毎日レシピ
2021年1月14日更新
1年の厄を払うムーチー|作ってみよう 行事料理[4]
旧暦12月8日(今年は1月20日)に行われるムーチー(鬼餅)は、1年間の厄を払う行事。松本嘉代子さんが、作り方やいわれを紹介します。
ムーチー(鬼餅)
●材料(13~15個分)
もち米の粉5カップ
水2+1/4カップ
サンニンの葉小なら26~30枚
大なら13~15枚
●作り方
1 サンニンの葉は1枚ずつきれいに洗う。
2 ボウルにもち米の粉を入れ、その中に水を加えて、よくこねる。
3 2を80~100gずつに分けて、長さ12~13cm、幅4~4.5cmに形を整えてサンニンの葉で包む。葉の裏面を表にし(小さな葉の場合は2枚ずらして並べる)、もちを真ん中に置く。手前から返して、筒状に包み、葉の根元側から折って、最後に葉先を折り、真ん中あたりをひもで結わえる。
4 湯気の立った蒸し器で、中火で20分ほど蒸す。
★ 紅イモや黒糖、トーナチン(キビ)などを使うときは、手順2に混ぜて使う。砂糖を加える時は水の量を少なめにする。
子どもの健康を祈って
ムーチーは、鬼という言葉に象徴される悪霊や悪疫などを払いのける行事として、昔から各地で行われてきました。この日は各家庭でムーチーを作り、仏壇や火の神に供えて悪鬼払いの祈願を営みます。ムーチーは、サンニン(月桃)やクバ(ビロウ)の葉に包み込んで蒸した香りのよい細長いもちですが、植物のカーサ(葉)を使うので、カーサムーチーとも呼ばれます。
サンニンは香りが強いので邪気払いに、クバは昔から神の宿る木として神聖視されてきたので、これらはよく沖縄の行事料理に使われています。
祝い事のお土産に持ち帰るごちそうを、チトゥヌムンと言いますが、これは「苞のもの」が語源と思われます。「苞」という言葉には包み込む、という意味合いが含まれ、植物を用いて神聖で大事なものなどを傷まぬように包んだものでした。
サンニンは香りが強いので邪気払いに、クバは昔から神の宿る木として神聖視されてきたので、これらはよく沖縄の行事料理に使われています。
祝い事のお土産に持ち帰るごちそうを、チトゥヌムンと言いますが、これは「苞のもの」が語源と思われます。「苞」という言葉には包み込む、という意味合いが含まれ、植物を用いて神聖で大事なものなどを傷まぬように包んだものでした。
誕生後は初ムーチー
厄除け祈願の後にいただくムーチーは、サンニンの香りの漂うおいしいもちですが、子どものいる家庭では、子どもの年の分だけひもで結わえて天井からつるし、子どもたちに食べさせます。子どもが生まれて最初に迎えるムーチーの日を「初ムーチー」と言い、親戚や友人に配る習慣もあります。いずれも子どもの健康と無病息災を祈ったものです。このころ、ムーチービーサが到来し、沖縄の冬も本格的に寒くなってきます。ムーチーは家でも簡単にできますので、作ってみませんか。
県内書店で発売中の「沖縄の行事と食~伝統のならわし・重詰め料理~」(松本嘉代子著)では、返し昆布のより詳しい作り方や、すべての重詰め料理のレシピを掲載。2000円(税抜き)。問い合わせは、タイムス住宅新聞社 電話=098(862)1155へ。
まつもと・かよこ/松本料理学院学院長。新聞やメディアで琉球料理の継承について広く発信。県「琉球料理伝承人 琉球料理担い手育成講座」の指導に携わる。
『週刊ほ〜むぷらざ』作ってみよう行事料理
第1745号 2020年1月14日掲載