「ささやかなもの ナビ派の視点」|本村ひろみのコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

本村ひろみ

2018年12月19日更新

「ささやかなもの ナビ派の視点」|本村ひろみのコラム

フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。fun okinawaコラム「おきなわ暮らし散歩 Vol.49」



16年前。
2002年が暮れていく12月のクリスマスシーズンに
短期の語学留学でパリに滞在していた。
約1カ月間
16区のホームステイ宅を早朝7時に出て、朝焼けのエッフェル塔を眺めながら凱旋(がいせん)門近くの語学学校に通った。
フランス語と美術史の授業を
お昼すぎまで受け、そのあとは自由時間
なので、午後はあちこちの美術館に足を運び
好きなだけお気に入りの作品の前で時間を過ごした。
 

西洋美術は一般的に宗教や神話、寓意や政治的なメッセージが込められているので、感性で「見る」というより知識で「読む」もの。
画家の技術や技法も鑑賞の重要な要素だけど
それ以上に、描かれている人物のポーズや表情、置かれているモチーフの隠喩を理解して物語を読み解くことが絵画鑑賞となる。
でも、そんな西洋絵画の伝統とは違うテーマを見つけた画家たちがいた。
 


初めてドニの絵を見たのはオルセー美術館
印象派の作品をひととおり見たあと、ひっそりとした場所にナビ派の絵が展示されていた。印象派のような華やかさはないけど、惹(ひ)かれる色彩の空間。
モーリス・ドニの《木々のなかの行列(緑の木立)》は小さな油彩で
目立ったかんじでもなく展示されていたのに、足が止まった。
疲れていた目の奥にジンワリと淡い緑の木立が染み込んで
目が離せなくなった
ブナの大きな木々の間に
薄いバラ色のマントを着た人々と翼を広げた天使が描かれている
宗教画ではないのに祈りを感じさせる神秘性
 
「ナビ派」は19世紀末のパリで結成された。
「ナビ」というのはヘブライ語で「預言者」を意味し
彼らはゴーガンや日本の浮世絵版画や織物、着物などから影響を受けているので、私たちにはなじみやすいのかもしれない。
モチーフも犬や猫、食卓や庭の草花や何げない日常
主役にはならないけど、でも存在しているものたちの気配が愛情をもって描かれている。
「小さなものたちのささやきを見つける」
そんな「ナビ派」の虜(とりこ)になってしまい
それからというものの「ナビ派」の絵画展があれば出かけて
絵の中の「ささやかなもの」たちを見つめる画家の視線を楽しんでいる。
 
 
写真は12月17日まで国立新美術館で開催されていたナビ派の「ピエール・ボナール展」副題は「いざ、視神経の冒険へ」
 

リンゴの載った赤いドットのお皿はピエール・ボヌール展で。
紅茶のパッケージも絵のモチーフから。展覧会のグッズもかわいい。


パリでホームステイしていた邸宅のリビングに大きなクリスマスツリー。
壁には日本の浮世絵も数点飾られていた。

 

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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