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2025年2月20日更新

足底腱膜炎(そくていけんまくえん)|かかと裏に強い痛み[新治療で長引く痛み改善⑬]

文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)

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ランニング、立ち仕事が原因に

足のつま先からかかと裏にかけてまっすぐ走る分厚い膜があり、これを足底腱膜と呼びます。この足底腱膜が、かかと裏にくっつく部位(踵骨(しょうこつ)の腱付着部)で炎症が起き、痛みを生じるのが足底腱膜炎です。まれに土踏まず(足裏中央)に生じることもあります。

かかとの痛みの原因として最も頻度が高く、人口の3~10%が罹患(りかん)するという報告があります。40~60代の女性にやや多く見られます。

足底腱膜炎の原因は、ランニングやジャンプ動作などで繰り返し負担が加わり、足底腱膜に微細な損傷や炎症を引き起こすことと考えられています。硬い地面に立ち続けることで足裏に負荷がかかるため、アスファルト上で長時間立ち仕事に従事する方に生じることも珍しくありません。

起床時に痛み強く

症状は、かかと裏に生じる強い痛みです。起床時1歩目に強い痛みがあり、歩行とともに痛みが和らぐのが特徴です。日中は長時間イスに座った後に立ち上がった時や、運動により強い痛みを感じることがあります。これらの特徴的な症状から診断されることがほとんどです。併せてX線検査でかかと裏のトゲ(踵骨の骨棘)、超音波検査で足底腱膜の腫れを確認できることがあります。
 

一般的な治療法として安静、ストレッチ、インソール、鎮痛薬内服、体外衝撃波が有効とされており、6カ月以内に痛みが軽くなることがほとんどです。一方、治療で改善が見られず、難治性の足底腱膜炎になる方もいます。この場合、足底腱膜やかかと裏のトゲ(骨棘(こつきょく))を切除する手術が検討されることもあります。
 
手術は避けたい場合に

前述の治療で痛みが改善しない、もしくは手術は避けたい場合、新しい治療法(動注治療)を検討しても良いと思います。足底腱膜炎が生じた部位(かかと裏)には異常血管(モヤモヤ血管)が増えており、長引く痛みの原因になることが分かってきました。

足の動注治療では足首内側の脈を触れる動脈の中に、点滴で使うよりもさらに細いチューブを入れます。その細いチューブの中から治療薬を注入すると、血液の流れに乗ってかかと裏に生じたモヤモヤ血管に作用し、痛みを軽減させることができます。

通常、片足5分程度で治療可能です。治療を行う前の局所麻酔の時にチクッとした痛みはありますが、それ以降に痛みを感じることはほとんどありません。初診の方でも当日治療を受け、ご帰宅可能です。その後の日常生活はいつも通りで構いません。

足底腱膜炎で悩んでいる患者さんは多数いらっしゃいます。さまざまな治療を行ったが改善せず、痛みと付き合っていくしかない、と治療をあきらめている多くの患者さんに届くよう願っています。

※動注治療は、オクノクリニック(表参道・銀座・横浜)の奥野先生が2014年に開発された治療で、年間4,000件の治療実績があります。



執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医・指導医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院


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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1958号 2025年02月20日掲載

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