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2024年12月19日更新

第一関節が腫れ痛む「ヘバーデン結節」|手指の関節痛にも動注治療[新治療で長引く痛み改善⑪]

文・佐久川貴行(さくがわクリニック院長)

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骨が変形 十数年後には曲がったままに

手指の第1関節(爪の根本の関節)の間には軟骨があります。この軟骨がすり減り、指の骨にトゲができる病態が指の変形性関節症です。報告者の名前にちなんでヘバーデン結節と呼ばれています。へバーデン結節は人さし指~小指の第1関節に見られることが多いです。第2関節に見られる場合はブシャール結節と呼ばれています。

なぜ指の骨が変形してしまうのか? 加齢、遺伝、更年期障害(女性ホルモンの減少)、手指の使い過ぎなどさまざまな要因が考えられています。特に40代以上の女性に多く、加齢とともに発生頻度が上がり、数カ月~十数年かけて徐々に変形が進行するとされています。その間、指を使わずに生活することは難しく生活の質が著しく低下します。また、指関節の腫れや曲がりのため、見た目を気にされる方もいらっしゃいます。
 


お箸を持っても痛い!

へバーデン結節の初期症状は第1関節の腫れ、赤み、痛みです。指の曲げ伸ばしをする、何か物にぶつかる時に強い痛みが生じるため、洗濯、食器洗い、お箸を持つ、字を書く、パソコン作業など日常生活にさまざまな支障が生じます。痛みの出現から数年かけて徐々に骨の変形が進むため、十数年後には見た目が曲がった状態に。変形が進行して関節が固まってしまうと痛みがなくなることもあります。また、初期の病変は1カ所でも、徐々に他の指に痛みや変形が生じることも珍しくありません。一般的な治療法として安静、鎮痛薬、テーピング、関節内ステロイド注射が有効とされています。変形が強く、痛みが改善しない場合は手術が考慮されます。

手術を避けたい人にも

前述の治療法で痛みが改善しない、もしくは手術は避けたい場合、新しい治療法「動注治療」を検討してもよいと思います。変形した指の周囲には異常血管(モヤモヤ血管)が増えており、腫れや痛みの原因になることが分かってきました。動注治療では手首またはひじの脈を触れる動脈の中に、点滴で使うよりもさらに細いチューブを入れます。そこから治療薬を注入すると、血液の流れに乗って指先の痛い部位に生じたモヤモヤ血管に作用し、痛みを軽減させることができます。変形した骨を元に戻すことはできませんが、変形前に治療を始めれば、変形の進行を遅らせる可能性があります。

動注治療は片手なら通常5分程度。局所麻酔のみチクッとした痛みはありますが、それ以降の痛みはほとんどありません。初診の方でも当日治療を受け、ご帰宅可能です。その後の日常生活はいつも通りで構いません。痛みが改善しない、加齢や痛みと付き合っていくしかないと治療をあきらめている多くの患者さんに届くよう願っています。


※動注治療は、オクノクリニック(表参道・銀座・横浜)の奥野先生が2014年に開発された治療で、年間4,000件の治療実績があります



執筆者
さくがわ・たかゆき/宜野湾市出身。放射線診断専門医。IVR(画像下治療)専門医・指導医。運動器カテーテル治療研究会・監事。2021年9月浦添市前田にさくがわクリニックを開院


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毎週木曜日発行・週刊「ほ〜むぷらざ」
第1950号 2024年12月19日掲載

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