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2018年12月13日更新

「助けられ上手」になろう|心のバリアフリー推進事業フォーラム

沖縄県は、平成30年度心のバリアフリー推進事業フォーラム「助け合うってどういうこと?」を、11月17日に浦添市てだこホール市民交流室で開いた。コラムニストで骨形成不全症の伊是名夏子さん(36)は、ヘルパー10人に支えられ、2人の子育てをしている。「助け上手は助けられ上手。障がいがある人も無い人も、助け合って一緒に生きましょう」と呼びかけた。

子ども時代や結婚、妊娠、出産、子どもたちの写真をモニターに映し、にこやかに話す伊是名さん。2人組で会話をするペアワークを交えた講演は、和気あいあいとした雰囲気だった

伊是名夏子さんが基調講演

「困っている人や障がいのある人を助けたい、と思う人はいますか?」と、会場に問いかける伊是名さん。多くの人が手を挙げる。その後、「助けてもらいたいと思う人は?」との問いに、挙がる手の数は少なくなった。

伊是名さんは、生まれた時には両足が折れていた。骨が折れやすく、歩くことはできない。特別支援学校の小中学校に通った後、周囲の反対を押し切り首里高校に入学した。「とってもうれしかったこと」と、ニコニコと話したのは、高校時代の体育祭の思い出だ。「男子が車いす用のダンスを覚えてくれて、みんなとフォークダンスを踊れたんです。どうやったら一緒にできるか、みんなが考えてくれた」

大学進学で上京し一人暮らし、アメリカやデンマークに留学するなど、積極的に社会に参加してきた。結婚し、2児を出産。総勢10人のヘルパーに支えられ、子育て、仕事をこなす。自身の経験から、「合理的配慮」の大切さを説く。合理的配慮とは、障がい者がほかの人と同じように生活するための変更、調整のことで、4年前に条例化されている。

重ねて、「自立と依存は、つながっている」と指摘。「サービスや人に依存し、人は自立している。障がい者は、依存できる手段が少ない」と話した。「助け上手は助けられ上手。相手を助けたい人は、ぜひ甘えて助けてもらう練習をしてください。助け合うことは、人と人をつなぐ」と提案した。

伊是名さんは、支えてくれるヘルパーと良い関係を築くために、「ほめる、信頼する、コミュニケーションを取る」ことを意識しているという。「依存先を作ることが自立につながる。いろいろな場所や人につながって。偏見に向き合いながら、お互いに支え合いましょう」と呼びかけた。

子育てにサポートを

フォーラムの後半では、「障がいのある子の子育てや、障がいのある人の子育て」をテーマに、伊是名さんを含めた4人でパネルディスカッション。

伊是名さんは「障がい者は子育てのためにヘルパーを利用できるが、まだ知られていない」と問題を提起した。

コーディネーターの田中寛さん(公益社団法人 沖縄県手をつなぐ育成会理事長)は、ダウン症の娘がいる。「障がい者の家族は、心身の負担が大きい。家族が自分の人生を送ることができるよう、周囲のサポートが必要だ」と話した。

前川考治さん(県立鏡が丘特別支援学校主幹教諭)は「生徒が力を発揮できるよう、個別支援を進めている。可能性を広げるには、さまざまな学ぶ場を設けることが大切」と話した。

司会のおどみわさんは「障がいは身近で、他人ごとではない」と語った。

来場した石橋章代さん(60代・南風原町)は、知的障がい者の施設で長く働いてきた。「歩ける人を一度もうらやましいと思ったことが無い、と言う伊是名さんはすごい。障がいがある人と接する機会を増やさないと、差別は無くせない」と話した。フォーラムには、約200人が参加した。


さまざまな意見が交わされたパネルディスカッション。右から田中寛さん、おどみわさん

右から、前川考治さん、伊是名夏子さん。終了後、会場からも質問が寄せられた
 
伊是名夏子さんは、沖縄出身、神奈川県在住。骨が弱い障がい「骨形成不全症」で、身長100センチ、体重20キロ、右耳が聞こえず電動車いすを使用。5歳と3歳の子がいる
 

『週刊ほーむぷらざ』
第1638号 2018年12月13日掲載

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