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2020年7月16日更新

[彩職賢美リターンズ]レキオファーマ株式会社 代表取締役社長の奥キヌ子さん|医薬品やサプリで健康づくりに貢献

彩職賢美に出た人が再登場する「彩職賢美リターンズ」。医薬品や健康補助食品の研究開発・製品化を行うレキオファーマ㈱代表の奥キヌ子さん(73)は、「沖縄ならではの産業を起こしたい」と業務に励み、29年目を迎える。「沖縄から日本全国、世界へ羽ばたかせる、健康に役立つ品を出すのが目標」。現在、医食同源の考えに基づきサプリの研究や開発、普及に力を注いでいる。

レキオファーマ株式会社 代表取締役社長
奥 キヌ子 
さん

沖縄から世界へ  製品通じ元気を

私の育った糸満市は女性が働き者のまち。女性の起業家が多く、そうした先輩の存在が刺激となって、起業への思いが募っていきました。どちらかというと思い立ったら動いてみるというタイプかも。学生時代は中国語クラブに所属し、先輩から「将来は沖縄とアジアの懸け橋になりなさい」との薫陶(くんとう)を受けて、いつしか使命感が芽生えてきたんです。「沖縄らしい産業を興したい」との思いで、貿易業に始まり、医薬品や健康補助食品の研究開発、普及と自分の思いを信じ、突っ走ってきました。


製薬会社と共同で 痔の薬を開発

大学で栄養学を専攻した私が卒業後、まず始めたのは貿易業。学生時代に台湾への留学経験があり緑豊かで農業が進み、自給自足できる経済が成り立っていたことに影響を受け、亜熱帯植物の輸入販売を行う貿易会社を立ち上げました。さらに本格的に事業を広めることを目指し、資金作りのため夜はクラブの経営もしていました。

その頃、学生時代の先輩が中国から持ち帰ったという薬を見せてもらったことが転機になりました。それは、痔を切除せず注射で治す「消痔霊(しょうじれい)」という薬だったのですが、見た瞬間「これだ!」と思ったんです。輸入業でネックとなる物流コストが抑えられ、付加価値の高い医薬品の可能性に注目。中国に飛び、開発者に会うと中国以外の国で開発する権利を任されました。
しかし、日本では中国での認可は通用せず、新薬として開発を一から始めなければならなかったため製薬業に門外の私が新薬開発に足を踏み入れることに。

知って驚いたのが、薬が認可されるまでの期間と資金。基礎研究、非臨床試験から臨床試験まで約15年の月日と数百億円以上という莫大な資金を要します。ベンチャーキャピタルからの支援を受けましたが、研究にお金は消え、常に資金繰りとの闘い。「このままでは厳しい」と開発力に定評のあった製薬会社との共同開発を決め、開始から15年後の2005年に痔の治療薬「ジオン注」を世に出すことができました。

「ジオン注」が発売された2005年に彩職賢美で紹介していただき、沖縄で新薬が開発されたことを多くの方に知ってもらえる、とてもいい機会になりました。


医食同源の考えで クルクミンに注目

「ジオン注」の発売開始後は、投資家の方から「次は何を開発するの?」と問われていて、模索する中、これまで苦労を重ねてきた医薬品以外のものの開発を目指しました。その際、沖縄の“医食同源”という言葉に思い至り、先人たちが知恵として言い伝えてきた薬草の研究を開始しました。

研究を進める中で、ウコンに含まれるクルクミンが認知症に良いという国内外の論文やデータに触れ、クルクミンを追求すると、体内の炎症を抑え、抗酸化作用が強く認知症の予防にも効果が期待できることが分かったのです。専門の先生方の教えをいただきながら、認知症予防サプリ「メモリン」の開発に至りました。

利用者からは「気持ちが前向きになった」などと好評をいただいております。


人生100年時代 自分らしく

業務において「初志貫徹」の気持ちで取り組み続けています。若い職員も成長し、私もそろそろバトンタッチしなければという気持ちもありますが、まだ道半ばの案件もあり、リスクがある間は、自分で負わなければと思っています。リスクが回避できれば、次の世代につないでいきたい。

今思えば、医薬品開発に無知だったからこそ開発に踏み出せたと思います。大変な時期もありましたが、途中でやめようと思ったことはなかったですね。

長年、研究開発を続けてこられたのは、共同開発した企業をはじめ、専門家の方々や私共の事業に賛同していただいた投資家の方々など多くの支援が大きい。また、「この商品は絶対に多くの人のためになる」という強い思いと自信を持ち続けたからだと思います。

素人でも夢をあきらめず、時間がかかっても歩み続ければ、夢は実現できる。これから、何かにチャレンジしたいという人は、自分の目標をしっかり描き、広い視野を持って自分らしく歩んでいただきたいと思います。

人生100年時代。定年後も自分の好きなことに挑戦でき、学び、元気で働ける。社会の一員として活躍でき、幸せを感じられる社会づくりが大事だと思います。私たちの手掛けた製品が、国内外に普及し、自分らしく元気に過ごすための支えになるとうれしいですね。
  

受賞が励みに

 
レキオファーマ(株)提供

有望なベンチャー起業家を表彰する「2004年ジャパンベンチャーアワード」で、痔の治療薬「ジオン注」(写真右)を開発した奥さんは、経済産業大臣賞を受賞した(同左)。「まさか、そんな名誉ある賞を受賞できるとは、びっくり」と笑う。さらに、「もっといいものを出していきたい」と仕事の励みになった。


ホモシステイン値を意識

サプリ開発では、クルクミンが体の炎症を抑えることに注目し、クルクミンに必須脂肪酸やビタミンを配合したメモリンには、ホモシステイン値を下げる効果も期待できることが分かったという奥さん。「ホモシステインは血管老化物質。値が高いと心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。自分のホモシステイン値を知ることは健康を維持する上で重要。気になる人はかかりつけ医に相談してほしい。検査は保険適用になっています」と話した。

■レキオファーマ(株) https://www.lequio‐pha.co.jp/


プロフィル
おく・きぬこ
1946年、糸満市生まれ。23歳で貿易業を起業、クラブ経営も行う。91年に医薬研究開発会社「(株)中薬研」を設立。94年、同社代表取締役に就任。2000年、レキオファーマ(株)に社名変更。2004年、新医薬品「ジオン注」の製造承認を取得。翌年発売開始。2013年認知症予防サプリ「メモリン」を開発。


初登場の紙面(2005年3月10日号掲載)


撮影/比嘉秀明 文/安里則哉
『週刊ほ〜むぷらざ』彩職賢美リターンズ<9>
第1719号 2020年7月16日掲載

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日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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