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2024年12月19日更新
太ってても糖尿病じゃないのは?|健康チャレンジ!(57)
医師の安谷屋徳章さんが、痩せているのに糖尿病の人がいるのはなぜかについて解説します。
文・安谷屋徳章
太ってても糖尿病じゃないのは?
みなさんは、糖尿病は太っている人の病気という印象を持っていないでしょうか。確かに糖尿病の人には太っている人が多いです。でも太っていても糖尿病でない人もいます。どうしてでしょうか。まず、糖尿病の原因として大きく関わっているものの中に「内臓脂肪の蓄積」があります。脂肪にはつまむことができる「皮下脂肪」と体の奥にあるので多いか少ないかを判断しにくい「内臓脂肪」の2種類があります。太っている人は皮下脂肪と内臓脂肪の両方が多い傾向にあるので「内臓脂肪の蓄積」が原因である糖尿病になりやすい人と言えます。それなのに糖尿病ではない人がいます。
その理由として一つ言えるのは、インスリンを作る能力にたけているということです。インスリンは膵臓(すいぞう)で作られ、内臓脂肪が蓄積するほど、つまり太るほど血糖値を下げるのに必要なインスリンが多くなります。これをインスリン抵抗性というのですが、インスリンを作れば作るほど、あるいは多く作る状態が長いほど、膵臓は疲弊します。必要な量のインスリンを作れなくなったときに糖尿病になってしまうのですが、太っているのに糖尿病ではない人はこのインスリンを作る力が優れているのです。
これはとても良いことなのですが、いつまでも膵臓が疲弊しないとは限らないので、糖尿病になる危険性を常にはらんでいます。糖尿病以外にも睡眠時無呼吸症候群、高血圧症、脂質異常症、心疾患、脳卒中、大腸がんなどは肥満によって引き起こされます。膝や腰といった関節を傷めることにもつながるので、肥満は解消しておく方が良さそうです。せっかく丈夫な膵臓を持っているのですから、疲弊させず長持ちさせるようにした方が良いと思います。そのためにも食べ過ぎないようにしましょう。食べ過ぎるとその中に含まれる糖質量も増えるので必要なインスリンが増えるということも知っておいてください。
あだにや・のりあき。糖尿病や生活習慣病の改善を専門とするゆいゆい内科クリニック院長。自身も糖質コントロールで20キロ痩せた。著書に「沖縄の医師が教える糖質コントロール健康法」など
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第1950号 2024年12月19日紙面から掲載