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2017年3月9日更新
【特集・いざ! 防災】普段から災害に備える・避難行動
災害はいつ、どこで、遭遇するか分からない。被害を最小限にとどめるためには、普段からの備えが重要だ。いざ地震が起きたときの身の守り方や準備しておきたいことなどを、沖縄市役所総務部防災課の職員と防災士に聞いた。
まずは身の回りの安全
防災では、被害をできるだけ最小限にするために必要な対策をとることが重要だ。
沖縄市役所総務部防災課の高嶺忠課長(56)は「確実に屋外へ避難できるようにするためにも、脱出経路に倒れそうなものを置かない。家具類は固定すること」と身の回りの安全を確保することが肝心だと話す。その上で、住んでいる地域の近くに川があれば「もし氾濫したら」、山に近ければ「土砂崩れが起きたら」、「この道が遮断されてしまったら」など、「災害時に起こりうる状況とその対策を具体的にイメージしておくと、いざという時に速やかに動ける」という。
また、「家族で話し合い避難場所をあらかじめ、できる限り細かく決めておく。避難の際は隣近所に声を掛けるなど、地域で協力し合うことも大切」と同課の新垣博也さん(57)。例えば、公園を避難場所に決めていたとしても、避難者で混雑する場合もある。公園のどこで落ち合うかなど、より具体的に決めておく必要があるという。
さらに「非常時に家族同士の連絡がつかない場合に備えて『災害用伝言ダイヤル』(171)の利用法(囲み参照)や地元のハザードマップを確認しておくことも忘れずに」と話す。
三角ゾーンに逃げる
地震発生時の対応として、防災士の稲垣暁さんは「まずは、自分の身を守ること。頭や腹部はもちろん、大動脈、大静脈が通っている首や手首を守る。毛布や新聞、雑誌、衣類など身近なものを頭からかぶるだけでもいい。また、屋内で揺れが起こったら三角ゾーン=左図参照=に逃げること」とアドバイスする。
エレベーターや社内、外出時などの行動にも注意したい。揺れが止まり避難する際は慌てず、火災に備えブレーカーを落として逃げること。「阪神・淡路大震災の際も、地震後、停電していても何らかの拍子に通電したのが原因で起こった通電火災で、家や財産を失った人が多かった。古い住宅ほど、一度停電し、何らかの原因で通電した場合、コンセントやタップから火災が起こる危険が高い」と稲垣さん。
避難時の持ち出し品についても、メガネや常備薬など、生きる上で絶対必要なものは、大きな柱の近くなどに懐中電灯とセットにして備えるなど、普段から置き場所を意識しておきたい。
避難時のポイント
①自分の身は自分で守る
②地域のみんなで協力
③事前の準備が大事!
地震発生時の身の守り方
家の中 頭保護し家具から離れる
地震の揺れを感じたら、座布団などで頭を保護し(周りに何もなければ腕で頭を保護する)、大きな家具から離れ、机の下など(※三角ゾーン参照)に隠れること。
慌てて外へ飛び出さず、揺れが収まったら玄関などの扉を開けて非常脱出口を確保。必要最小限の荷物を持ち、避難する。避難する前には二次災害防止のため、ガスの元栓をしめ、電気のブレーカーを落とす。もし、火災が発生した場合には可能ならば火の始末、火元から離れている場合は無理して火元に近づかないようにする。
エレベーター 全ての階のボタンを押す
エレベーター内で地震の揺れを感じた際は、すべての階のボタンを押し、最初に停止したところで降りる。
万が一、エレベーター内に閉じ込められた場合には、非常用ボタンや非常電話で通報し、落ち着いて救助を待つ。
商業施設 陳列棚や照明から離れる
施設の誘導係員の指示に従うこと。頭を保護し(揺れに備えて身構える)、陳列棚やつり下がっている照明などの下から離れるようにする。慌てて出口・階段などに殺到しないこと。
車の中 スピード落とし路肩に
慌ててスピードを落とさず、ハザードランプを点灯させながら徐行。周囲の状況を確認して路肩に停車させる。エンジンを止め揺れが収まるまで車内で待つ。
揺れが収まったら、カーラジオやスマートフォンなどで情報を確認し、ドアをロックせずキーをつけたまま車外に出て、安全な場所へ避難する。避難する際は貴重品や車検証も持つ。
その他、外出先
・道路を歩いている際に地震が起こった場合は、看板や建物の外壁など、落下物に注意し、頭を守りながら近くの公園など、建物の影響が少ない広いスペースに避難すること。
・スーパーなどで買い物中の場合は、買い物カゴや持っているかばんなどで頭を保護し、陳列棚など倒壊の恐れのある物から離れ、階段の踊り場や大きな柱の近くに避難する。
揺れを感じたら「三角ゾーン」へ
天井が落下しても比較的空間が残りやすいのが、大きな柱の近辺。その空間を三角ゾーンといい、室内の避難の際には逃げ込む場所として知っておきたい。
また、揺れを感じたらむやみに子どもの名前を呼ばないことも大事と稲垣さん。とっさに親元へ駆け寄ろうとして転倒したり、落下物の被害に遭う危険があるからだ。普段から揺れが落ち着いてから行動することを家族で話し合うことも大事だ。
テーブルの下や柱下などにできる空間が三角ゾーン
非常時の持ち出し品
非常時の持ち出し品として、最低限準備しておきたい物を沖縄市役所総務部防災課の高嶺課長と新垣さんのアドバイスをもとにリスト化。いざという時のためにチェックしてみよう!※1~3日ほど物資が届かないことを想定
災害用伝言ダイヤルの使用法
毎月1日・15日は体験可
家族同士の連絡がつかない場合や、離れた地域の親戚や知人と連絡を取る手段として、災害用伝言ダイヤルの使い方を確認したい。同サービスは災害時に開設されるが、体験もできる。
<体験可能日>
・毎月1日・15日(午前0時~午後12時)
・正月三が日(1月1日午前0時~1月3日午後12時)
・防災週間(8月30日午前9時~9月5日午後5時)
・防災とボランティア週間(1月15日午前9時~1月21日午後5時)
※伝言録音時間は30秒。保存期間は体験利用期間終了までで、蓄積数は電話番号あたり20伝言。
録音する場合
①「171」をダイヤルする
②アナウンスに従い、「1」を押す(暗証番号を利用したい場合の録音は「3」を押す)
③被災者の電話番号(例えば、自分の安否について家族らから問い合わせの可能性の高い電話番号)を入力
④アナウンスに従い「1」を押す(ダイヤル式の電話はそのまま)
⑤メッセージを録音する(伝言録音時間は30秒、電話番号あたり20伝言まで蓄積可能)
⑥「9」を押して終了
再生する場合
①「171」をダイヤルする
②アナウンスに従い、「2」を押す(暗証番号を利用したい場合の再生は「4」を押す)
③連絡を取りたい相手の電話番号を入力
④アナウンスに従い「1」を押す(ダイヤル式の電話はそのまま)
⑤繰り返し再生したい場合は「8」、次の伝言再生は「9」を押す
⑥再生後にメッセージを録音する場合は「3」を押す
<話を聞いた人>
沖縄市役所総務部防災課の高嶺課長(右)と新垣さん
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編集/安里則哉
『週刊ほーむぷらざ』特集 いざ!防災
第1547号 2017年3月9日掲載