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2023年5月4日更新
墓じまい|やってみよう、終活②
終活をする上で避けて通れないのが、お墓の問題。近年はお墓を撤去し、遺骨を新たな場所へ移す「墓じまい」を選択する人が増えているという。墓じまいの流れや注意点などを終活カウンセラーに教えてもらった。
墓じまい
お墓は代々家族や親族が受け継いでいくのが一般的であったが、昨今はその状況も少しずつ変化してきているという。沖縄県メモリアル整備協会の東恩納寛寿(ひろひさ)さん(46)は「以前は墓を閉めることは先祖に悪いことをしているのでは、といった意識があったと思います。近年はライフスタイルを重視し、自分たちに合った供養の形を考える人が増えています」と話す。
墓じまいとは、今あるお墓を撤去し、遺骨を永代供養墓など、新たな場所へ移して供養すること。「墓じまいと聞いてお墓を無くすというイメージを持つ方もいるかもしれません。そうではなく、お参りしやすい環境にすることで、将来、無縁仏になることを防ぎ、次の世代も有縁であるための前向きな解決策と言えます」と説明する。
「お墓の老朽化」「少子化でお墓の承継者がいない」などのほか、終活の一環として、「子どもたちの負担を軽減したい」というのが主な理由だという。
思い立った時が好機
墓じまいを進めるに当たり、最も大切ことは親族でしっかり話し合いをすること。「お墓を継いでいない親族でもお墓には思い入れがあるもの。きちんと話し合いをせずに進めてしまうと、『聞いていないぞ』などと、後に大きなトラブルに発展してしまうケースも」と注意を促す。
墓じまい後、永代供養墓や納骨堂など、遺骨の移送先を確認することも大切。何が必要か、どう進めていくのかの流れを把握することがスムーズに進めるためのポイント=左囲み参照。
墓じまいで質問が多いのが費用のこと。「ご遺骨の数で変わりますが、お墓を移す際に必要な改葬許可証の取得費用や出骨式の住職へのお布施などを含め、70~80万円が目安」と説明する。
ほかにも、「墓じまいするのにいい日ってある?」といった質問も多いという。東恩納さんは「沖縄ではお墓のことを進める場合、ことしのような閏(うるう)月(ユンヂチ)の期間(2024年2月9日・旧暦12月30日まで)が良いとされています。それぞれ事情やお悩みがあると思いますが、思い立った時が絶好のタイミングだと思います」と話した。
教えてくれた人
東恩納 寛寿さん
公益財団法人沖縄県メモリアル整備協会外部連携・終活支援部部長。
終活カウンセラー1級
墓じまいの主な流れ
(1)お墓の内部調査
改葬元のお墓を開け、お骨の状況や数を確認する。
(2)見積もりを行う
お墓の内部調査後、新しい納骨先で見積もりを行う。
(3)改葬許可証の取得
お墓のある市町村の担当課に足を運び、改葬許可証を取得する。※下図参照
※新しい納骨先から「受入証明書」を取得し、現在遺骨が納骨されている市町村の担当課から「改葬許可申請書」を入手し、必要事項を記入し提出。「改葬許可証」を取得する。
(4)出骨式の準備
現場周辺の除草作業や清掃を行い、出骨式当日の準備をする。
(5)お墓から出骨
出骨式を行い、遺骨を取り出す。
(6)遺骨の移送
遺骨を永代供養墓や納骨堂など納骨先まで移送する。
参考:公益財団法人沖縄県メモリアル整備協会「お供養GUIDE BOOK」
『週刊ほ〜むぷらざ』やってみよう、終活
第1865号 2023年5月4日掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 安里則哉
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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。