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2018年9月13日更新

[彩職賢美]TSUNAGU OKINAWA 代表 琉球わんにゃんゆいまーる 代表理事の畑井モト子さん|人と動物と未来をつなぐ

9月20日〜26日は動物愛護週間。沖縄は犬猫の殺処分数で全国上位の常連という不名誉な現状がある。殺処分ゼロを目指し活動している畑井モト子さん(38)は、「飼い主のいない犬猫が増え続けるのはなぜか、人と動物が共生する未来のためにできることは何か、知って、考えてほしい」と訴える。

全ての犬猫の幸せを願って

TSUNAGU OKINAWA 代表
琉球わんにゃんゆいまーる 代表理事

畑井モト子 さん

愛称は「はちさん」。小柄で、はにかんだような笑顔が印象的。那覇のマチグヮーを歩けば、商店街の人々が親しげに呼び掛けてくる。「いつも私のことを家族のように心配してくれ、何か食べていけって、ごちそうになることがよくある」。うれしそうに話す表情の向こうに街の人々と関わってきた月日が見える。
8年前、愛猫2匹を連れ大阪から移住。「人付き合いは苦手。裏方が性に合う」とウェブデザイナーの仕事に就いた。沖縄では野良猫の多さが目に付く。殺処分数も全国上位と知り、ショックを受けた。「野良猫であっても、私の飼っている猫と命は同じ。野良猫だから殺されていいということはない」
畑井さんは県内の犬猫殺処分ゼロを目指し、2014年、任意団体「TSUNAGU OKINAWA」を設立。他の動物愛護団体や個人の活動家をサポートしたり、得意技術を生かしてフリーペーパー「つなぐマガジン」を年2回発行している。「冊子が沖縄の現状を知るきっかけになれば、気付きが生まれ、考えることにつながる。人々と動物と未来をつなぎたい」。その思いを原動力に、誌面の企画、取材、広告営業を一人で担う。
またイベントも毎年開催。「つなぐフェス」では那覇市中心商店街連合会とコラボレーション。動物愛護の啓蒙と街づくりを一緒に行い、動物好き以外の人にも共感を広げ、地域のつながりも生んだ。
昨年は畑井さんら県内四つの動物愛護団体で構成される「琉球わんにゃんゆいまーる」の一般社団法人化に伴い代表理事に就任。「人前に出ることが苦手だなんて言ってられない(笑)。いろんな出会いや活動、経験を通して思考が広がり、成長させてもらった。猫のおかげで私という人間も人生も変わった」と力強く語る。

沖縄県動物愛護管理センターの統計によると、犬猫の殺処分数は、2017年度で1209匹。12年度の6044匹から大きく減っているものの、畑井さんの表情は険しい。「県が引き取りを拒否した犬猫が、ボランティア団体や個人に押し付けられただけ」と数字の裏側を指摘する。
温暖で年中繁殖できる沖縄では野良猫の数がどんどん増え続ける。ふん尿被害を受ける住民とトラブルが起きたり、野良猫を虐待や殺害する事件も起きている。
これらのトラブルや殺処分を減らすため、畑井さんらは野良猫に不妊去勢手術を施す「TNR活動」に力を注いでいる。妊娠や出産といった猫本来の機能を奪うことから時に強い批判がくることもあり、畑井さん自身も葛藤はある。「TNR活動のときはいつも、ごめんよと謝りながらやっている」と心の内を吐露する。しかし、「殺処分になるのはほとんど幼猫。不幸な命や住民とのトラブルを減らすために、手術はいま考えられる最善策」と強調する。
近年では、うるま市、北谷町、南城市などが、地域主導で猫との共生を考え、TNR活動に積極的に取り組んでいる。「TNRは継続が必要。地域が主体的に動けるかが鍵になる。もっと理解を広げるため、啓発活動に力を入れていきたい」
命を守りたい、その思いが彼女をさらに強く、前へ進ませる。




繁殖と苦情を減らす「TNR活動」

TNR活動の様子

昨年生まれた「さくらねこ」は800匹

耳がV字カットされたさくらねこ

所有者不明の猫を捕獲(T=trap)して不妊手術を施し(N=nuter)、元の場所に戻す(R=return)活動、通称TNR活動が野良猫の繁殖制限対策として全国で広まっている。手術を受けた猫は、その印として耳先をさくらの花びらのようにV字カットされ、さくらねこと呼び、地域で一代限りの命を全うさせる。「琉球わんにゃんゆいまーる」では昨年、公益財団法人どうぶつ基金の協力、また、行政機関との協働により県内各地で約800匹のTNRを実施。その後、他市町村からも依頼がくるなど関心が広まっている。



「ねこサミット2018」開催

昨年開かれた「ねこサミット」の模様

人と猫が共生する社会について考える「ねこサミット2018」(主催:TSUNAGU OKINAWA)が、9月22日(土)、県立博物館の博物館講座室で開催される。沖縄の猫がたくさん登場する映画「Nyaha!Part#0ニャハ! パートゼロ」の上映や、元練馬区保健所動物担当職員で地域猫活動アドバイザーの石森信雄氏による講演会を行う予定で、畑井さんは「石森さんのお話はとても分かりやすい。野良猫と地域のトラブルをいかに減らしていくか、いろんな考え方が混在する地域社会でどう動けば理解を得られるかのヒントがあるはず。ぜひ多くの人に聞いてほしい」と呼び掛ける。先着100人、入場料無料。

<問い合わせ先>
tsunagu.okinawa@gmail.com




畑井さんのハッピーの種

Q.愛猫はどんな存在?
初代にゃん太は、メスの14歳。大阪時代に住んでいたアパートの屋上に続く階段でずっと鳴いていたのを保護しました。2年後に黒いオス猫のにゃん吉も保護し、2匹を連れて沖縄へ。ずっと苦楽を共にしてきたので、猫たちは私の相棒であり大親友。にゃん太=写真=は高齢で慢性腎不全を患っていますが、食欲もあり元気に過ごしています。にゃん太の方は、私のことを友達と思っているみたいです(笑)。


畑井さんの相棒、にゃん太




PROFILE
はたい・もとこ
1980年生まれ。奈良県出身。2010年、沖縄に移住。14年、県内の犬猫殺処分ゼロを目指し、任意団体「TSUNAGU OKINAWW」を設立。15年、県内の動物愛護団体で構成される「琉球わんにゃんゆいまーる」に参加。現在、代表理事を務めながら、「おきなわワンニャンの会ミュウ」「Smile Paws」「わんにゃんサポート沖縄」と共に、野良猫のTNR活動、啓発活動を行う。




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撮影/比嘉秀明・編集/赤嶺初美(ライター)
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1311>
第1625号 2018年9月13日掲載

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