京。東京、沖縄で個展を多数開催、ロサンゼルス、香港などで展示会に出品。世界規模のアートフェア「マイアミアートフェア」にも出展した。国内では、芥川賞や直木賞作家らの装画家としても活動する。現在は糸満市に在住。



今までの彩職賢美 一覧

マイライフ|ファンオキナワ


撮影/比嘉秀明・編集/高江洲千里
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1172>
第1456号 2015年6月11日掲載

彩職賢美

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この記事のキュレーター

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ちぃちゃん

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元企画・編集プランナー
身の回りの「はてな?」や「なるほど!」を追い求めながら、好奇心のアンテナを張り巡らせて日々、取材中。何でもやるからには「徹底的」に。そのための息抜きも大切に。メリハリのある暮らしと、メリハリのある仕事のこなし方ができるよう心がけています。

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