Q.老後資金、どう計画する？（55歳以上）
A.運用で使える資産を増やす

世界有数の長寿国である日本。女性の平均寿命が８７．１３歳（厚生労働省２０２４年簡易生命表参照）なので、定年退職後の生活は２０年、３０年続くことを想定した老後資金準備が必要です。特に５５歳以上の方々は、「資産寿命」を意識した資産運用と生活資金や資産の管理がこれまで以上に重要な課題となっています。

「自分の資産で人生最後まで安心して暮らせるのか？」という不安を持つ方も多いでしょう。これからの人生を安心して過ごすためにも資産寿命を延ばし、安定した生活を送るために出来ることを考えてみましょう。

資産寿命を延ばす

まず、「資産寿命」とは何かを確認しましょう。資産寿命とは、自分の資産が生涯にわたり安心して使える期間を指します。平均寿命が延びる今、資産寿命を延ばすことは、自立した生活と心の余裕を保つために不可欠です。その第１歩は生活コストの把握と適正化です。現役時代から毎月の収入と支出を正確に把握し、無駄な出費を削減することが老後の資産寿命を延ばす第１歩となります。

資産を減らさない

「資産は減らさないこと」も大切です。低金利、物価上昇の影響で預貯金だけでは資産が目減りする可能性があります。リスクを抑えながら、資産を運用することで資産寿命を延ばすことができます。

図①は異なる利回りで管理されている２千万円を月額１０万円ずつ取り崩した場合の資産寿命の違いを表したグラフです。黄色の線が示すのは資産の利回りが０％で月額１０万円を取り崩すと資産寿命は２００カ月（約１６年８カ月）。言い換えると６５歳から始めると８２歳になる前に資産が枯渇することを指します。同様に緑色の線は資産の利回りが３％だった場合の資産寿命は２３年間、赤色の線は５％の場合の資産寿命は３４．５年間に資産寿命が延伸することを示します。
資産寿命の違いによって使える金額を表②にまとめました。利回り０％では使える金額が２千万円に対し、５％では４１４０万円（１０万円×１２カ月×３４．５年）と、スタート時点は同じ２千万円でも資産管理によって資産寿命を延ばして老後資産を守ることが可能になることが分かります。

リスク管理も忘れずに

資産管理は年齢やライフステージに合わせてリスク許容度を見直し、安定したリターンを目指します。特に５０代後半は急激なリスク上昇を避けてリスク分散による安定運用を目指して資産配分を多様化し、投資信託・株式・債券・現金など複数の資産に分散投資することで、市場の変動リスクを軽減します。

予期せぬ病気や事故、災害などに備えるため、必要な保険に加入しておくことも資産寿命を延ばす上で欠かせません。医療保険や介護保険、火災保険など、自分に合った保障内容を選びましょう。ただし、過剰な保険加入は資産効率を下げるため、必要な保障と保険料のバランスを意識することが重要です。

できることを１歩ずつ

少子高齢化や年金不安など、将来の生活設計がますます重要視される現代社会において、自分の資産寿命をいかにして延ばすかは多くの人にとって大きな課題です。

「もう遅い」と思わずに支出の見直し、資産運用、収入源の確保、健康管理など１歩ずつ始めることが大切です。５５歳からの資産管理は、未来の自分と家族の安心のための大きな１歩です。人生１００年時代を、豊かで安心して過ごすために、今日から資産寿命の延伸を意識して行動してみましょう。



おかだ・ゆり／ファイナンシャルアライアンス（株）沖縄支店所属。外資系企業を経て沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動

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『週刊ほ〜むぷらざ』マネーのヒント！㉑
第1999号　2025年12月04日掲載