本村ひろみ
2023年11月8日更新
文化の日はアート三昧して時の流れについて考えてみた|本村ひろみさんのコラム
フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。fun okinawaコラム「おきなわ暮らし散歩 Vol.107」
考えてみれば毎年11月のこの頃に「今年の夏は暑かったね」と言っているけど、いやいや今年の残暑は半端ない。レベルが違う。風が秋色になってない。
ファッション雑誌を見たらモコモコのマフラーでお出かけスタイルだし、お洋服屋さんのディスプレーはコートやニット、ブーツで華やかにクリスマスムードを盛り上げている。でも実際はまだ衣替えをするには程遠く、気温が30度ちかくあった3連休はTシャツで過ごした。洋服ダンスはまだ夏のまま。
そんな皆さんは、今長袖ですか?
さて、4年ぶり! とか5年ぶりに! という文言が踊る今年のイベントですが、秋といえば市町村祭りに産業祭り、学園祭や文化的なイベントもめじろ押し。芸術の秋も花ざかり。見に行きたい個展やグループ展が一同に開催されていて、体がいくつあっても足りないといううれしいスケジュールです。
たくさんあるイベントの中から11月3日の文化の日、体力が続く範囲であちこち出かけてみた。
まず首里の沖芸祭へ。お昼から古式行列の交通規制もあるので早めに家を出る。
久しぶりの琉球王朝祭り開催で、当蔵通りは出店の準備で活気づいていた。人がワサワサしているとつられてテンションが上がるから不思議。
澄み切った青空、沖芸祭の中庭ステージでは色鮮やかな衣装を着た学生がガムランを演奏し、屋台からは食べ物の匂い。まるでZine(個人や少人数の有志が、非営利で発行する自主出版物)のように制作された沖芸祭のパンフを手に校内をまわる。物販の学生たちとおしゃべりしたり、恒例の陶芸科の器をあれこれ選んだり、あっという間に時間がたった。後ろ髪をひかれながら次の目的地へ。
壺屋のギャラリーLuft shopで開催されている美術家・花城勉の個展「VALUE 2023 Connected」へ。彼の表現方法は身近にある素材を解体して再構築するインスタレーション。鉄の錆(さび)や安全ピン、画びょうといった繊細な素材を空間にドラマチックにインスタレーションする。今回の素材はホチキスの芯。それも膨大な数の芯をある方法でつないでコネクトさせている。よく見ると、らせん状に渦巻いているその黒い塊がふわりと空中に浮いていて、まるで雨雲のよう。花城自身がDJも務め会場には音楽が流れている。スタイリッシュでエッジが効いていて、ライトを当てると作品が生き物のようにうごめき出す。興奮して眺めていたら、あっという間の時間だった。そのうち花城(中学の美術の先生)の教え子たちがやってきたので、入れ替わって会場を後にする。
思いのほか、体力も気力も十分に残っていたので、国際通りを歩いてパレット久茂地まで。最後の目的地は那覇市歴史博物館。11月3日から開催されている「琉球国王の衣裳/朱漆と沈金の漆器展」。国王の「王冠(ぎょくかん)」も11月15日まで特別展示されていて、琉球国王の正装「唐衣裳」と王冠が並んで展示されるのは4年ぶりだそうだ。文化の日は入場無料とありにぎわっていた。王冠には当時の工芸の技が凝縮されていて、琉球王国時代の文化の豊かさが感じられた。
あっという間のアートな1日だった。
このままのテンポで時間が過ぎていくと、もしかすると気がつけば年末を迎えていて、時間は早く進んでいるのに気候だけが置き去りにされて、暑いままってこともありえるなって疲れた頭で考えた。
ただバスに揺られて帰る道のりは眠気と戦って家までの時間が長く感じられた。時の流れは手に負えない。
楽しい11月を!
ファッション雑誌を見たらモコモコのマフラーでお出かけスタイルだし、お洋服屋さんのディスプレーはコートやニット、ブーツで華やかにクリスマスムードを盛り上げている。でも実際はまだ衣替えをするには程遠く、気温が30度ちかくあった3連休はTシャツで過ごした。洋服ダンスはまだ夏のまま。
そんな皆さんは、今長袖ですか?
さて、4年ぶり! とか5年ぶりに! という文言が踊る今年のイベントですが、秋といえば市町村祭りに産業祭り、学園祭や文化的なイベントもめじろ押し。芸術の秋も花ざかり。見に行きたい個展やグループ展が一同に開催されていて、体がいくつあっても足りないといううれしいスケジュールです。
たくさんあるイベントの中から11月3日の文化の日、体力が続く範囲であちこち出かけてみた。
まず首里の沖芸祭へ。お昼から古式行列の交通規制もあるので早めに家を出る。
久しぶりの琉球王朝祭り開催で、当蔵通りは出店の準備で活気づいていた。人がワサワサしているとつられてテンションが上がるから不思議。
澄み切った青空、沖芸祭の中庭ステージでは色鮮やかな衣装を着た学生がガムランを演奏し、屋台からは食べ物の匂い。まるでZine(個人や少人数の有志が、非営利で発行する自主出版物)のように制作された沖芸祭のパンフを手に校内をまわる。物販の学生たちとおしゃべりしたり、恒例の陶芸科の器をあれこれ選んだり、あっという間に時間がたった。後ろ髪をひかれながら次の目的地へ。
壺屋のギャラリーLuft shopで開催されている美術家・花城勉の個展「VALUE 2023 Connected」へ。彼の表現方法は身近にある素材を解体して再構築するインスタレーション。鉄の錆(さび)や安全ピン、画びょうといった繊細な素材を空間にドラマチックにインスタレーションする。今回の素材はホチキスの芯。それも膨大な数の芯をある方法でつないでコネクトさせている。よく見ると、らせん状に渦巻いているその黒い塊がふわりと空中に浮いていて、まるで雨雲のよう。花城自身がDJも務め会場には音楽が流れている。スタイリッシュでエッジが効いていて、ライトを当てると作品が生き物のようにうごめき出す。興奮して眺めていたら、あっという間の時間だった。そのうち花城(中学の美術の先生)の教え子たちがやってきたので、入れ替わって会場を後にする。
思いのほか、体力も気力も十分に残っていたので、国際通りを歩いてパレット久茂地まで。最後の目的地は那覇市歴史博物館。11月3日から開催されている「琉球国王の衣裳/朱漆と沈金の漆器展」。国王の「王冠(ぎょくかん)」も11月15日まで特別展示されていて、琉球国王の正装「唐衣裳」と王冠が並んで展示されるのは4年ぶりだそうだ。文化の日は入場無料とありにぎわっていた。王冠には当時の工芸の技が凝縮されていて、琉球王国時代の文化の豊かさが感じられた。
あっという間のアートな1日だった。
このままのテンポで時間が過ぎていくと、もしかすると気がつけば年末を迎えていて、時間は早く進んでいるのに気候だけが置き去りにされて、暑いままってこともありえるなって疲れた頭で考えた。
ただバスに揺られて帰る道のりは眠気と戦って家までの時間が長く感じられた。時の流れは手に負えない。
楽しい11月を!
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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。