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2015年11月19日更新

[彩職賢美]森林セラピストの宇良梨枝子さん|森林セラピーで心身を元気に!

森林で心身を元気にする森林セラピーのセラピストを務める宇良梨枝子さん(63)。長年看護師、ケアマネジャーとして医療や福祉に携わる中で、病気になる前の予防の大切さを痛感した。「高齢者と一緒に森へ行ったら、驚くほど元気になった」と森林セラピーに注目。毎週森に通い、自身もその効果を実感。「森の素晴らしさを伝えたい」と、にこやかに話す。

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森林セラピーで心身を元気に!

森林セラピスト
宇良 梨枝子さん


医療、福祉の視点で森へ注目

9年前に、ケアマネジャーとして高齢者らと地元の森を訪れた際、いつもと違う高齢者の姿に驚いた。普段は歩きたがらない人が森では楽しそうに歩き、活動的に。「懐かしい場所だからかと思ったのですが、その後、森林が体にいい影響を与える森林セラピーの理論を知って納得した」。

森林セラピーとは五感を意識し森を感じることで、心身の元気を取り戻すもの。癒やし効果が科学的に認められた森(セラピーロード)で受けられる。県内では唯一国頭村に、四つのセラピーロードがある。

宇良さんは6年前、村の講座で森林セラピーを知った。「病気の要因として、大きいのがストレス。森林でストレスが軽減され免疫機能が高まるという研究を見て、予防医学につながると確信」し、森林セラピーガイド、セラピストの資格を取得。以来、平日はケアマネジャーとして働き、週末に客を案内している。

森林セラピーでは、セラピーロードを3時間ほどかけて歩く。立ち止まって深呼吸をしたり、寝転がったり。「草花の香りや風の音、鳥のさえずり。意識を向けることで、さまざまなことを感じられる」と言う。セラピストは安全に配慮し、利用者の体調や要望に合ったプログラムを提案。心地良い過ごし方や、それに適した場所などを紹介する。

医療や福祉の視点からも、「段差の無いユニバーサルデザインのコースもあり、高齢者や障がいがある人も楽しめる。病状の重度化を防ぐのにも役立つ」と、可能性を感じている。

気持ちが沈んでいた人が活気付いたり、内にためていた思いを話し出したり、人により効果はさまざまだという。



森林セラピー協会のメンバーたち。左から中村実さん、島袋由里子さん、宇良さん、宮城敏郎さん、平良太さん。月に1回集まり、活動について話し合う


宇良さんは、子どものころから健康に関心があった。小学生で父を亡くして以来、母が体調を崩すと不安になった。「病気を知り防ぎたい」と、働きながら学べる看護の道へ。

看護師、ケアマネジャーとして医療や福祉に携わり、多くの人をサポート。生死にも関わってきた。「直接手に触れた方を見送るのは、心が痛かった」。その中で病気の予防への思いは、年々強くなった。

仕事柄、健康へのアドバイスを求められることも多く、自称“健康マニア”。子育てが落ち着き、時間にゆとりができた時に出合ったのが森林セラピーだった。「すべてが今につながっている」と振り返る。

大宜味村出身で、森は身近な存在。子どものころ、山に登り木の実を取るのが日課だった。子育て中は、子どもたちと森林公園へ遊びに来た。

それでも、セラピーを始めて新たな森の魅力に気付いた。「いつでも発見があり、自然って何て偉大なんだろうと思う。このワクワク感を伝えられたら」と笑顔を見せる。

「健康法の一つに、森を加えてほしい。ぜひ国頭の森へ」と、澄んだ瞳を輝かせた。


 

宇良さんのハッピーの種

Q.ガイドで印象的だったことは?

体の不自由な方に、2度森林セラピーを受けていただいた時のこと。1度目は車イスだったのですが、「ヤンバルの森に行くためにリハビリを頑張った」と、2度目は杖をついて散歩をされたんです。ヤンバルの森にこんなに魅力があるんだ、と感動しました。ご家族でいらっしゃって、ご家族が歩いている間は絵を描かれていました。
毎回、どんな出会いがあるのか、楽しみにしています。
 

Q.森でどう過ごしていますか?

一人で散策することが多いのですが、かなりゆっくり歩きます。1キロ弱に3時間ほどかけることも。コケを触ったり、ノグチゲラやアカヒゲのさえずりに耳を澄ませたり。時計や携帯電話を気にせず過ごすのは、この上ない時間です。
ヘツカリンドウという可憐な花が大好き。これから、薄ピンクのサクラツツジやヒメサザンカなど、さまざまな花が咲くいい季節です。

国頭村には四つの森林セラピーロードがある。
<森林セラピーの問い合わせ>
国頭村役場 経済課(森林セラピー担当)
0980-41-2122



PROFILE
宇良梨枝子(うら・りえこ)1952年、大宜味村生まれ。75年、神奈川県総合リハビリテーション事業団厚木看護学院卒業。76年に帰沖。名護病院(現県立北部病院)や診療所での看護師をへて、2000年からケアマネジャーとして介護に携わる。現在は特別養護老人ホーム北斗園に勤める。09年森林セラピーのガイド、12年森林セラピストの資格を取得。1男2女の母。



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撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1193>
第1479号 2015年11月19日掲載

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栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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