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2024年8月1日更新
【企画】熱中症の現状、対策|熱中症の4割 「住居」で発生
那覇市で年間猛暑日が観測史上最多となり、県内で熱中症で救急搬送される人は昨年より増加。熱中症の一番多い発生場所は自宅を中心とした「住居」で、4割を占める。県の担当者は、「室内でも対策を」と注意を促す。
救急搬送増え 新アラートも
沖縄県保健医療介護部地域保健課の与那覇佑(たすく)さんに、熱中症の現状や予防法について聞いた。与那覇さんは「誰でもなりうるので、予防が大切です」と話す。
2.救急搬送される人の半分以上が65歳以上
Q 熱中症は増えている?
熱中症で救急搬送された人は、昨年より増加傾向=図4。昨年、一昨年と千人以上が救急搬送されていますが、今年はそれ以上に多くなる可能性があります。猛暑日は過去最多=図6=で、「熱中症警戒アラート」=図5=が発表される日も増加。熱中症のリスクは高まっています。
Q 発生している場所は。
最も多いのは「住居」=図1。窓を閉め切った室内は、屋外よりも高い気温になることがあります。室内でも水分・塩分の補給や風通しを良くするなどの対策をしていただければと思います。
Q 熱中症を引き起こす条件は。
気温が高い、湿度が高い、日差しが強い、風が弱い、という環境が要因の一つ。そうした環境で、激しい労働や運動で体内に熱がたまったり、暑い環境に体が対応できなかったりした時に、体内の水分や塩分のバランスが崩れて発症します。
Q 特に注意が必要な人は。
体温の調節機能が未発達な乳幼児や、暑さを感じにくい高齢者=図2、寝不足、飲酒、肥満、運動不足、体調が悪い、病気の人は、熱中症になりやすいとされています。ただし基本的に誰もがなりうるので、予防が大切です。
Q 予防には何をするといい?
「こ・え・か・け」をお願いしています。「こ」こまめな水分と塩分の補給。「え」炎天下を避け、日傘や帽子で日光を遮る。「か」風通しを良くする。「け」健康管理。睡眠、栄養をしっかり取り、適度な運動で暑さに負けない体を作りましょう。
Q 熱中症になったらどうする?
涼しい場所に移動して水分補給が基本=図3。自分で水分・塩分を補給できなければ病院へ。必要性を感じたら、ためらわずに救急車を呼んでください。
3.熱中症の主な症状と対処法
4.沖縄で熱中症で救急搬送された人は昨年より増加
5.4月から熱中症特別警戒アラートが新設
熱中症のリスクが高い際には、「熱中症警戒アラート」や「熱中症特別警戒アラート」が発表される。外出前に、天気情報をチェックしよう。
今年4月に「熱中症特別警戒アラート」が新設された。与那覇さんは「温暖化などの影響により熱中症で救急搬送される人が国内で毎年数万人を超えていて、死亡者も出ている。熱中症のリスクの高まりに備えてできた」と説明する。気温や湿度などを組み合わせた「暑さ指数(WBGT)」が県内16地点すべてで35を超える際に発表される。
「熱中症警戒アラート」は、県内を四つの予報区に分け、予報区内のいずれかの地点で暑さ指数33以上になると発表される。
アラートは天気情報などのニュースのほか、環境省のHP、公式ラインのアカウントでも確認できる。
「熱中症警戒アラートが発表されたら、涼しい環境で過ごす、水分・塩分を取るといった熱中症予防の徹底を。特別警戒アラートが発表されたら、自分だけでなく周囲の人にも気を配ってほしい」と与那覇さん。
6.那覇の猛暑日観測史上最多
那覇市で最高気温35度を超える猛暑日は今年7月で8日あり(7月23日時点)、1916年の7月と並んで観測史上最多。暑さの要因は何か。沖縄気象台地域防災推進課地球温暖化情報官の若松俊哉さんは「主な要因は、日射。梅雨明け以降、局所的に雨が降ったが、晴天が続いて日照が多かったことが大きい。さらに、7月中盤まで台風が来ず海面の水温が高いままであること、温暖化による上昇が影響していると考えられます」と説明する。気象台の予報によると、今後1カ月は晴れの日が多く、平均気温が高い確率が80%だという。
教えてくれたのは
沖縄県保健医療介護部地域保健課
与那覇 佑(たすく)さん
沖縄県保健医療介護部地域保健課
与那覇 佑(たすく)さん
取材/栄野川里奈子
毎週木曜日発行「週刊ほ〜むぷらざ」
第1930号 2024年08月01日紙面から掲載