金城真知子
2018年5月8日更新
「てぃーちなー・てぃーちなー」|金城真知子の声コラム
温かさと優しさにあふれたウチナーグチ。金城真知子の「ほっとする沖縄方言」を声のコラムで紡ぎます。(vol.02)
新年度から一ヶ月。
新しい環境で仕事がスタートした人にとっては周りが見え始めた頃でしょうか?
先輩の顔と名前が一致してきたり、仕事の流れを覚えてきたり、ほんの少し前まで休憩室でソワソワして落ち着かなかったのに、今では空き時間に自分から行けるようになっていたり・・・少しずつ「場に馴染んでいく」感じって心地いいですよね。
でも、私は違いました。。。
5月になると思い出すのが、全然うまくいかなかった新人時代。
ラジオカーリポーターでデビューしてしばらく経つのに、緊張感からうまく抜け出せずにいた頃。いろんなことに慌てて焦って、更に生放送でミスを連発。
4月のスタート時よりも、うまくいかなくなっていたのです。
そんな私の心を軽くしてくれた先輩の一言が、
「てぃーちなー・てぃーちなー」(意味:ひとつずつ・ひとつずつ)でした。
車から肩を落として降りてきた女性。現場で、うまくいかなかったようで、「はぁ、、、も〜、全然できないんです。。。
メモも ちゃんと取ってやってるつもりなんですが、なんか、自分でも途中から意味わからなくなってきちゃって。。。やっぱり私には、向いてないんですよ。この仕事。。」
落ち込む女性に、営業の先輩は
「だよな〜! この仕事は簡単じゃないと思うよ〜。
でもさ、途中から意味が分からなくなったって、どういうこと!
もうちょっと、どこから分からなくなったか 教えて!」と先輩。
何度も書き足して、グチャグチャになったメモを一緒に見つめながら「あい、お前いろんなところに気づけているさー。でも、これ全部やろうとしたら、難しいだろ!
ありっ『てぃーちなー、てぃーちなー』ひとつずつって よく言うだろ〜!
これやってからコレ、終わったらコレって、欲張らず一個ずつ一個ずつ。まずは
出来る分からでいいんだよ」とにっこり。
『てぃーちなー、てぃーちなー』
今でも、頭の中がごちゃごちゃになって焦り始めた時には
心の中でつぶやく大切なウチナーグチです。
新人さんに関わらず、納期や締め切りに追われる時って、焦りから余計にうまく行かないことがありますよね。
そんな時こそ「てぃーちなー・てぃーちなー」
「よーんなー(焦らずゆっくり)」とも似ていますが、仕事で使う言葉としては、私は断然「てぃーちなー」の方が好き!
小さな一歩を積み重ねるような前向きな気持ちにさせてくれる
大切なうちなーぐちです。
(つづく)
金城真知子さんのコラム[カテゴリー:子育て 大人女子を応援]
ほっとする沖縄方言 vol.02
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フリーパーソナリティー
沖縄県南城市出身。琉球大学卒業。
ラジオパーソナリティー・ウェディング司会者・スマイルトレーナー®
FM沖縄『ちゅら玉・浪漫紀行』ではライター兼ナレーターを担当。
沖縄の自然や習慣・格言などを題材にウチナーグチを交えて紹介。
本コラムでは、沖縄で暮らす3児のワーキングママとして、家族の日常を綴っていく。