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2021年7月8日更新

[沖縄・輝く女性を紹介]彩職賢美|株式会社 日本バイオテック 海ぶどう事業部門「海ん道(うみんち)」 取締役常務 山城由希さん|沖縄の海ぶどう 世界へ広げたい

水温や塩分濃度の調整など、海ぶどうの養殖はとても手間がかかり難しいんです。時期によって収穫に波がありますが、その分、自分が頑張った成果も目に見えて分かり、そこにやりがいを感じています。「海の宝石」ともいわれる、沖縄の海ぶどうを世界へ広げることを目標にその魅力を発信し続けていきたい。

株式会社 日本バイオテック 海ぶどう事業部門「海ん道(うみんち)」 取締役常務 山城由希さん

気軽に利用できる施設目指す

株式会社 日本バイオテック
海ぶどう事業部門「海ん道(うみんち)」
取締役常務 山城由希
 さん

コロナ禍でネットに活路
顧客の声を励みにまい進


海ぶどうの養殖・販売を手掛ける(株)日本バイオテック。糸満市にある本社の海ぶどう事業部門「海ん道(うみんち)」では年間、25トン以上を県内外に出荷するほか、商品の販売や開発も行う。

取締役常務の山城由希さん(38)は「県内にもいくつかの養殖場がありますが、同じ苗を使っても同じものはできません。水温や塩分濃度が違うため常に試行錯誤しながら、そこの環境に合わせて調整しないといけないんです」と養殖の難しさを語る。

最も海ぶどうの成長が見られるのが深夜の時間帯。子育て真っ最中の山城さんは、2歳の子どもを寝かしつけた後、確認のため夜中に足を運ぶことも多い。「とてもデリケートな水産物で、管理も大変ですが、自分が頑張った分、目に見える形で成果が表れる。そこがたまらなくワクワクするんです」と魅力を話す。

商品開発において「海ぶどうは常温で一週間しかもたず、流通がネックになっていたんです」と山城さん。そんな中、あるフレンチのシェフが海ぶどうを刻んでアイスにトッピングしているのをヒントに開発したのが海ぶどうアイスクリーム。海ぶどうをアイスにして固めることで、日持ちするようにした。さらに、海ぶどうを乾燥させ粉末にし、麺に盛り込むことで、緑色でほんのり磯の香りがする海ぶどう麺も開発した。

「海ぶどうはそのまま食べるものと思われがちですが、例えばポーク卵おにぎりに挟んだり、卵かけごはんにかけるしょうゆの代用としてなど、工夫次第で使い方が広がることを知ってほしい」と、おいしい食べ方をメールマガジンやパンフレットを通して提案している。


大学卒業後は大手企業に就職した山城さん。貿易・物流関係の業務に取り組みつつ、父が営む海ぶどう事業に興味を持っていたという。「在学中、発掘されていないモノをどう世に送り出していくかというテーマで、経営学のゼミで研究をしていました。海ぶどうがまさにそれだと感じました」と話す。

海ぶどうの事業に挑戦してみたいとの気持ちが強くなり、転職を決意し、父の会社に入社。最初は東京支社(現・埼玉県)で業務を開始した。当時、海ぶどうの認知度は低く、広めるため東京を中心に飲食店などに商品を扱ってほしいと営業を重ねた。その後、糸満市の海沿いの広大な土地に立地し、養殖から販売まで行う沖縄本社に異動。養殖の現場を管理しながら新商品の開発にいそしんだ。

また、8年ほど前に近隣のホテルから観光客向けに海ぶどうの摘み取り体験プログラムの提案があったのを機に海ぶどうの摘み取り体験も開始した。

生産も安定してきて、商品発注も順調に伸びていた矢先、コロナ禍で売り上げは激減。「従業員を不安にしてはいけないと常に打開策を練っていました」と振り返る。

そんな中、インターネットを通じて資金を集める「クラウドファンディング」や新型コロナの影響を受けた事業者・生産者を救済するための商品販売サイト「コロナ支援サイト」に登録し、厳しい状況を訴えた。すると、多くの支援金が集まり商品の発注が次々と舞い込んだ。「多くの海ぶどうファンがいてくださったんだとうれしかったですね。また、『頑張って!』などと温かい言葉もいただき、お客さまに助けられました」と感謝している。

もっと多くの人が楽しめる施設にしたいと、昨年から養殖場近くの空きスペースを利用して、キャンプ場も開設。「父が立ち上げた海ぶどう事業はもちろん、キャンプ場や民泊施設など、もっと魅力的なものにするようブラッシュアップしていきたい」と目を輝かせた。



 昨年、キャンプ場をオープン  
株式会社 日本バイオテック 海ぶどう事業部門「海ん道(うみんち)」キャンプ場
山城さん提供

昨年から、広大な敷地内の一角にある海沿いの空きスペースを利用してキャンプ場をオープンした。山城さんは「ここは夕日も美しい場所。コロナ禍でストレスがたまりがちな人も多いと思います。そんな方でも景色を楽しみ癒やしになる場になってほしい」と話す。中南部からの利用者が多く「海を眺めながらのんびりとした時間が過ごせ、リフレッシュできる」「潮風が心地良くロケーションが最高」といった声があがっている。


 海ぶどうをスイーツに  

多くのメディアに紹介され、話題となった「海ぶどうアイスクリーム」(山城さん提供)

多くのメディアに紹介され、話題となった「海ぶどうアイスクリーム」(山城さん提供)

一昨年に登場した「海ぶどうソフトクリーム」(山城さん提供)
一昨年に登場した「海ぶどうソフトクリーム」(山城さん提供)


「海ぶどうの最大の魅力である、プチプチとした食感をもっと生かせないか」と生まれたのが、「海ぶどうソフトクリーム」。「軟らかいクリーム状なので、食感が損なわれにくい。注文を受けてからクリームと海ぶどうをブレンドするので、カフェでしか食べられないんですけどね」と山城さん。

来店者からは「海ぶどうの塩気がソフトクリームの甘さを引き立て、食感も楽しい」と好評。器も一緒に食べられるワッフルで作られているので、見た目も楽しめる。


問い合わせ先/海ん道 098・994・0016



 山城さんのハッピーの種 

Q.リフレッシュ法は?

昨年からパーソナルトレーニングジムに通うようになりました。体力はもちろん精神力も鍛えられていると思います。最初は先生からトレーニングの動きを教えてもらってもうまくできなくて。悩んでいる私を見て、先生が語りかけてくれた「最初からできなくても、続けていたらできるようになるから楽に」との一言にハッとさせられました。

性格上、自分を追い込んでしまうくせがあって、力の抜き方もトレーニングを通じて教わっています。「最初から完璧にではなく、最初はできなくても続けていけばできるようになる」という考え方は育児や仕事にも生かされていると思います。



株式会社 日本バイオテック 海ぶどう事業部門「海ん道(うみんち)」 取締役常務 山城由希さん
プロフィル
やましろ・ゆき
1982年、東京都生まれ。慶應義塾大学を卒業後、大手企業勤務を経て、(株)日本バイオテックに入社。父が開設した海ぶどうの事業に携わり、東京で販売ルートの新規開拓など営業活動を中心に行う。2009年、沖縄に移住し、同社の海ぶどう事業部門「海ん道」に所属し、海ぶどうの養殖や販売、加工品開発、摘み取り体験などを担当。2020年よりキャンプ場も開設するなど幅広い事業を展開している。

 



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撮影/比嘉秀明 文/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1385>
第1770号 2021年7月8日掲載

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スタッフ
安里則哉

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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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