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2018年4月5日更新

[彩職賢美](株)八千代バス・タクシー バスガイドの与那覇冴子さん|バスは私の舞台

「冴子おばあ」こと与那覇冴子さん(60)は、この道30年のバスガイド。テレビで9年間、しまくとぅばで島の話題を伝えていた宮古の有名人だ。「厳しい時代に豊かな心を持っていた先人たちを思うと、人も島もいとおしくなる。風景だけでなく、住む人の息づかいを伝えたい。バスは私の舞台!」。しまくとぅばや民謡を織り交ぜたパワー全開のガイドに、リピーターが絶えない。



宮古島編

人の息づかい伝えたい

(株)八千代バス・タクシー
バスガイド

与那覇冴子 さん

「本島から南西へ約300キロ、宮古島へようこそ、タンディガータンディ(ありがとうございます)。伝統工芸品に王朝時代の華やかな名残が息づき、その明るさの影に、悲しい戦争の歴史から立ち直った密やかな力強さも見え隠れするかと思います」。与那覇さんの案内には、先人への思いがにじみ出る。

地元、沖縄本島、県外からの多くの人を案内する与那覇さん。「宮古の自慢は海と人」と言う。「一番に見てほしいのは、海岸線。本当にきれいさー」。実感を込めて話すが、その魅力に気付いたのは、仕事を始めてから。それまで「当たり前だと思っていた」海の色に感激するお客さんに、宮古の良さを教えられた。

ガイドで紹介するため、宮古の民謡や民話、しまくとぅばを学んだ。「人頭税廃止の喜びを歌い踊る『クイチャー』や、教えの込められた民話、黄金言葉。先人たちは、こんなにもチムグクル豊かだったのか」。知るほどに、感銘を受けた。「だんだん風景だけでなく、目に見えない、島に住む人々の息づかいを伝えていけたらと思うようになった」。与那覇さんのガイドは、これまで積み重ねてきた知識や感性のたまものだ。

ガイド中は、お客さんとの会話を大事にする。「お客さまと掛け合いをして遊んでいるようなもの。会話を通して、島の外のことを知れる。毎回、違うお客さまと出会い、新しい気持ちで仕事ができる」。与那覇さんにとって、ガイドは天職だ。

現在の姿からは想像もつかないが、「もともとは引っ込み思案」。「しゃべるのも得意じゃない。人前で話すようになるとは思わなかったさ」と笑う。

4人の子どもを育てた与那覇さん。バスガイドになったのは、30歳、長子が4歳のころ。大変だったのは原稿の暗記で、米とぎや洗濯をしながら録音して覚えた。仕事中は立ちっぱなしで、9時間勤務もざら。土日や祝日出勤も多く、不規則な仕事でもある。子どもたちを実家に預けたり、兄弟に送り迎えをお願いして、家庭と両立した。「お客さまの『ありがとう。また来るね』の言葉に、1日1日がつながった。やっているうちに、楽しさが出てきた」。

そんな与那覇さんを指名する常連客も多い。中には、与那覇さんのガイドを聞いて宮古にハマり、好きが高じて旅行社の添乗員になり一緒に仕事をした人や、家族同様の付き合いで子どもたちを県外旅行に連れて行ってくれた人も。

好きな言葉は、「スグトゥヌ スグトゥバ ナラース」(仕事が仕事を導く)という宮古の黄金言葉。「自分から何かを始めるタイプではないから、話が来たらありがたく受けるようにしているさ」。

2006年、テレビ番組のレギュラーに抜擢される。きっかけは、バスガイドを通しての出会い。「私の案内が耳に残った」とお客さんからミュージカルの出演を頼まれ、それが縁で、テレビ局に声を掛けられた。一つ一つの仕事に丁寧に打ち込んだことが、与那覇さんを新たなステージへ導いてきた。「仕事を始めて宮古を知り、大好きになった」。
「あなたそのものが、宮古だねー」。最近、お客さんに言われて、一番うれしかった言葉だ。




ミュージカルでおばあ役
テレビに出演するきっかけになったのが、宮古島市民歌舞劇団「きずな」による、人頭税をテーマにしたミュージカル「貢布織女(こうふおりめ)の歌」への出演だ。与那覇さんは森の精霊役でおばあ役として出演=写真。「出番はそんなにないけれど、しまくとぅばで話す役だった。それで、テレビ番組の関係者から話が来た」と振り返る。本島の浦添市てだこホールでも公演をした。ことし3月25日には劇団ぴん座の劇「旧16日祭の日に」に先祖役で出演した。




趣味は小さなもの作り
「小さなものをちょこちょこ作るのが好き」という与那覇さん。小さな着物や草履、げたを手作りしている=写真。着物は着丈30~35センチ、草履は直径3.5センチ、ほどのミニサイズ。げたは、木材を糸ノコで切ってサンドペーパーで磨き、鼻緒は苧麻(ちょま)を芯にして1センチ、幅に細くした生地を巻いて仕上げた。「子どもたちから手が離れて、以前から興味のあったガンマリ(いたずら)を始めました。集中して打ち込めるのがいい」と話す。

八千代バス・タクシー
0980-72-0677




与那覇さんのハッピーの種
Q.仕事以外の時間は、何をしていますか?
小学3年生の孫=写真右=の面倒を見ています。娘が美容室を経営していて忙しいので、学童や家への送り迎えをしています。学童の発表会で、舞台の上で孫に感謝している、と言われてうれしかった。子育て中は母に助けてもらっていたので、今度は私の役割だなと思っています。もう一人の孫は、6カ月=写真左。横浜にいるのですが、毎日テレビ電話で顔を見て話しています。

(上記3点の写真はすべて与那覇さん提供)



PROFILE
よなは・さえこ
1957年水納島出身 4歳のころ、家族で宮古島へ移住。事務職をしていたが、結婚・出産後、仕事を離れる。バス会社でのガイドを経て、94年(株)八千代バス・タクシーに入社。2006年から9年間、テレビ番組「冴子おばあの宮古よもやま話」で、島々の話題を宮古のしまくとぅばで紹介する。10年みゃ~く方言大会最優秀賞を受賞。子ども4人、孫2人。



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撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1295>
第1602号 2018年4月5日掲載

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栄野川里奈子

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編集者
おいしいものに目がないガチマヤー(くいしんぼう)。2016年に国際中医薬膳師の資格をとりました。おいしく健康に!が日々のテーマ。

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