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COLUMN

新城和博

2018年11月5日更新

与那原駅舎ブックカフェで「一日だけの本屋さん」「浮島書店繁昌記」ふたたび|新城和博のコラム

ごく私的な歳時記Vol.44|首里に引っ越して20年。「ボーダーインク」編集者でライターの新城和博さんが、この20年も振り返りながら、季節の出来事や県産本の話題をつづります。



以前このエッセイでも書いたのだけど、「一日だけの本屋さん」というコンセプトで「浮島書店」というイベントを企画している。
これまで、那覇、コザの商店街の空いている店舗などに、仲間うちで本を持ち寄り、期間限定で本屋さんごっこを行ってきたのだけど、どこかで噂を聞きつけた与那原町にある「与那原駅舎」さんから、うちでもやりませんかと声を掛けてもらった。戦前、与那原にあった軽便鉄道の駅舎を再現した場所です。正式には「与那原町立与那原駅舎展示資料館」。鉄道マニアにはたまらないところなのだ。
そりゃやりますよ。駅舎で本屋ごっこが出来るなんて、楽しそうじゃないですか。
というわけで、10月の終わりの日曜日、「一日だけの本屋さん 浮島書店」イン与那原駅舎、やってきました。

※「浮島書店」の詳しい説明は以前のエッセイ「浮島書店繁昌記」をご覧ください。※

 

与那原の小さな町並みが好きで、たまにこっそりまち歩きもしている。かつて大勢の人でにぎわった商店街を思い出しつつ、新しい住宅地として発展している東浜の埋立地区を眺めたりして。いったいどんなお客さんが「浮島書店」に来るのだろうかと、興味津々。 「ごっこ」といえども、ちゃんと本を売ることにはかわりなくて、売り上げも肝心なのだけど、なにより本を通して人が集まる、という風景を見るのが快感なのである。
町によって集まるタイプが違う、というのは、なんとなくわかってきた。与那原駅舎ではさまざまなイベントがこれまで行われていて、いろいろ事前に打ち合わせをしたのだ。今回は絵本を多めに用意した。大学生による読み聞かせのイベントがあるし、東浜に住んでいる若い家族、小さいお子さん連れのお客さんが来るのではないかという予測である。
当日、朝から本の搬入、飾り付けを行い、気がつくとお昼前に「一日だけの本屋さん」が出現した。いい感じに仕上がったのは、浮島書店員たちもだいぶ慣れてきたからかしらん。その場にあるものを何でも使うのが、浮島書店流儀である。



イベント全体の名前は「与那原駅舎ブックカフェ 本とパンとコーヒー」、そのまんまである。はたしてお客さんは……僕たちの予想以上にやってきた。
気がつけば書店スペースに人があふれているではないか。
これにはびっくりした。近辺に古書店や絵本やさんがないということもあるけれど、他にもいろんな本を手に取り吟味して買われるお客さんが、次から次へとやってきた。与那原近辺の方々のようで、お互いにあいさつしている。子どもたちはどんどん絵本を選び始める。僕の隣りで、小さな男の子が、くすくす笑いながら声に出して絵本を読みはじめて、思わず一緒に絵本をのぞき込んでしまった。歳取って、こういうのに弱い。


会場の外では与那原のおいしいパンや名物お菓子、コーヒーが準備され、そこも盛況。読み聞かせ、ライブもまったり楽しめる。本屋ととっても相性がいいものばかりである。浮島書店の横では、「活版印刷」体験もできるようになっていて、もちろん本好きは活字好きなので、同じようににぎわっていた。
これまでの歴史のある町と、できたての新しい町が、本屋という場で重なり合って、新しい与那原の町の風景を見つけた、気がした一日だった。

そして肝心の売り上げも、思わず「軽便鉄道節」の一節のように「アヒー、アヒー」と声をあげたいくらい、過去さいこー! なのでありました。



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ライター/編集者
1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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