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2019年7月25日更新

沖縄を知るヒントは足元に―「高島」と「低島」|地元の宝ありんくりん[4]

執筆:竹内章祝
沖縄を知るヒントは足元に有り! 沖縄には大小合わせて約160の島があり、大きく「高島」と「低島」という二つに分かれ、それぞれ特徴があります。本島は、高島と低島が混在する特殊な島です。

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本島は混在

「高島」とは「高い山を持つ島」、「低島」とは「高い山のない島」を表します。
高島の代表的な島は、本島北部・久米島・石垣島・西表島・与那国島・渡嘉敷島など。対する低島は、本島中南部・宮古島・伊良部島・竹富島・波照間島などが該当します。この中で沖縄本島は、ひとつの島に高島部と低島部が混在している特殊な島といえます。

ではここからは、実際に高島と低島の特徴を比較しながら見ていきましょう。


果物か野菜か

まずは高島。おやおや? この地域ではパイナップル、たんかん、シークヮーサー、アセロラなど果物(果樹)栽培が盛んではないでしょうか。 では、低島はどうでしょう。葉野菜、根菜といった野菜類の栽培が盛んです。なぜでしょうか? 

実は高島と低島では土壌、つまり土の質が大きく異なっているのです。高島は主に国頭マージという酸性の土壌が中心で、一方の低島は、島尻マージやジャーガルといった弱アルカリ性の土壌が占める割合が高いのです。そのため酸性土壌を好む果樹を高島で、アルカリ性土壌を好む野菜類は低島で主に栽培しているのです。


自生する樹木は

沖縄を代表する樹木の「ガジュマル」。公園などで普通に見られますが、高島の山中で自生している姿を見たことはありますか? 山中では、イタジイやヒカゲヘゴが目に映るのではないでしょうか。
それもそのはず。実は木々にも好みの土壌があって、ガジュマルなどはアルカリ性土壌を、イタジイなどは酸性土壌を好みます。自生する樹木に目を向けると、土壌が分かるのは面白いですね。

また、沖縄自動車道からの景色も注目です。那覇から北上し、うるま市石川を過ぎた辺りから周辺の景色はガラッと変わります。高い山がドンと構え、イタジイの木が視界に飛び込んできます。これは低島から高島への境界線を越えたことを意味しています。

高島地域に自生する小判模様の幹が特徴の「ヒカゲヘゴ」
 
ブロッコリーのような枝ぶりでドングリの実をつける「イタジイ」。酸性土壌を好む

川が多い、少ない

高島は無数に川が流れダムも多いですが、低島では河川の数が少ないです。この差は、形成する大地の素材の違いが原因です。
高島の大地は主に噴火などで造られた固い岩盤で形成されているため水は地表を流れ落ち、それらが集まって川になっています。

対する低島の大地は、サンゴ礁の隆起によってできた琉球石灰岩で形成されています。
琉球石灰岩の表面には無数の小さな穴が空いているため水は地中にしみ込み、結果、低島に河川ができにくくなっています。その分、地中に地下水が豊富に流れ、それらをせき止めて貯水する地下ダムが建設されています。地下水の浸食で鍾乳洞(ガマ)が多いのも低島の特徴と言えます。


岩の種類

大地を形成している素材(岩質)の違いは、集落にある家の石垣や、グスクの城壁を見ても確認できます。本島北部を代表する今帰仁城跡の城壁はいかにも固くて重そうな岩(古生代石灰岩)が積まれていますが、玉城城跡など中南部のグスクの城壁は、軽量でもろい琉球石灰岩で築かれています。

普段あまり意識することのない足元の秘密を知ると、点と点がつながり、新しい「沖縄」が見えてきますね。
 
南城市にある玉城城跡の城壁。低島地域で見られる琉球石灰岩の石積み。琉球石灰岩の表面には無数の小さな穴が空いている
 
今帰仁城。古生代石灰岩の石積み

 

執筆者

たけうち・あきのり
末期の沖縄病に感染した東京下町出身の人情派! 韓国や戦中のユーゴスラビアなど20年近くを海外で過ごし、沖縄に移住。沖縄地域通訳ガイド(韓国語)、通訳案内士養成研修講師など。
 

毎週木曜日発行・週刊ほ〜むぷらざ
「第1669号 2019年7月25日紙面から掲載」

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