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2018年9月6日更新

[彩職賢美]喜屋武愛香琉舞道場 教師の喜屋武愛香さん|琉舞で表現独自の世界観

琉球舞踊に魅せられ30年。舞踊家として舞台活動を続ける傍ら、「後進の育成にも力を入れたい」と沖縄市で琉舞道場も運営する喜屋武愛香さん(40)。自らが脚本を手掛け、主役を務める新作組踊「越来真鶴姫」の公演を今月9日にひかえ、「登場人物の心模様をうまく伝えられるように努めたい」と一心不乱に練習に励んでいる。

琉球舞踊に魅せられ30年

舞踊家
真境名本流英美の会
喜屋武愛香琉舞道場教師

喜屋武愛香 さん

「踊り手の思想とか、心の状況は見る者に伝わる。経験すればするほど、その奥深さにハマッっていくんです」と琉球舞踊の魅力を語る喜屋武さん。
舞踊家、指導者として心掛けているのは美しい姿勢を保つこと、琉舞の基礎である足の運びや体の使い方を鍛錬すること。「わずかな期間でも舞踊から離れると、体の感覚が鈍り、動きがぎこちなくなってしまう。大まかな動きはきれいに見えても、基礎をおろそかにすると全体のバランスに影響が出ます。基礎は日ごろの稽古により体に染みこませるもの」と強調する。
また、「琉舞は一つ一つの所作で、うれしさや悲しさなど細やかな感情を表現します。歌三線が奏でる音楽の雰囲気を感じ、歌詞の意味を理解して吸収する。吸収が深いほど、体からその思いがにじみ出て、踊り手の世界観が広がるものだと思います」と説明する。
うまく踊ろうと意識するとかえって力みが出ることが多い。舞台に出る際は、稽古で培ったことを出し切るよう心掛け、生徒にも同様に指導していると話す。「琉舞に限らず多彩なジャンルの舞台芸術に触れ、感性を絶えず磨きたい」。歌舞伎や洋舞なども鑑賞し、動きの雰囲気や指先まで神経の行き届いた表現を学ぶことも大事にしている。

琉舞を志すきっかけは、地域の行事で踊ったこと。「祖母が、地域の生年祝いでよく踊っていて、当時5歳だった私にも教えてくれました。私が踊ると地域の方が喜んでくれ、踊ることが楽しくなりました」。師匠の真境名英美氏に出会ったのは10歳の頃。「師匠の舞う姿と楽しそうな表情に憧れ、舞踊家になりたい気持ちが芽生えました。今の私があるのは舞の道に導いてくださった師匠のおかげ」と感謝する。
2006年、真境名本流二代目家元真境名由苗師から教師免状を授かり、翌年、真境名本流英美の会喜屋武愛香琉舞道場を開設した。その後は独演会なども経験。師匠から「自分の創作舞踊を発表しなさい」と背中を押されたのが挑むきっかけに。
創作舞踊の制作に挑んだ喜屋武さんは「まず、作品をイメージしながら内容に合った曲と琉歌を決めました。昔の沖縄というより、現代に生きる私自身の感覚を作品に反映させるようにしました」。その作品「綾結び」が2017年、国立劇場おきなわ「創作舞踊大賞」で奨励賞を受賞。その頃、さらに芸を深めたいと、歌三線と組踊も習い始めた。
「琉球芸能の土台を支えているのは歌三線や琉球音楽。琉球舞踊を追求し、後進に伝えていくにあたり、基になる歌三線、琉球音楽は基礎から学びたいと思っていました。また、組踊には音楽と台詞に昔の沖縄の人の思想が反映されている琉歌が多く使われているのに魅力を感じます」と喜屋武さん。
そんな中、沖芸大琉球芸能専攻OB会で新作を発表する話が上がり、自身の作品を発表する機会を得た喜屋武さんは、「沖縄市に関する作品をつくりたいと思っていました。沖縄市にあったといわれる越来城に興味が湧き、OB会会長らと越来城付近を周り、沖縄市郷土博物館の方に話を聞いたりして想像を膨らませました」と話す。当初、「舞踊劇」を想定して脚本を手掛けていたがOB会会長から「組踊の方が作者の思いを伝えられる」との助言を受け組踊作品として仕立てた。
「台詞の変更や曲の追加など、みんなで修正しながら完成させました。みんなの思いが詰まった作品です。多くの人に見てほしい」と呼びかけた。




保育園でも琉舞を指導

沖縄市の「社会福祉法人あさひ福祉会 みはら保育園」で舞踊を教えて10年目。「まずはしまくとぅばで『一つ二つ三つ(てぃーちたーちみーち)』を大きな声で発声することから始まり、沖縄のわらべ歌を一緒に歌いながら好奇心を引き出すようにしています」と話す。相手は、感受性の強い年齢の子たち。指導の最中は言葉選びを慎重にし、一人一人の表情の変化を見落とさないよう気をつけているという。


子どもたちに舞踊を教える喜屋武さん(左端)
※写真提供みはら保育園、下2枚は喜屋武さん



師匠の教え後進にもしっかり

週に2日は道場で琉舞の指導を行う喜屋武さん。「踊りを楽しむことが大前提だが、美しい姿勢と足の運びなど基礎力をしっかり習得してもらいたい」と言う。真境名本流は初代真境名由康師、二代目家元真境名由苗師からの教えを受け継ぎ、古典舞踊はもちろん、真境名本流ならではの創作舞踊を多く受け継いでいる。「指導者としてまだまだ未熟ですが、師匠である英美先生と先輩の先生方を見習い、私も技を磨きつつ、後進にも真境名本流の教えをしっかり伝えていけるような指導者になりたい」と力を込める。


道場の生徒たちとともに。最後列右から2番目が喜屋武さん


<問い合わせ先>
喜真境名本流英美の会 喜屋武愛香琉舞道場
090‐8290‐6896


9日にタイムスホールで
喜屋武さんが脚本を手掛け、主役を務める新作組踊「越来真鶴姫」(沖縄タイムス創刊70周年記念 タイムスホール5thアニバーサリー企画 沖縄県立芸術大学琉球芸能専攻OB会公演)が、9月9日(日)にタイムスホールで開かれる。同作品は、琉球王国時代の「護佐丸・阿麻和利の乱」を題材に、平和を願う女性たちの思いが描かれている。
■問い合わせ先/沖縄タイムス社読者局 文化事業本部 098‐860‐3588




喜屋武さんのハッピーの種

Q.休日の過ごし方は?
子どもたちも成長し普段はそれぞれが部活動が優先になり、休日でも家族全員がそろうことが少なくなりましたが、なるべく家族との時間を大切にしたいと思っています。先日は、大石林山に行き、気分もリフレッシュできました。また、とりためていたバラエティー番組を家族で見ることも癒やしになっています。稽古などで家を開けることも多いですが、夫や母が子どもたちのフォローをしてくれています。好きなことを続けられるのも家族の支えのおかげです。






PROFILE
きゃん・あゆか
1977年、沖縄市出身。真境名本流英美の会 喜屋武愛香琉舞道場教師。県立コザ高等学校卒業後、県立芸術大学音楽学部邦楽専攻楽劇コース(当時)へ進学。1999年、沖縄タイムス伝統芸能選考会グランプリ受賞。2011年、沖縄タイムス芸術選賞「舞踊の部」奨励賞受賞、17年、国立劇場おきなわ「創作舞踊大賞」奨励賞受賞(作品名/綾結び)。




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撮影/比嘉秀明・編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1310>
第1624号 2018年9月6日掲載

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スタッフ
安里則哉

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編集者
日々、課題ばかりですが、取材ではできる限り、対象者の人間性が引き出せたらと思い、仕事に努めています。食べることが大好き。そのためダイエットにも力を入れたところですが、いまだ実現せず(笑)。

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