「ミュージシャンは旅人」|本村ひろみのコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

本村ひろみ

2021年11月4日更新

「ミュージシャンは旅人」|本村ひろみのコラム

フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。fun okinawaコラム「おきなわ暮らし散歩 Vol.84」

秋ですね。
行動が緩和され各地でイベントや美術展、コンサートがいっきに開催されています。
今まで行けなかったぶん、あっちこっちの催事に行きたくて困ってしまうといううれしい悩みの今日このごろ、皆さんはどんな秋を過ごしていますか?
澄みきった青空に風も心地よくて、おろしたてのブーツやワンピースで出かけたくなる11月は短い秋を楽しむ貴重な時間。私のスケジュール帳には行きたい展覧会の予定で文字が踊っています。
 


好きなミュージシャンのコンサートツアーの日程はほぼ毎日チェック。
今日は大阪にいるんだとか、名古屋に移動したんだ、とか。テレビで全国の天気予報をやっていると、ツアー場所のお天気まで確認したりとライブに行かなくても気になるのがファン心理。今はSNSでライブに行った人の感想も読めるしアンコール曲や当日の様子も分かるから少しばかり行った気分を味わっています。

ツアーはだいたい半年から1年続く。
全国各地を移動しながらツアーをするミュージシャンたちは旅人。その土地で感じたインスピレーションが演奏や歌に反映される。なので、違う土地ではどんな演奏をしているのか気になる。コンサートはその土地でしな味わえない音にきっと出会えるに違いない。

11月3日文化の日。
“晴れの特異日”という名にふさわしく見事な青空が広がった。
首里城復興祭が開催され、県立博物館・美術館では沖縄に生まれ、あるいは沖縄にゆかりのある16人の作家の作品を紹介する「琉球の横顔」が開幕した。そしてチェリストのヨーヨー・マが世界36カ所で演奏するバッハプロジェクトを日本では唯一沖縄で公演があった。そんな心躍る文化の日に、私は若手音楽家のホープ、日本を代表するチェリスト宮田大と新進気鋭で同じく活躍中のギタリスト大萩康司のデュオ・リサイタルを鑑賞するため読谷村文化センター鳳(おおとり)ホールへ出かけた。



きちんと身なりを整えて出かける高揚感、少し早めに現地に向かい散策したりマーケットをのぞいたりするワクワク感。58号を北上するだけで旅気分を味わえた。その日は交通量も多く、皆が久しぶりのお出かけを楽しんでいる雰囲気が伝わってきた。
初めて行った鳳ホールは緑に包まれていた。
おいしい空気を胸いっぱいに吸い込みながら開場までの時間、自然を眺めながら過ごした。

 


開演。
ステージは黒い椅子と譜面台だけのシンプルなしつらえ。
登場してきた2人も黒の衣装で統一していた。
静寂をきって奏でられたのはサティのジュ・トゥ・ヴ。心地いい音色からスタートした音楽の旅はブラジルへ。ニャタリの南米の香り漂う魅惑的な世界。そしてご当地ならではの歌三線を仲村逸夫と宮城茂雄の舞いでコラボレーションした浜千鳥。西洋の楽器と沖縄の三線が絶妙な味わいをみせた。
後半ヴォーン・ウィリアムズの“揚げひばり”では、イギリスの田園風景に飛びかうひばりを弦の音でステージに登場させ、ラストはピアソラの情熱的な世界へ。
 
静寂それを破る緊張。
アンコールで演奏したピアソラの「オブリビオン(忘却)」では物悲しく美しい音色に心を揺さぶられた。
弦の響きが消えるまでの静寂。素晴らしい演奏だった。


 
会場から出ると空にはオレンジの輝きをのせた雲がひとつ、暮れゆく空に浮かんでいた。
音楽を楽しみ、帰宅したキッチンで購入したサイン入りのCDを聞きながらサラダを作った。読谷ファーマーズマーケットで買ったバタフライピーの花をのせて。
少しの遠出、空と海を眺めながらのドライブ。
音楽を堪能し地元の食材で食卓を彩る。
なんて幸福な一日なんだろう、と思った文化の日でした。

本村ひろみ

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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