シュールな世界にガツンと目を覚まさせるサクラの満開|本村ひろみのコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

本村ひろみ

2022年4月4日更新

シュールな世界にガツンと目を覚まさせるサクラの満開|本村ひろみのコラム

フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。fun okinawaコラム「おきなわ暮らし散歩 Vol.89」

花の季節は雨の日も風景に色があふれている。
ブーゲンビリアの赤、ハイビスカスの黄色、ツツジのピンクに赤や白、メイフラワーの薄紫、イペーの黄色、そして玄関のランも次々と黄色いやオレンジの花を華やかに咲かせている。雨の日が続いているけど、傘をさして新緑を見上げながらの散歩も楽しい季節が到来しました。私も風景の変化を見つけるため、立ち止まったりしながらゆっくりと歩くようにしています。
皆さんも爽やかな4月を迎えていますか?

 
さて、3月末にユーミンのライブを見るため東京へ出かけた。
数日まえから天気予報で桜の開花をチェックしつつ、何を着ていこうかと悩む楽しさ。桜のころの東京はいつぶりだろう。心が弾む。感染症のニュースは耳に入ってくるけど、予防も対策も万全にして日常をゆっくりと取り戻したい。そう思いながら出かけた3年ぶりの東京はソメイヨシノが視界にひろがる見事な風景だった。空港から出てすぐ、車窓は花びらに埋め尽くされた。青空のむこうがうっすらと霞み、風に舞う白や薄紅の花びらがまるで一幅の絵のよう。そしてその風景は、マスク姿でうつむく人々が揺れる静かな車内で、遠い国の悲しいニュースを手のひらの携帯で見ていた私の心に衝撃だった。すべてが同じ瞬間にある。目を覚まして心を整えて眼前の風景に思いをはせる。はやく暖かい春の光が世界を包みますように。



ライブは心震えた。
会場を出るとかじかむような花冷えだったけど、ネオンと街頭の間に浮かぶまるで綿菓子のようなサクラを眺めながら歩いた。寒いけどどこまでも歩いていける気分だった。ユーミンの春の名曲『経る時』をくちずさみながら。



『経る時』
「窓際では老夫婦が
ふくらみだした蕾をながめてる
薄日の射す枯木立が
桜並木であるのを誰もが忘れていても
何も云わず やがて花は咲き誇り
かなわぬ想いを散らし 季節はゆく。

二度と来ない人のことを
ずっと待ってる気がするティールーム
水路に散る桜を見に
さびれたこのホテルまで

真夏の影 深緑に
ペンキの剥げたボートを浸し
秋の夕日細く長く
カラスの群れはぼんやり
スモッグの中に溶ける

どこから来て どこへ行くの
あんなに強く愛した気持ちも
憎んだことも 今は昔
四月ごとに同じ席は
うす紅の砂時計の底になる
空から降る時が見える
さびれたこのホテルから」
(1983年 アルバム「REINCARNATION」より)


 空を見上げるすべての人に美しい時だけがそそがれますように。



 

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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