健康
2024年8月15日更新
肩こり・首こりによる長引く痛み|カテーテル治療後は回復早く[新治療で長引く痛み改善⑦]
文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)
従来の治療で改善しなければ重症
肩や首の痛みは、多くの人が悩まされている世界的な健康問題です。2000年代に入り、パソコン・携帯電話・スマホの利用者が増え、肩や首に負担がかかるようになったため、肩こりや首こりの症状で悩む人が増えてきました。厚労省の国民生活基礎調査によると、肩こりで悩んでいる人の割合は男女ともに上位を占めています。40歳以上に生じやすい肩こり・首こりの症状
長い緊張で起こりやすく
肩こりや首こりは、僧帽筋という背中の筋肉の上部(よく肩もみをする部位)に痛み・重さ・硬さなどの症状が出ます。起床時や首を動かす時にズキッとする痛みを感じたり、鉛が入ったようなズーンとした重だるさを常に感じている方もいます。症状が強いと頭痛(特に後頭部痛)や吐き気を伴うこともあります。
原因は、外傷(交通事故によるむち打ちなど)、慢性的な首・肩への負荷(パソコン業務・育児など)、加齢に伴う首の骨の変形、更年期障害、精神的ストレスなどさまざま。40歳以上に生じやすく、男女差は特にありません。
超音波で原因明らかに
一方、肩こり・首こりを客観的に評価できる検査はほとんどありません。レントゲンで首の骨に変形が見られる方もいますが、さまざまな検査を行ったにもかかわらず、異常なしと判断されている方も少なくありません。当院の超音波検査で痛みの原因となるモヤモヤ血管が明らかになり、安心される方もいます。
一般的な治療法は安静、鎮痛薬、理学療法、鍼治療などの組み合わせとされています。軽症ならこれらの治療で改善する可能性はありますが、重症になると治療を続けているのになかなか改善しないという方も多数いらっしゃいます。従来の治療で一時的には良くなっても数日で元に戻ってしまう方は重症と考えてよいです。
効果的な選択肢少ない
重症の肩こり・首こりの方に、当院では運動器カテーテル治療を提供しています。手首の脈が触れる血管にカテーテルを挿入し、肩甲骨周囲や首の後ろまでカテーテルを進めて直接投薬することでモヤモヤ血管を減らす治療です。
経過には個人差がありますが、首を動かす時のズキッとした痛みやズーンと重たい感覚は1~3カ月かけて徐々に改善する傾向があります。元々が手ごわい痛みであるため、肩・首に負担がかかる職種だと繁忙期に一時的にぶり返す方もいますが、治療前より回復が早くなったと実感される方も多いです。肩こり・首こりは効果的な治療の選択肢が多くはありません。3カ月以上続く長引く痛みに対する治療の選択肢の一つになればと願います。
執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医・指導医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院
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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1932号 2024年08月15日掲載