一人を楽しむ美術館|本村ひろみのコラム|fun okinawa~ほーむぷらざ~

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COLUMN

本村ひろみ

2020年10月28日更新

一人を楽しむ美術館|本村ひろみのコラム

フリーパーソナリティーの本村ひろみさんが、暮らしを楽しむアンテナを巡らせて日々の沖縄・風景をレポートします。fun okinawaコラム「おきなわ暮らし散歩 Vol.72」

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一人を楽しむ美術館
 
名前と存在は知っているけど、なかなか足を踏み入れられない場所。
そんな場所がありますか?
例えば、敷居が高い(ような)店構えで入るのに躊躇(ちゅうしょ)するとか、お洒落(しゃれ)な雰囲気を楽しみたいけど一人ではどうも入りづらいとか。
一歩足を踏み入れてみたらどうってことなかった、って経験談も聞いたことあるのですが、多分その一歩がとてつもなく重いのでしょう。
でも“遠慮なく”よりは“躊躇して”の方がその後に与える影響は大きい気がします。
年を重ねていくとそんな場所が少なくなっていくので、「まだ足を踏み入れていない空間」は、ある意味人生の伸びしろかもしれませんね。


 





若い友人が「美術館や博物館、ギャラリーや美術サロンには自分で行ったことがないんです」と告げた。
「どうして?」と聞くと「興味はあるけど一人では行きにくいし、どんなふうに絵とか展示しているものを見たらいいのか分からない」と。美術館や博物館は学校の行事で行ったくらいで、ギャラリーやサロンに至っては恐れ多いとの感想。でも興味が無いわけではないらしい。
「普通に行ったらいいよ。」
身も蓋(ふた)もない私のアドバイス。でも、本当にそう思うのです。
最初は普通に(たまたまやっていたから行ってみた、時間があったから、のぞいてみた)くらいの感じで足を踏み入れてみる。きっと「これはなに?」とか「きれい」「好き」「苦手」と勝手に感情が湧き出てきます。気になったら作品の背景とか作家について調べてみればいいんです。図録も売っているし。無料のパンフレットも置いている。美術サロンやギャラリーでは運が良ければ作家自身からその作品の解説もしてもらえます。ぐるっと会場を眺めようが、じっくりと作品と向き合おうが、それも自由。
分かるもいいし、分からないもいい。感じ方も個性。
自分なりの鑑賞スタイルに正解はありません。
もしかして経験を積めば変わってくることもある。のめり込んだら調べればいい。まずは行ってみる、見てみる、から始める。




 現在、沖縄県立美術館・博物館で「稲嶺成祚展 きごうの、ふうけい」が開催されている。うちなーんちゅならきっと一度はどこかで見たことのある稲嶺氏の絵。
「何を描くかも大事だが、どのように描くかの方に、より重大なメッセージが入る」と語る稲嶺氏の60年の画業から、その変遷を辿りながら、4章に分け作品約90点が展示されている。
ハッピーな気分にさせるポップでカラフルな稲嶺氏の絵はもともと好きだったが、初期の「第1章 写実からの脱却」ではどの作品にも足が止まった。平面性。非リアリズム。「二人の人物」「二人の少女」「少女とハト」「働く女性」どれも好き。稲嶺氏の象形文字のような線の表現も楽しげだけど、初期の力強い平面性はとにかく好み! 意志の強さを感じる自画像もすてき。そんなミーハーな感想もOK。だって私だけの感想だから。



 会期は11月3日まで。ぜひ足を運んでください。




 

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ロマンチストなラジオDJ
那覇市出身。清泉女子大学卒業、沖縄県立芸術大学 造形芸術研究科修了。現在、ラジオ沖縄「GO! GO! ダウンタウン国際通り発」「We love yuming2(毎週 日曜日 19時~20時)」でパーソナリティーを務める。

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