彩職賢美
2020年12月17日更新
[彩職賢美]ビタミンキャンドル代表の上原順子さん|キャンドルで心と体癒やす
インテリアとしてはもちろん、火をともすと幻想的な空間を創り出し、炎のゆらぎを眺めているだけで穏やかな気持ちにさせてくれるキャンドル。近年は、おうち時間を充実させるアイテムとしても活躍しています。その魅力を多くの人に体感してもらいたい。日頃の疲れを癒やし、元気を与えてくれるー。そんなキャンドルづくりをめざしています。
使う人が元気になる品を
ビタミンキャンドル代表
上原順子 さん
炎と香りで空間に変化
オンラインでの教室も
室内にはサンゴをイメージした色のキャンドルや植物を入れ込んだキャンドルなど、多彩なキャンドルが並び、ほんのりアロマの香りが漂う。北中城村にある上原さんのキャンドル工房兼店舗では、キャンドルの制作・販売やキャンドル作りを楽しむワークショップなどを展開している。
キャンドルには天然素材を使うのがこだわりだ。「燃えると空気中の不純物を取り除き、空気を清浄する作用が期待できるソイ(大豆)ワックスが原料。香り付けには植物から抽出したエッセンシャルオイルを使っています。使う人がハッピーになり、心も体も元気になる。そんな商品づくりを目指しています」と説明する。
「キャンドルの放つほのかな香りと明かりがあるだけで、のんびりとした時間に感じられ、安らぎにつながります」と魅力を語る。
最近では、おうち時間を有意義にするアイテムとして利用する人も増えているが、「オープン当初は『台風の時に使うくらいでしょ』といった声もあり、知ってもらうのに苦労しました」。キャンドルの扱い方や魅力などをホームページで分かりやすく紹介。手作り市などのイベントでワークショップを開いてキャンドル作りの楽しさを伝えたり、多くのキャンドルで幻想的な空間を作り出す「キャンドルナイト」を企画。キャンドルに触れながら交流できる場を作るうちに、次第に顧客が増えていった。
もともと、東京で人事コンサルタントとして活動していた上原さん。起業を目指す女性のコーディネートを中心に手掛け仕事も順調で、女性の起業家が集うコミュニティーも立ち上げた。しかし、2011年の東日本大震災の影響で仕事が止まってしまった。その時、改めて自分の仕事を見つめ直し「気候が暖かく人とのつながりを大事にしている土地で働きたい」と考え、以前に訪れたことのある沖縄への移住を決めたという。
移住後は、企業の組織づくりを行うプロジェクトにコンサルタントとして参画。さらに、地域の人とのつながりを持つための「がじゅまるコミュニティー」を開設。メンバーと仕事の情報交換をしたり、エイサーチームを作りイベントに参加するなど精力的に動いた。
一方で、これからの時代に合う新しい働き方を模索。「旅先で偶然訪れたカフェの色鮮やかで存在感のある手作りキャンドルが並ぶ空間に魅了され、キャンドルづくりは、女性らしい働き方としても魅力的だと思いました」。コミュニティーメンバーの協力もあり2015年にキャンドル専門店「ビタミンキャンドル」を開店。キャンドルの魅力を伝えつつ、ビーチクリーン活動も行うなど、SDGs(持続可能な開発目標)の活動にも力を入れている。
ある日、ホームページを見て工房を訪れたという映画の演出を手掛ける会社の人から「華やかさを出すキャンドルを探している」と相談を受けた。上原さんが見せ方などを提案すると、映画のセット用に注文が入った。「映画に自分の作品が使われていることがうれしく、自信になりました」と目を細める。
ことしの2月に店舗兼工房を北中城村に移転オープン。時期を同じくして、新型コロナウイルスの感染が拡大した。「お客さまが減り不安でしたが、自分がどんな時間を過ごしどんな働き方をしたいのかを改めて考えるいい機会になった」。「心や体を癒やすキャンドルの持つ力が、今こそ大事」と新たにオンラインでのキャンドル教室を開始した。
「今後は、香りをテーマにしたブランドを立ちあげ、アロマを生活に取り入れる提案をしたい」と前を向く。
キャンドルの魅力感じ交流の場に
上原さん提供
コミュニティーのメンバーを中心に声を掛け、毎年、10月・11月の時期に上原さんが主体となり「キャンドルナイト」=写真=を行っている。キャンドルナイトではワークショップや飲食の販売などがあり、多くの人が集い、情報交換などを行い気軽に交流できる場になっている。「キャンドルのともる空間の中で立ち止まり、それぞれの視点で何かを感じとってほしい」と上原さん。ことしはコロナの影響で残念ながら開催できなかったが、落ち着いたらまた実施したいという。
経験生かし就職、起業のアドバイスも
上原さん提供
コンサルタントとしても活動してきた経験を生かし、「自分らしい事業モデルを実現したい」と願う経営者や起業家の相談やウェブ制作を請け負っている上原さん=写真。現在は主に、自らが指導するキャンドルスクールの卒業生を中心に相談を受けているが、今後はウェブでの相談など、さらに活動の幅を広げていく予定だ。「こんな時期だからこそ変化のチャンス。自分らしい生き方や働き方を実現したい方の後押しをしていけたら」と話す。
◆ビタミンキャンドル 電話098(917)2223
上原さんに聞いた!
キャンドルを生活に取り入れる主なメリット
①身の回りがシンプルになる
キャンドルをともす場合、キャンドル周辺のスペースを確保する必要があることで、自然と整理するようになり、身の回りがシンプルになる。
②考えを巡らせる時間を与えてくれる
お風呂の時間や食事の時間、早起きをした朝の時間などにともすことで、のんびりとした時間に感じられ、自分を見つめ直したり、今後のことについてなど、改めて考えを巡らせる時間を与えてくれる。
③消臭・マイナスイオンの発生・癒やし効果
キャンドルには消臭効果があり、燃焼する際にマイナスイオンが発生し森林浴と同じような効果が得られる。さらに、キャンドルの明かりのゆらめきは「1/f(エフ分の1)ゆらぎ」と呼ばれそよ風や心臓の鼓動と同じリズムでリラックスできる。
プロフィル
うえはら・じゅんこ
1974年生まれ、長野県出身。大学卒業後、企業の人事を担当したのを機に人事コンサルタントとして活動。2005年、起業家女性のコミュニティーを開設し、起業塾・交流会などを東京で開催。12年、沖縄へ移住。移住者支援事業「ティンクラボ」を設立し、人事コンサルタント事業を行う。15年、「ビタミンキャンドル」を北谷町に開店。同年、オリジナル商品のキャンドルが沖縄県特産品コンテストで審査員特別賞を受賞。17年、Amazon映画「バチュラー」の舞台装飾としてキャンドルをプロデュース。20年、北中城村に店舗兼工房を開設した。
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明 文/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美<1373>
第1741号 2020年12月17日掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 安里則哉
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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。