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2023年3月30日更新
[沖縄]琉球料理|清明祭の重詰め料理
ことしは4月5日から祖先供養の行事「清明祭(シーミー)」入り。沖縄で最大の墓前祭で、その行事に欠かせないのが重詰め料理。墓前に供える重詰め料理の供え方やレシピなどを松本料理学院学院長の松本嘉代子さんの著書「沖縄の行事と食」を基に寄せてもらいました。
供える時は昆布は墓前、肉は手前に
松本嘉代子さん(松本料理学院学院長)
清明祭には、4段重箱の2段に餅、2段に「御三味(うさんみ)」と言われる料理を詰めて供えます。2段ずつ供えるのが基本ですが、略式で1段ずつでも構いません。「赤カマボコ」や「結び昆布」などを入れ、見た目も美しく盛り付けて供えます。
一般的な「御三味」は、豚肉、揚げ豆腐、天ぷらなど料理は9品または、5・7・11・13と奇数で詰めるのが基本。清明祭では、墓前側に昆布、自分たちの側に肉がくるように供えます。
三枚肉、コンブ、ゴボウ、コンニャク、田芋を揚げて砂糖じょうゆで味付けしたのもなど、日持ちする煮物は前日に作ると良いでしょう。煮物は冷蔵庫で休ませることでより味がなじみます。時間のおけない揚げ豆腐や魚の天ぷらなどの揚げ物は、当日に作ります。
餅は、白餅だけでなく、あん餅やフーチ(よもぎ)餅、黒糖餅、トーナチン(きび)餅など好きなものを入れてもいい。重箱に合わせて型紙を作り、それに沿って具材を切りそろえると、きれいに仕上がります。
最近は便利になり、自宅で重詰め料理を作ることは減ってきていますが、手作りはひと味もふた味も違います。手作りにチャレンジしてみませんか。
墓前側
手前
2段重の供え方
2段の重詰め料理は上の写真のように供える。御三味は昆布が墓前側に、肉が手前に来るように置く。
4段重の供え方
4段重を供えるときは、御三味と餅をそれぞれ2段ずつ用意する。一組は墓前側に向け、一組は手前に向ける。
きれいに詰めるポイント
重箱の縦横の長さを測り、9等分してオレンジの部分の大きさの型紙を作る。型紙に合わせて具材を切りそろえると、収まりがいい。
重詰め料理に挑戦!
重詰め料理の中から煮物の代表的な料理3品をピックアップ。そのレシピを紹介します。
豚三枚肉
●材料(2箱分)
豚三枚肉1kg、かつおだし2カップ、泡盛(30度以上)3/4カップ、砂糖1/2カップ、しょうゆ1/2カップ
●作り方
1 鍋にたっぷりの水と塊のままの三枚肉を入れ、1度ゆでこぼす。再びたっぷりの湯に三枚肉の皮を上にして入れる。最初は強火にし、アクが出たら取り除き、中火にする。肉が浮いてきたら30分ほど煮る。さらに裏返して20~30分ほど煮る。※においがこもらないように、ふたは開けたままにする。冷ますときはゆで汁につけたまま冷ます。
2 型紙より少し長く切りそろえ、約1cm厚さに切る。※肉は熱を加えると縮むので大きめに切る。
3 鍋に分量のかつおだしと泡盛、2の肉を切りそろえたまま入れて煮る。次に砂糖を加えて、しばらく煮た後、しょうゆを加え、さらに中火でつやが出るまで煮付ける。
※泡盛は30度以上のものを使う。
結び昆布
●材料(2箱分)
昆布3枚、漬け汁適量、かつおだし1/4カップ、砂糖大さじ2、しょうゆ大さじ3、みりん小さじ1
●作り方
1 昆布は洗って塩を落とし、水に30分ほど漬けて戻す。漬け汁は取っておく。※ピンと張るまでしっかり戻す。
2 1の昆布を縦二つに折って、結ぶ。1本の昆布を連続して結ぶ(外れないようにするため)=写真。
3 2を1の漬け汁で軟らかくなるまで煮る。
※酢を小さじ1杯ほど加えると、早く煮える。
4 鍋に分量のだし、砂糖、しょうゆ、みりんを煮立て、3の結び昆布を入れて煮しめる。煮えたら一つずつ切り離す。
ゴボウ
●材料(2箱分)
ゴボウ2~3本、かつおだし1~1+1/4カップ、調味料(酒1/4カップ、砂糖1/4カップ、しょうゆ大さじ2、塩小さじ1/2)
●作り方
1 ゴボウは洗って皮をこそげ取って型紙の幅より少し長めに切り、太いものは二つ割りにして米のとぎ汁につけた後、軟らかくなるまで水からゆでる。
2 だしに分量の調味料を加えて煮立て、1のゴボウを入れて味が浸透するまで煮付ける。
毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1860号 2023年3月30日紙面から掲載」