特集
2016年12月29日更新
両立しやすく 制度が変わる|残業減って売り上げアップ
ハッピーに働こう!|2017年1月1日から、改正育児・介護休業法が施行され、介護や育児をしながら働きやすい制度に変わる。制度の内容、県内の現状は? 専門家や企業の声から、新しい働き方を探る。
働き方改革 サンサン沖縄
残業減って売り上げアップ
県内でいち早く働き方を見直した(有)サンサン沖縄。創立20年、社員21人の不動産会社だ。本永尚和代表取締役(55)は「当初は不安だったが、やればできると腹を決めた」と話す。以前より労働時間は短くなり、売り上げは上昇。社員の定着率も上がっている。
終業が1時間早く
残業が多く、休みが取りづらかった同社。現在は残業は減り、9時~19時だった就業時間が1時間短縮された。働き方は①時短②日曜休み③正社員の3パターンがある。給与が異なり、選べる。
本永代表は4年前にワークライフバランス(仕事と私生活の充実)の講座を受講。「高年収が社員の幸せだと思っていたが、休みを求める人も。社員のニーズに応えたい」とコンサルタントに依頼。取り組みは社内の委員会が主体となった。
当初は社内でも賛否両論。委員の鬼塚里奈さん(34)は「残業が減ったら、売り上げが下がるのでは?」と反対していた。しかし話し合いを重ねるうちに「時間の制限ができると、仕事の効率が変わる」と意識が変化。委員会が定時帰社を推奨し、帰りやすく休みやすい雰囲気に。ことし4月、委員会が就業時間の短縮を提案し、代表が快諾した。
入社3年目、営業の豊平朝昭さん(34)は「以前は定時に帰りづらい雰囲気だったが、空気が変わった。帰れるよう時間配分し、仕事の内容が濃くなっている。急な休みは他の社員がフォローし互いに配慮する」と話す。主体的な取り組みで、「モチベーションが上がり、チームワークが高まった」と実感している。
本永とみ子専務取締役(55)は「社員から業務改善やイベントが提案されるようになった」と頼もしげだ。
小さくてもできる
取り組みは現在進行形。来年新たに、給与と別に社員の資格を生かし、利益を会社と社員で配分し合う「半独立」の働き方がスタート。「優秀な社員との相乗効果が望める」と本永代表。在宅ワークも検討予定だ。
本永代表は、「仕組みありきでなく、社員と思いの共有が大前提」と強調。その上で「小さな会社でもできる実績を作り、県内に広がってほしい」と思い描く。
コンサルタントの比嘉華奈江さん((株)ライフイズラブ)は「中小企業の多い県内だからこそ、トップが決めればスピーディーに柔軟に変われる」と可能性を感じている。
鬼塚さんは8月に結婚した。「多様な働き方があり、長く働けると思う。ただ、会社に甘えず基準も必要」。
一人ひとりが主体的に働く同社は、明るい雰囲気に満ちていた。
社長「トップが腹を決める! 仕組みありきでなく、思いの共有から」
社員「生産性が上がり、仕事が濃くなった」
社員「多様な働き方で、長く続けられる。会社に甘えず基準も必要」
社員「子どもが起きているうちに帰れる」「学校行事など休みが取りやすい」
写真後列の左から3人目が本永代表、4人目が本永専務
<両立しやすく 制度が変わる>
・休み方、時短 働き方広がる
・残業減って売上げアップ
・働き方は「量から質」へ
<わたしの働き方、自分らしく多彩に>
・那覇バス(株) 山城綾子さん
・トランスコスモス株式会社 池村佳枝さん
『週刊ほーむぷらざ』ハッピーに働こう!
第1537号 2016年12月29日掲載