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2021年12月16日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美|有限会社 高蔵住宅 代表取締役の安里 明友美(あゆみ)さん|看護の視点から不動産賃貸管理

創業者である父が急逝し、不動産会社を引き継いで3年になります。元々は看護師。地域医療や依存症治療に携わってきた経験を生かし、新たに訪問看護事業も始めました。看護の視点から人と不動産、地域をつなぐ生活総合支援事業として、誰もが健康で、安心して暮らせる街づくりに貢献したい。

日本一おせっかいな不動産に

有限会社 高蔵住宅 代表取締役
安里 明友美さん


足元の社会課題解決が原点
みんな笑顔で過ごせる街を


「社長案件、来ましたよ~」。スタッフから伝えられるのは隣室の騒音や室内へのごみの蓄積など、一般的には解決法に頭を悩ませるような内容ばかり。「こういったケースでは心の病を患っていたり、医療面のケアや行政との連携が必要な方も多い。看護の視点で見ると、賃貸管理の対応は180度変わります」

自ら現場に出向いて対応することもしばしば。身の上話を聴きながら、一緒にゴミ出しをしたり、行政や保健所、病院へつなげたり。「入居者にとっては、余計なおせっかいかもしれません。でも、そういった関わりが、ご本人や物件のオーナーさん、そして日々対応するスタッフの安心材料になると思っています」

那覇市小禄地区を中心に、約2千戸の賃貸管理を手掛ける高蔵住宅。創業者の父・高良達実氏が急逝し、看護師から転身。畑違いだと思っていた不動産業だったが、「賃貸管理業は、地域住人の健康増進、公衆衛生の向上を目指す地域保健活動に、とても近いと感じています」

先代が築いてきた地域密着の不動産事業にプラスできることは何か。入居者やオーナー、そして地域の役に立てることを考えたときに思い浮かんだのが、訪問看護事業だった。今年9月、在宅看護センター「ほっとやすらぎ高蔵」を開業。看護師・保健師として、訪問看護、健康相談に携わる。「看護師の先輩で居宅介護事業を手掛ける川畑武敏さんの協力で、思いのほか早く実現できました。賃貸管理と看護を組み合わせ、住む人の心と地域に寄り添うサポートを始めています」


小学3年生のとき、マザー・テレサの活動に感動したことが、看護の道に進むきっかけ。「マザーの『あなたのやることは、自分の足元にある』という言葉に、沖縄の社会問題の解決に取り組もうと決めました」

看護大学在学中は、女性と子どもの貧困問題、性教育などの地域活動にも関わった。卒業後は保健師として母子の健康福祉を担当。「アルコールやギャンブル依存のお母さんたちに出会い、回復と地域に戻る手助けがしたい」と、依存症治療で知られる琉球病院に就職。「依存症の治療は自分と向き合い、生き方そのものを見直すもの。生きるか死ぬかの究極の選択に立ち会う中で、人が変わる姿を見て、人ってすごいと思いました」

より高度な治療を学ぶため、先駆的なアルコール依存症治療を行う神奈川県の久里浜医療センターへ。大好きな看護の仕事に誇りと使命感を持って携わる中で飛び込んできたのが、父入院の知らせだった。「末期がんで余命1カ月。看護師としてたくさんの人の人生に寄り添ってきたけど、親の人生には無頓着でした。父の死を前に猛反省しました」

会社の継承者は未定。不動産業に携わっていた姉が継ぐものと、人ごとだった。「でも、生活の場をサポートする賃貸管理は、地域に根を張って取り組むことが重要。海外に住む姉では難しいと感じました。看護の仕事はいつでもできる。『私に継がせてください』と父にお願いしました」。亡くなる10日前のことだった。

「スタッフも不安でいっぱいだったと思います。みんなの生活を守るためにも、立ち止まってはいられませんでした。オーナーさんたちにも叱咤(しった)激励いただきありがたいです」

少子高齢化が進む中、高齢者や障がい者の居住支援、在宅医療の重要度は高まる。管理物件では訪問看護の見守り付きの入居も開始。「老朽化で貸しづらくなったアパートを、丁寧な支援をつけてお貸しすることで不動産活用につながると思う。介護施設だけではない選択肢を提供できる管理会社になれれば」。不動産と看護・介護を連携した取り組みで、みんなが笑顔になれる街づくりを目指す。



 亡き父に見守られて「忘己利他」の精神で地域密着 


事業承継を決断し、未経験の世界に飛び込む安里さんに対し、病床の父から贈られた最期のエールは、「チャースベリーするはずだけど(転ぶことばかりだと思うけど)、コツコツ続けなさい」という言葉だったそう。

「父が亡くなった後、会社の机を整理していたら、手書きのメモが出てきて。そこに書いてあったのが『忘己利他』という言葉でした」=写真。その後も事あるごとに、必要なタイミングで、励まされたり、いさめられる言葉のメモが出てくるのだという。

忘己利他とは、自分のことを忘れ、他の人々のために尽くすという意味。

「実直にコツコツ、身の丈にあった経営で、地域のために頑張っていた父の歩み、事業の方針そのものでした。スタッフもそれを地でいく人たちばかり。父の思いを、事業の軸として大切に引き継いでいきたい」



 看護の視点から居住支援研究 
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科の博士課程で学ぶ大学院生でもある。看護師時代の2018年に入学。女性のアルコール依存症治療プログラムの研究を進めていたが、事業承継に伴い休学。「看護の世界から離れたことで、辞めようかとも思いましたが、訪問看護事業を始めたことで、テーマを変えて取り組むことにしました」。

新しい研究テーマは、精神障害を持った方の居住支援。「新事業がスタートして忙しくなりましたが、『辞めるなんてもったいない』と応援してくださる方たちがいるので、修了まで頑張ります!」



明友美さんのハッピーの種

Q.日々の楽しみ、エネルギーチャージになっていることは?

リノベーションのアイデアを考えることです。古い建物が好きで、雑貨屋さんに行って照明や陶器を見ながら、「ここに置いたら、めっちゃすてきになるはず」と、イメージを膨らませてワクワクしています。好きが高じて、リノベーション協議会にも入会。自分のイメージとアイデアを、大工さんに施工してもらって、賃貸のワンルームをリノベーションしちやいました=写真。天井板を取り払って好きな照明を取り付け、キッチンを設置。レンタルルームとしてセミナーやアロマのワークショップ、ヨガなどに活用してもらっています。

問い合わせ先/高蔵住宅 098・857・7311


 


プロフィル
あさと・あゆみ
1982年生まれ、那覇市出身。沖縄県立看護大学を卒業後、那覇市や県で保健師として勤務。琉球病院、神奈川県の久里浜医療センターで、看護師として依存症の専門医療に13年携わる。2018年、(有)高蔵住宅代表取締役に就任。21年9月、在宅看護センター「ほっとやすらぎ高蔵」を開業。看護師・保健師として訪問看護、健康相談に携わる。筑波大学大学院博士課程、島尻倫理法人会会長。
 


今までの彩職賢美 一覧


撮影/比嘉秀明 文/比嘉千賀子(ライター)
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1394>
第1793号 2021年12月16日掲載

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