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2020年9月10日更新
新型コロナに対する保険会社の対応|女性のイマドキ!マネー術[18]
文・岡田有里(ファイナンシャルプランナー)
保障範囲拡大の商品が増加
新型コロナウイルス感染者の増加で揺れる県内の感染者数は8月27日付で累計2000人を超えました。未知のウイルスに対する不安に悩む私たちを守り、支える支援策を保険の観点から一部紹介します。
支援策を活用するには情報のアップデートが肝心。契約中の保険会社や自治体のHPなどを定期的に確認すると良いでしょう
検査や治療費は公費
厚生労働省は2020年1月28日に新型コロナウイルスを指定感染症に定めました。それに伴い医師または保健所の指示による新型コロナウイルスPCR検査(感染判定検査)、入院費用、治療費用、ホテルなどで療養治療した際の宿泊代や食事費用は公費負担となり、自己負担はゼロです。ただし、自己判断によるPCR検査や抗体検査は自己負担です。
保障範囲拡大の保険も
新型コロナウイルス感染症は「疾病」。医療保険に加入していれば、感染すると入院、手術、通院に対する保険給付金が支払われます。医師の指示で自宅待機やホテルで宿泊療養した場合も入院給付金の対象。オンラインや電話での診療も条件を満たせば通院給付金の対象になる保険会社が多いのが現状です。万が一死亡した場合は終身保険、定期保険、収入保障保険の死亡保障・高度障害の支払い対象に。いずれの場合も医師や保健所の証明書が必要なので、詳細は加入中の保険会社に確認しましょう。
不安が広がる中、保険会社は少しでも多くの人に早く保険が支払われるように商品改定や適用範囲を広げるなど社会の要望に応えています。例えば、以前は対象外としていた「災害割増特約」(不慮の事故による死亡に上乗せ支払い)は、感染拡大状況を踏まえて5月以降は支払い対象に変更。
特別条件付契約(特定部位不支払い、保険金削減支払い)も今回の感染症には特別条件を適用せず給付金等を支払う保険会社が多いようです。
損害保険も補償範囲を広げるなど商品改定を実施。個人分野では、傷害保険や海外旅行保険で「指定感染症」は対象外ですが、新型コロナウイルス感染症は補償対象に含めました。
企業分野では、対象施設が新型コロナウイルス感染症に汚染された場合、保健所などの指示や命令に基づく消毒費用、営業休止・阻害による損害に対して20万円が定額支払いされると改定された保険など、5月以降に各社で商品改定が行われました。2020年2月1日にさかのぼって補償されるケースが多いので、心当たりのある方は契約している保険会社に確認してください。
保険は健康なうちに加入
自分や家族が感染して収入が減った場合、医療保険の給付金があると助かります。急いで保険に入る必要はありませんが、経済的な余裕(目安として4~6カ月分以上の生活費)がない場合は、収入減少によって生活に困窮する可能性が高いので、保険でリスクに備えることも有効です。収入の減少で保険料の支払いが困難になった人は解約する前に減額や見直しを専門家に相談してください。
各保険会社は一度感染した人たちが新たな保険に入る際のガイドラインを発表していませんが、治療後も数カ月~数年は加入不可などの制限が出る可能性が高く、告知書類を確認して個別に対応になるようです。
新型コロナウイルスは研究途中。治療後の健康リスクが未知数のため、保険会社の判断基準も状況によって変化するでしょう。だからこそ、健康なうちに加入することが大切。解約はなるべく避けて減額や見直しで当面のコロナ禍を乗り切りましょう。
おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業を経て沖縄へ。女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動
■withコロナ時代の教育費(前編)はこちら
■withコロナ時代の教育費(後編)はこちら
『週刊ほ〜むぷらざ』女性のイマドキ!マネー術
第1727号 2020年9月10日掲載
この記事のキュレーター
- キュレーター
- 岡田有里
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ファイナンシャルプランナー。ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業に就職し海外勤務を経験し、2000年に沖縄へ。「私の未来に安心を!」をテーマに、女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動。