新鮮って…面倒くさい|金城真知子のコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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彩職賢美|沖縄の輝く女性にインタビュー

COLUMN

金城真知子

2017年2月26日更新

新鮮って…面倒くさい|金城真知子のコラム

沖縄で暮らす3児のワーキングママとして、家族の日常を綴っていく。「沖縄で、暮らす・はぐくむ Vol.28」




冬になると、両親が趣味で育てた野菜が、わが家に大量に届く。

この時期だと、ホウレンソウにブロッコリー、タマネギ、レタス、うずら豆、ニンジン、ジャガイモ、サヤインゲン。さらにはカリフラワーなどなど。

母親は「自分たちで食べる分だから、少しずつしか植えてないさ〜」なんて言っているけど、300坪の畑から採れる量は「出荷したらいいのに」と思うほどである。

ちなみに、どんなふうに届けられるかというと、週末の披露宴の司会の際に、子どもたちをお願いした時というのが一番多い。車で子どもたちを迎えに来ながら「ま〜ち〜、今朝、畑から採ってきたからさ〜」と、洗った野菜を持ってきてくれるのだ。

それが先日は少し忙しかったようで、「ごめんね〜、畑から直接迎えに来たから、洗う時間がなかったさ〜」と、土付きのホウレンソウと新タマネギを持ってきた。

渡す時、母が「ホウレンソウはそのまんま置いていたら、すぐしんなりしてしまうからね。今、湯がくことができないんだったら水につけておいたらいいさ〜」とのこと。「えぇ!? これから司会なのに…」と、もらった側であるにもかかわらず、小さなため息が出る。子どもたちを送り出した後、「今、やらんといけないわけ〜」とブツブツ言いながら作業を始めた。





新聞紙に包まれたホウレンソウ。普段使いのボウルには入らない量だったので、洗面器サイズの大ボウルを出してくる。根っこの部分の土を落とそうにも、南部の土、湿った「ジャーガル」の大地で育ったホウレンソウの土は簡単には落ちてくれない。しばらく、水を張ったボウルにつけておく。30分もつけておけば、すぐに落ちるとのことだったが、その時間を待てずに仕事に向かった。





披露宴が終わり、帰ってきたら独特のタマネギの匂い。そして、台所には大きなボウルにホウレンソウ。「あっ、だった…」。疲れた体で漏れそうになるため息を飲み込んで、服を着替えた。早速、ホウレンソウの土落としをスタート。根本の部分の細かい土も、茎をかき分けて落としていく。

ひと束、ひと束、土が落ちているか確かめながら「新鮮って、面倒くさい…」と本音がぽろり。

と同時に、「お母さんって、この面倒くさいことを全部してくれていたんだ…」と、手が止まる。振り返ると、よくいろいろなお野菜を洗って持ってきてくれる母親に、「も〜! 食べきれないから、こんなにたくさん持ってこないで!」と強い口調で返すこともあった。ホント情けなくなって、申し訳なくなってくる。

『母の手間と 無言の愛情』

チャンプルー用を取り分け、残りは湯通し。結構な量なので、カレー用の大鍋にたっぷりの水を張った。お湯が沸くのだけでも、けっこう時間がかかるものである。

すると、また母親の顔が浮かぶ。「あんたは(子どもも小さくて)大変だから、湯がいたの(ホウレンソウ)を持っていきなさいね〜」。…そう、先週は、湯がかれたホウレンソウをもらったっけ。
ほかの野菜たちを見回してみると、丁寧に外側の葉を落としてあるレタス。洗われたニンジン。乾燥させたニンニク…。どれも、両親のひと手間が入っている野菜ばかりだった。

新鮮な採れたて野菜の裏には、作り手の「手間ひま」が隠れている。自分たちが食べるものだからと、農薬も極力使っていない。そういえば、レタスを見ながら「キレイぐゎ〜にネットをかぶせておいたから、今年は虫に食われてないさ〜」って、うれしそうだったな〜。そんな顔も、いまさらながら浮かんでくる。

私の父と母は、2人とも高校生の時に母親を亡くしている。普段は口にしないが、学生時代から相当な苦労をしてきたんだと思う。





それなのに「あんたは大変だから、お母さんがやるさ〜」が口癖で、私を少しでも楽させようとしてくれる。そして、仕出し屋さんのように大量に料理を作って保存容器に持たせ、振る舞うことも、還暦を過ぎた今も変わらない。父親の方も「なんでいいさ〜、できるんだのに! 心配しないで任せなさい」と大きな口を開けて笑っている。ホント、絵に描いたような沖縄の「オジちゃん・オバちゃん」である。

そんな二人に育てられた私は…、37歳になったいまでも子どものようにわがまま放題で、両親の前では子どもみたいに感情的になってしまう。

いつになったら、二人のようになれるのだろうか。
まだまだ両親の背中は、私には大き過ぎる。
新鮮な野菜たちを見つめながら、「自分にできる親孝行って…」と、しばらく考えこんでしまった夜だった。



 


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フリーパーソナリティー
沖縄県南城市出身。琉球大学卒業。
ラジオパーソナリティー・ウェディング司会者・スマイルトレーナー®
FM沖縄『ちゅら玉・浪漫紀行』ではライター兼ナレーターを担当。
沖縄の自然や習慣・格言などを題材にウチナーグチを交えて紹介。
本コラムでは、沖縄で暮らす3児のワーキングママとして、家族の日常を綴っていく。

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