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2020年5月7日更新
[特集]新型コロナ対策|医師に聞く気になるコト 新型コロナウイルスQ&A
新型コロナウイルス対策で、気になることを県立中部病院・感染症内科の横山周平医師に聞きました。新型コロナかも、と思ったらどうしたらいい? マスクの取り扱い方や特に気をつけるべき疾患などを紹介します。
かぜ症状出たら1週間外出控えて
Q. かぜっぽい症状があります。A. 1週間外出を控えて
当院の感染症内科で「沖縄県に暮らしている皆様へ」というメッセージを出しました。核となるのは、「発熱やせきなどの風邪症状がある人は、発症してから1週間は外出を控えてください」というものです。体調不良時、新型コロナウイルスに感染したかもしれない、と心配する気持ちは分かるのですが、感染していても基礎疾患がない若い方であれば、多くの方は風邪症状で自然と治るので、必ずしも病院やクリニックを受診する必要はありません。症状があれば、自分が新型コロナウイルス感染症かもしれないと考えて、周囲に感染させないために外出を控えることが大切です。ただし、重症化のリスクがあると言われている高齢者、基礎疾患のある方、妊娠されている方は要注意ですので、かかりつけのクリニックに相談した方が良いでしょう。それ以外にも、少し動くだけで息苦しい、せきが著しい、体がだるくて動かせない、といった重い症状がある時は病院にご連絡いただいた上で受診をした方がいいでしょう。緊急を要する事態なら救急受診となります。新型コロナは一部の方(約20%)は重症化すると言われており、短時間のうちに急激に呼吸状態が悪くなる例もあります。
Q. いつ病院を受診?
A .ひどいせき、苦しい呼吸は受診を
いつもよりもひどいせきが出たり、歩いたり会話を続けていると呼吸が苦しくなるという症状が出たら、病院にご連絡いただいた上で受診が良いと思います。重くはないけれど、風邪のような症状が変わらず残っている(例えば夜間に症状があっても、わざわざ病院を受診するほどでもないくらい)場合は、保健所に連絡して対応を聞いた方がいいでしょう。
仕事などで長期間休むことが難しく、症状が軽い場合は、テレワークなど在宅勤務ができると良いですね。ごく軽い症状が続くだけで、出勤しなければならない場合は、手指衛生やマスクの着用を徹底してください。昼食の際はマスクを外してしまうので、他人と同席しないことをお勧めします。ただし、本来は体調が悪い時はしっかり休んで体調を整えることが重要です。体調が悪い人は休ませるのが当然、という社会になるといいですね。
Q .市販薬(イブプロフェン系)は避けるべきとSNSで見たのですが…
A. 医学的な根拠はありません
新型コロナウイルスに対するイブプロフェンについては、当初フランスの医師が発言しておりましたが、本当に症状を悪化させてしまうのか、医学的な根拠はないようです。大事なことは、新型コロナウイルスに対する特別な治療法はまだ見つかっていないということ(2020年4月27日現在)。さまざまな薬や治療法に対して臨床研究や治験が行われ、有効性や副作用などの結果を待っている段階です。SNSで得られた情報が正しいかどうかをよく吟味せずに飛びついてしまったり、過度に心配し過ぎてしまってはいけないと思います。
Q. 特にリスクが高い基礎疾患は?
A. 心疾患や糖尿病など
中国が2月に発表した統計から、心疾患(狭心症や心筋梗塞など)の致死率が最も高いことが分かっています。その後に、糖尿病、慢性呼吸器疾患、高血圧、がんなどの病気を抱える人、と続きます。持病のある人は、持病をコントロールすることを意識していただきたいです。例えば、高血圧なら血圧をコントロールする薬の飲み忘れを防ぐ、といったことです。この機会に、改めてご自身の持病や薬のことを勉強してみてはいかがでしょうか。
中国本土での新型コロナウイルス感染症の基礎疾患ごとの症例数と死亡率
出典/中国CDC
Q .子どもの対策は?
A. いつも以上に体調に配慮
マスクは大人でも取り扱いが難しいので、特に小さなお子さんには正しい扱いが難しいかと思います。遊ぶ中でマスクが汚れ、そのまま装着し続けることは、衛生的にも良い状態ではありません。基本的なことですが、外出後、食事の前、トイレの後などに、きちんと手を洗うようお子さんへ意識づけること。また、親ごさんにはいつも以上にお子さんの体調に気を配っていただき、体調が悪いときには、学校や保育園に通わせないようにしてください。
Q .妊婦への影響は?
A. まだ不明ですが、特に気を付けて
今のところ、妊婦さんが新型コロナウイルスに感染した場合の影響は定まっていません。重症化しやすいことがある、という報告と、そうでもないという報告と、どちらもあります。ただ、妊婦さんは一般的に免疫力が低下していて感染症に弱く、インフルエンザにかかった場合は重症化しやすい傾向があります。1人の体に二つの命が宿っているので、感染しないように特に気をつけていただければと思います。
Q .使い捨てマスク繰り返し使ってもいい?
A .使いまわしは避けて
使い捨てマスクの再利用は、機能的、衛生的に避けた方がいいでしょう。細菌やウイルスを防ぐためには、マスクをしっかり顔にフィットさせることが必要なので、マスクのノーズワイヤーがフィットしなくなったり、マスクがヨレヨレになったり、湿ったりしたら、替え時です。
Q .マスクをつけている間の注意点は?
A .マスクの前面は触らない
マスクの前面は、細菌やウイルスなどで汚染されていると考えて手で触らないこと。人は眼鏡を直す、顔をかく、鼻を触るなど、無意識のうちに顔を触りがちなのですが、マスクを触った手で顔を触ると感染リスクが生じます。長時間マスクをしていると、ずれてきて直すことがあると思いますが、その際も前面は触らないこと。もしも前面を触ってしまったら、手洗いを。マスクはきちんと使わないと、効果を発揮しません。WHO(世界保健機関)は、マスクの着用前や取り外し後に、手洗いやアルコール消毒することを勧めています。また、マスクは自身が気付かずに感染していた場合に他の人にうつさない効果は期待できますが、感染予防の効果はないと言われています。マスクを過信せず、手洗いなどの対策をしっかり行いましょう。
Q. 感染が拡大していて、不安が膨らみます。
A. 基本的な対策でリスクは減らせます
感染症の多くは予防ができます。新型コロナウイルスも、ワクチンはまだありませんが、対策をすることで感染する可能性はグンと下げられます。よく言われていることですが、手洗いや咳エチケット、3密を避ける、人との接触を避ける、といった基本的な対策が何よりも大切です。中でも気にしてほしいのは、「手」です。手には、トイレの便座よりも多くの細菌がいる、とも言われています。手は汚れているものという認識を持ち、手洗いやアルコール消毒を心掛けていただきたいですね。また、スマホやパソコンなど手でよく触るもの、特に他人と共有しているものは注意が必要です。
アルコールは速乾性があり、どこでも使えて手軽ですが、汚れ(たんぱく質)に弱い特徴がある。
水とせっけんによる手洗いは、汚れも落とせる。汚れがある場合は手洗い、手軽に済ませたい時はアルコールなど、状況に合わせていずれかを用いるといい。
★「タイムス住宅新聞」でも新型コロナウイルス対策について紹介しています。
※掲載している情報は、4月27日現在
『週刊ほ〜むぷらざ』特集・新型コロナ対策 医師に聞く気になるコト
第1709号 2020年5月7日掲載