のうれんへGO! 新しい市場の始まり!|新城和博のコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

新城和博

2018年3月2日更新

のうれんへGO! 新しい市場の始まり!|新城和博のコラム

ごく私的な歳時記Vol.37|首里に引っ越して20年。「ボーダーインク」編集者でライターの新城和博さんが、この20年も振り返りながら、季節の出来事や県産本の話題をつづります。

那覇・開南バス停近くで育ったぼくは、「農連市場」も幼いころからなじみの風景だった。通称「のうれん」。牧志の公設市場とは違って、朝早く、いや深夜から活況を呈す市場だ。那覇近郊の農家から持ち込まれる野菜を主に業者に卸す市場なのだ。戦後しばらくして牧志の公設市場が出来た後に、野菜を卸したい近郊農家に利用してもらうために出来た市場で、農業連合組合の略が「農連・のうれん」なのである。

近年は、昼間行くと老朽化した木造の市場の中はうす暗く、人影はまばらだった。それでもぼくの小さい頃は、のうれん周辺はそれなりに一般客も普通に買い物できるくらいに売り場は開いていたような気がする。昔ながらの雰囲気が残った市場として、ここ数年は街歩きのツアーでも好評のコースのひとつとなっていたようだ。


オープン直後ののうれんプラザのセンター通り(勝手に名付けたとおり名)/写真左。オープンして三ヶ月後の正面、いろいろ整備されてきた/写真右


その農連が、老朽化した市場を一掃してあらたに複合型の市場施設を建築した。その名も「のうれんプラザ」。僕は去年11月のオープンから興味津々で通い始めた。

外観は、あののうれんとは思えないような立派なもの。昔ながらの市場の雰囲気から遠く離れてはいるので、がっかりしたという声は多く聞いた。またひとつ、ゆったりとした昔の那覇の街の風景が失われた、と。とりあえずぼくは、のうれんプラザを、ずんずん散策することからはじめよう。

建物の正面から中にはいると、飲食店が並ぶスペースが小さな商店街のよう。せんべい屋さんがコーヒーをやっていたり、青果卸の店が食堂・飲み屋をやっていたりと、よく見ると新しいのうれんの様子が分かってくる。フルーティーなサンドイッチ屋さんでジュースを飲みながら読書、山羊(やぎ)汁もあるスナックっぽいそば屋、さしみ屋のテークアウトもあるすし定食、沖縄産のイタリア野菜(近郊農家で作っている)専門の店など、ぼくは通いながら少しずつ、のうれんプラザの様子を味わっていた。まだ開いていない店舗もあるので、日々少しずつ変化しているみたい。このあたりのざっくりとしたオープンの仕方も、ぼくとしてはおもしろかったりするのだ。普通のショッピングモール的な商業施設だったら考えられないでしょう。

深夜からにぎわう、農連本来の卸スペースは建物の奥、川沿いに面したところにあり、昼間は昔のように店も閉まっていて閑散としている。そこだけ見て市場のにぎわいがない、なんて感じる人もいるよう。そういう方は深夜1時に来てください! その時間のにぎわいとその時にしか開かないそば屋もあります! と、のうれんプラザの方に熱く強く言われた。


サンドウィッチ屋さんのメッセージ/写真左。もやしさん、一見事務所みたいですが…/写真右


要所要所にある「もやし屋」さんが、のうれんの過去と未来を表しているような気がした。以前と同じように、店の中、外でもやしのしっぽ(根の部分)をとり続けているおばちゃんたち。話を聞いたら、「うちは業者から注文されたものをやっているから、以前と変わらない。ここは店の前においていたら通りすがりに買っていく人もいるので、前より売れているよ」とのこと。そう、以前は昼間は一般の人、買い物客は少なかったのだ。新しい客層との出会いが始まっているのかもしれない。

オープン以来、いろんな意見が出ているのうれんプラザ。おもしろいのは、きわめて批判的な意見と、ぼくのように「なんとなく面白い、可能性あるかも」と感じる意見にぱきっと分かれていることだ。ぼくは、のうれんプラザを勝手に応援することにした。自分なりに使いこなして、シマー化してみたいのだ。


かつての看板も移転した卸スペース/写真左。かつて農連市場は開発中、マンションとかたつらしい。戦前は畑でした/写真右

戦前、この場所は農業試験場の農場だった。まわりに集落がなかったガーブ川沿いの土地。沖縄戦で地元に帰れなくなった人々が集まり、開南周辺に闇市が出来て、それが公的に牧志公設市場に集約された。農連市場は、そうした流れの中で新しく出来た卸市場だったのだ。つまり始まりは何もないところに出来た新しい市場だったのだ。「のうれんプラザ」もまた新しい市場なのである。市場の始まりを見られるなんて、ちょっと面白いことだと思うのだ。ちなみにのうれんプラザの駐車場は1時間無料、深夜料金も格安です。

 

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ライター/編集者
1963年生まれ、那覇市出身。沖縄の出版社「ボーダーインク」で編集者として数多くの出版物に携わるほか、作詞なども手掛ける。自称「シマーコラムニスト」として、沖縄にまつわるあれこれを書きつづり、著書に「うちあたいの日々」「<太陽雨>の降る街で」「ンバンパッ!おきなわ白書」「道ゆらり」「うっちん党宣言」「僕の沖縄<復帰後>史」などがある。

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