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2019年11月7日更新
「マインドフルネス」って?|自分を整える心の筋トレ
「〇〇」調べます!
アメリカのグーグル社でも取り入れられ、話題となったマインドフルネス。そもそもどんなもので、どう取り組んだらいいのだろう? 琉球大学の伊藤義徳准教授に教えてもらった。
Q.「マインドフルネス」って?
A.自分を整える心の筋トレ
思考のクセから自由になる
伊藤さんは「マインドフルネスとは、『今ここ』に意識を向けること。思っている以上に心は自動的に動き、イライラや落ち込みを増幅させてしまう。そうした心の動きに気づくと、思考のクセから自由になれる」と話す。
そもそもマインドフルネスの大本は仏教で、釈迦が作った心のトレーニング法。近年、マインドフルネスによって脳が変わり、心が落ち着く、集中力が上がるといった効果を得られることが科学的に実証され、世界的なブームになったという。
その手法の「マインドフルネス瞑想」は、静かに「今ここ」に意識を向ける。思考や感情が湧いてきたら、手放す。
「マインドフルネス瞑想を繰り返すことで、心のあり方が変わる」と伊藤さん。
例えば、人にイライラした時は「過去にも同じことをされた」などと考えることで、自分でいら立ちを増している。それが、「できごとが起きた瞬間に『怒り』や『自分で増幅させる』心の動きに気づくと、過剰に感情に振り回されなくなる。マインドフルネス瞑想を続けて、冷静に自分を見られるようになり、穏やかになったと言う人は多い」と言う。
伊藤さんはマインドフルネスを用いたうつ病の再発予防について研究。少年院でもマインドフルネスの実習・講義をし、子どもたちの変化を実感している。
「一度で変化するものではないので、筋トレのように続けることが大切です。情報が多く外からの刺激に踊らされやすい今、自分を整える手法として有効だと思います」
やってみようマインドフルネス瞑想
①背筋を伸ばして座る。
足を組んで床に座っても、椅子に座ってもよい。目は軽く閉じるか、薄く開ける。
手は楽な位置に置く。手のひらを上にして膝の上に置いたり、親指と人さし指で輪っかを作ってもよい。
②「呼吸」に意識を置く。
例えば、おなかや胸が膨らんだり縮んだりすること、鼻先を風が出たり入ったりすることを感じる。
途中で関係のないことを考えたり感じたら、呼吸に興味を戻す。何かを感じなければいけない、どんな考えは悪いということは一切無い。どんな考えも、ただ優しく手放す。
※最初は1日5分ほど行う。
やってみたマインドフルネス瞑想
伊藤義徳研究室が主催するマインドフルネス瞑想会に記者が参加した。
床に座って足を組み、目をつむる。「呼吸に意識を向けましょう」という伊藤さんの声に導かれて、無音の中、呼吸とともにおきる、胸やおなかの動きに意識を向ける。
最初はよかったが、途中で退屈してきたのかイライラしてくる。「思いや感情が沸き上がって来たら、そのことに気付き、ただ呼吸に意識を戻しましょう」という伊藤さんの言葉に励まされ、何とか呼吸に意識を向ける。途中、やらないといけないことや、映画のような幻想が出てくる。ハッと気づいて、また、意識を呼吸に戻す。
45分を終えた時には、足や腰が痛い。何とかやり終えたことにホッとした。それでも、ほかでは得られない静かな時間で、面白い体験だった。
同研究室では、定期的に瞑想会を行っている。
詳細はホームページ http://okinawa-mindfulness-meditation.blogspot.com/
いとう・よしのりさん。琉球大学人文社会学部人間社会学科 心理学プログラム准教授。公認心理士。臨床心理士
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編集/栄野川里奈子
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第1684号 2019年11月7日掲載