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2024年5月16日更新

四十肩・五十肩による長引く痛み|骨ではなく異常血流が原因⁉[新治療で長引く痛み改善④]

文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)

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「夜痛む」「バンザイできない」は重症

四十肩・五十肩はモヤモヤ血管による長引く痛みが生じる代表的な疾患の一つ。40歳以上の方に生じやすいです。車の後部座席に手を回したときに腕をひねった、重たい物を持った時にピキっとした、犬の散歩中にリードを引っ張られたなど、軽い外傷がきっかけで肩の痛みが生じると考えられています。そのため、いつからか徐々に痛みが強くなってきて気づいたら治まらなくなっていた、と感じる方が多いです。

四十肩・五十肩の正式名称は肩関節周囲炎で、肩関節の炎症と、肩を包む袋である関節包が硬くなる線維化が起こります。炎症で痛みが生じ、関節包の線維化で動かしにくくなるのが特徴的です。具体的には、夜間痛により眠れない、腕を目の高さより上に挙げられない、背中に手を回せない、衣服の着脱が辛いなどがあります。

個人差はありますが、動かす時に少し痛みを感じる程度の軽症の方は、注射・鎮痛薬内服・湿布・リハビリ等の治療を行うと、数週間で治まることが多いです。一方で、夜間痛を伴いバンザイができないような重症の方は、なかなか自然には治まりません。なかには数年経過しても症状が改善せず、痛みを我慢し続けている方もいらっしゃいます。重症の方は鎮痛薬内服や湿布を使い続けても痛みが変わらない、レントゲン検査で骨には異常ないと言われているが痛みが治まらない、と大変不安そうにされています。





超音波検査で明らかに

当院ではこのような重症の方に超音波検査を行っています。検査で肩関節周りの筋肉・腱・血管などをチェックすると、モヤモヤ血管による異常血流が見られることが多いです。「レントゲン検査は異常がなかったが、超音波検査で痛みの原因が分かった」と安心される方は多いです。

重症の四十肩・五十肩の方は従来の治療でなかなか痛みが改善しないため、当院では運動器カテーテル治療を提供しています。手首の脈が触れる血管にカテーテルを挿入し、肩関節までカテーテルを進めて直接投薬することでモヤモヤ血管を減らす治療です。歯科治療と同じ部分麻酔で行うため、片側であれば30~60分程度。治療後1時間安静にしていただくため、午前か午後の日帰り手術となっています。

経過には個人差がありますが、夜間や安静時の痛みが早い段階で軽減することが多く、肩の動かしにくさは遅れて改善することが多いです。夜眠れるようになった、楽に衣服が着れるようになった、鎮痛薬の内服量が減ったなど、喜んでいただけることが多いです。




執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院


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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1919号 2024年05月16日掲載

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