ビューティー
2020年12月24日更新
痩せるホルモン「GLP-1」によるダイエット大作戦|教えて!ドクター当山〈230〉
男女ともに永遠のテーマであるダイエット。適度な運動と食事療法が基本と分かってはいるものの、「食欲を我慢できない」「コロナ禍で外出もままならず運動不足」という人は多いのでは? そんな人たちから今、注目を集めているのが「痩せるホルモン『GLP‐1』によるダイエット」だ。先月から処方をはじめた当山美容形成外科の当山拓也院長に話を聞いた。
食欲を抑え、つらい食事制限なし! 1日1回自分で打つだけ
痩せるホルモン注射でダイエット
痩せるホルモン「GLP-1」によるダイエット大作戦
欧米では肥満治療薬に使用
安全性は世界のお墨付き
―「GLP‐1」とは?
当山
元々、ヒトの体内に存在し、小腸から分泌されるホルモンのこと。GLP-1が多い人は胃腸での消化・吸収が穏やかなため、少ない食事量でも満腹感が得られやすく、食欲が過剰になりにくいことが分かっています。その特性から「痩せるホルモン」とも言われ、国内では糖尿病の治療薬として、欧米では肥満治療薬に用いられているほど。当院では、アメリカやEU加盟国28カ国で承認されている肥満治療薬を導入し、患者さんから好評をいただいています。
―「GLP‐1」の特徴を教えてください。
当山
ポイントは、①本来、ヒトの体内に存在するホルモンを使って食欲を抑制し、空腹を感じにくくする②他の抗肥満薬のような依存性や耐性はほとんどなく安全性が高い③1日1回自分のおなかに注射を打つだけ―の三つ。
注射の容器は誰でも簡単に投与できるよう工夫されており、痛みはほとんどありません。打ち方も医師が指導しますので安心。ご自分で注射していただくので、毎日クリニックに通う手間も不要です。
部分痩せも希望するなら
脂肪吸引・溶解注射を併用
―副作用や注意事項はありますか?
当山
治療をはじめた初期に、約4割の方々が吐き気、嘔吐、食欲不振、むかつき、倦怠感などを感じていらっしゃいます。程度は個人差がありますが、体が慣れることで次第に症状は治まります。最初は少量からはじめ、効果の表れ方によって量を調整していきますので、必ず医師の指示に基づいて使用量をお守りください。
現在、糖尿病の治療をしている方、心疾患をお持ちの方、20歳未満や65歳以上の方は本治療をお受けいただくことができません。
―処方を希望する方にアドバイスをお願いします。
当山
ダイエットは体重を落とすのが目的。二の腕を細くしたい、おなかの脂肪を取りたいなど部分痩せをご希望の場合は、脂肪吸引や脂肪除去などの手術、またはオリジナル脂肪溶解注射、インディバをはじめとする温熱療法など、非手術治療との併用をお勧めします。
「GLP-1」によくあるQ&A
Q 効果はどの程度で表れますか?
A 体重の5%、例えば60キロの方なら3キロの減量を目標に投薬を始めます。個人差はありますが、2~6カ月ほどで達成される方が多いですね。
Q 注射を自分で打つのは難しくありませんか?
A 注射容器=下写真=は誰でも簡単に打てるよう工夫されており、使い捨ての医療用注射針は極細。薬液が入る際に少し染みますが、痛みや内出血はほとんどありません。
Q 注射はどこに、いつ打てばいいですか?
A 皮下脂肪の厚いおなかやお尻、太ももなどに1日1回、同じ時刻に打てば、いつ打ってもOK。打ち忘れた場合は、気付いた時にすぐ注射するか、12時間以上過ぎている場合は1回スキップし、次の予定時間に1回分だけ投与すればOKです。
Q 薬をやめたらリバウンドはありますか?
A 投薬の期間にもよりますが、続けていると胃が小さくなり、食べる量は自然に減少します。
当山 拓也 氏
当山美容形成外科 院長
東京医科大学卒業後、東京大学医学部形成外科学教室入局。東京警察病院、杏林大学形成外科等で研さんを積む。リッツ美容外科・東京院、東京西徳洲会病院形成外科・美容外科医長、アヴェニュー表参道クリニック副院長をへて、2016年4月に医療法人形成会当山美容形成外科副院長に。17年6月、同院院長に就任。
<この記事に関する問い合わせ先>
医療法人形成会 当山美容形成外科
098-867-2093
http://www.touyama.com
Eメール info@touyama.com
※次回は「培養上清・エクソソームを用いた再生医療について」です。
<過去記事一覧>
『週刊ほ〜むぷらざ』 教えて!ドクター当山<231>
第1742号 2020年12月24日掲載