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2019年5月9日更新

[彩職賢美]沖縄女子短期大学助教の羽地知香さん|親子に寄り添う保育士に

長年、保育士として障がい児保育に携わってきました。その経験を大学の学生に伝えながら、およそ月1回、自然の中での遊びを通して親子がホッとできる、楽しい空間を提供しようと、那覇市の「うえのいだ」で開催される「木漏れ日喫茶」にも参加しています。保育士としての感性を常に磨きつつ、地域と大学をつなぎ、保育士を育てる一人として役割を担いたいと思っています。

“バムちゃん”は遊ぶ魔法使い

沖縄女子短期大学助教
羽地知香 
さん

遊び通し子の成長見守る 学生に経験、実技を伝授

「バムちゃん、見て~!」。小鼻を膨らませた子どもの小さな指に小さなカエルが挟まっている。

「おーっ、すごーい! よく捕まえたね。そうだ、あの小さなお友だちにも見せてあげようか」と羽地さん。男の子は大きくうなずくと、別の親子のところに走っていき、カエルを持つ手を勢いよく差し出した。

那覇市にある畑でおよそ月1回行われている「木漏れ日喫茶」には、毎回、多くの親子連れが参加する。バムちゃんこと羽地知香さんは畑の主である玉城真さん、純さん夫妻から「子育て支援をしたい。保育士としての力を貸してほしい」と声を掛けられ、2年前から参加。純さんからは「どんな子も大きい心で受け入れる。まるで魔法使いのよう」と信頼されている。

4月に行われた木漏れ日喫茶は「花摘み」がテーマ。ところが子どもたちは木登りやブランコ遊び、カエルの捕獲に夢中になったりといろいろ。「木漏れ日喫茶は保育園ではないので、子どもの感性や自由度を大切にしています。テーマを作るメリットは約束事が生じるということ。それは社会で生きていく中で大事なことです。また、テーマがあると感動を共有しやすい。花摘みというテーマがあっても、子どもらしく子ども自身が遊んでいければいい」と話す。

木漏れ日喫茶では大人、子ども、先生の区別はなく、ニックネームで呼び合う。「みんな遊びの仲間。だから私はバムちゃん、真さんはまこけー、純さんはじゅんじゅんと呼ばれています。ここは楽しくって、なんでも話せる場所にしたい。『~ねばならない』を取っ払いたい」

同じ目線に立って、自然の中で遊び体験を通しながら、「親が子どもと一緒にこの時間を過ごせて良かったと思う空間をつくりたい」と目を輝かせる。


児童福祉施設で働くことが高校生のころからの夢だった。結婚を機に夫の郷里、沖縄に移住し、那覇市や沖縄市で非常勤保育士として働く中で障がい児保育を本格的にやりたいと考え、さまざまな講演会や勉強会に足を運び、大学にも通い直して社会福祉を学んだ。

21歳になる息子は10歳のときに自閉症、発達障がいと分かった。保育士として母として、障がい児保育に向き合ってきた羽地さんは現在、その経験を大学の学生に伝えている。経験を交えた実践的な講義が人気だ。

「保育士として私の20数年の経験に理論をしっかりと結びつけ、学生に伝えていきたい。そのためにも、今までやってきた保育のことをまとめていきたいとも思っています。子どもの感性をキャッチできる学生を育てたい。そこからお母さんの支援にもつながる。障がいのあるなしにかかわらず、気になる子と言われるような場合も、親子にそっと寄り添える先生が増えるのが大事です。保育士の土台をつくるという役割を大学の先生たちと一緒にやっていけたら。また大学と地域をつなげていく存在でいたいとも思っています」

学生が巣立つとき、羽地さんが必ず伝えることがある。

「それまで大学で守られ支えられてきた学生が一人の先生として社会に旅立つ時、きっと不安でいっぱい。これから先、苦しくなったり、泣きたくなったり、辞めたくなったりしたときは、子どもと一緒に花を摘んでごらん。そしたら、子どもは笑顔を返してくれる。小さなお花を小さな手に乗せるだけで、信頼だったり、思いやりだったり、笑顔が生まれるから、また保育が楽しくなるわよ」

保育の技術、理論を持ち、受け取る力、寄り添う人間力のある、スーパー保育士が目標と話す羽地さん。彼女の精神は若い世代へと受け継がれている。


ホッと安心できる場に


「木漏れ日喫茶」は無農薬野菜をつくる農場で行われており、主人で美術教師でもある玉城真さんがワークショップなども行う。妻で保健師の純さんと、子育て中の母親がホッとできる場を提供したいと、羽地さんに協力を依頼した。純さんは「バムちゃんは魔法使いのよう。どんな子も大きい心で受け入れる。スタッフも皆バムちゃんが大好きなんです」と話す。開催日は「うえのいだ」のSNSなどで告知。参加は事前申し込みが必要。


体験談と実践の講義が人気


沖縄女子短期大学で主に障がい児保育を教える羽地さん。保育士としての現場の経験、発達障がいの息子がいる母親としての経験、遊びの実践などがある講義は学生に人気だ。

2年生の宮城伶奈さん(19)は、「先生の授業はいつもおもしろくて、体験談があり分かりやすい。小学校、幼稚園、保育園と三つの教諭資格取得を目指しているので頑張りたい」と目を輝かせた。



羽地さんのパワーの種

Q.バムちゃんが幸せを感じるのは?
やっぱり、木漏れ日喫茶で子どもと遊んでいるとき。そして、大学の学生といるときも楽しい。木漏れ日喫茶では趣味のウクレレを弾いて、みんなで好きな歌を歌ったり、絵本を楽しんだり、泥遊び、色水遊び、花摘みなどいろんな遊びをします。企画は一応考えるんだけど、スタッフの子どもたちが「子どもスタッフ」としてあらかじめ内容を審査し、許可がないとできないんですよ(笑)。

木漏れ日喫茶は私が保育士として感性を磨くためにとても大事な場所。自分のやること、言葉、考えが、子どもの新鮮な目や姿で返ってくる。自分の感性を鈍らせないために、自然の中で、子どもと接したり、学生の素直な意見を聞くのはとても大事だと考えています。




プロフィル
はねじ・ちか

1967年生まれ。静岡県出身。保育士として地元で勤務。結婚を機に26歳で夫の郷里である沖縄に移住。那覇市や沖縄市で非常勤保育士として勤めながら社会福祉を学び、障がい児保育により深く関わる。2017年より「木漏れ日喫茶」で子育て支援に取り組む。沖縄女子短期大学の非常勤講師を務めていたが、4月より児童教育学科助教に就任。

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撮影/比嘉秀明 文/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1333>
第1658号 2019年5月9日掲載

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