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2015年2月12日更新

[彩職賢美]琉球大学教育学部附属中学校 教諭 平敷りかさん|対話通し共に考え 学び楽しい授業に

「共に学ぶことが楽しい授業を」と環境づくりに取り組む人がいる。琉球大学教育学部附属中学校の教諭、平敷りかさん。生徒が対話を通して考え、理解を深めるために考案された「協調学習 知識構成型ジグゾー法」を県内でいち早く取り入れ実践する。根底にあるのは「自分の可能性に気づいてほしい」との思い。生徒の視野を広げ、生きる力を育む。

彩職賢美|琉球大学教育学部附属中学校 教諭の平敷りかさん
 

考え方の違いを生かす

協調学習で個を生かす
琉球大学教育学部附属中学校 教諭

平敷 りかさん


「なぜ救急車のサイレンは、前を通り過ぎると音色が変わる?」との問いに、生徒たちは「救急車と同じスピードで走ったら、音色は変わるかな?」「パトカーのサイレンはどうだろう?」と仮説を立てていく。平敷さんが受け持つ理科の「協調学習」の授業のひとコマ。
少人数のグループに分かれた生徒が、設定された問いと資料を基に、みんなで力を合わせて解決していくのが同学習方式の特徴だ。「教師が知識を伝える受け身型とは異なり、知恵を組み合わせていく発信型の授業。一人一人が考えたことや、分かっていることを伝え合いまとめていく中で、生徒なりに問いに対する考えを深めていける」と平敷さん。生徒からは、「自分たちで答えを出せた!」、「もっと知りたい」、「教え合いができるので面白い」と反応もよい。
今でこそ、生徒たちの学びの変化に手応えを感じているが、これまで試行錯誤の連続だった。「教師が知識を伝える一斉授業では、自分の考えに自信がない子は発言できないまま。どこが分からないのか見極めが難しかった。もっと子どもたちの考えを引き出す方法がないかと考えながらも、私自身カリキュラムを教え込むのに必死でした」。
そんな中、研究主任になって出合ったのが、この「協調学習」だった。



グループごとに、それぞれの問いについて話し合いをする生徒たち。クラスはいつもにぎやか。平敷さんは必要に応じて声をかけるだけ。生徒の発信力を伸ばす


同学習方式は、東京大学 大学総合教育研究センター教授の三宅なほみ氏が認知科学を基に考案した。知識だけではなく、問題解決能力や思考力、コミュニケーション能力といった「21世紀型スキル」を育てる先進的な学習方式として、全国各地の学校で実践され始めている。
「生徒それぞれが答えを考える過程や理解度の違いを生かし合う内容。『コレだ!』と思いました」。学校側に働きかけ、授業でこの手法を取り入れた後、良さを実感。全教科の授業の一部に導入することに。
「生徒の話を聞いていると『ここまで考えていたんだ』と一人一人に対して発見があり、褒める機会も増えました」。何より大きい成果は、正解が出なくても今考えていることを表現したり、「自分で考えたい」と、生徒が自発的に学ぶようになったことだという。
教師の視野も広がった。協調学習では教師は必要な時に補助にあたるだけ。その分、生徒がどの程度理解しているかを確認でき、丁寧な指導が可能に。さらに同じ「型」の授業形式にすることで、他の学年や教科の教師とでも情報共有がスムーズになり、より生徒の「個性」が見えやすくなったとも。
正解にたどり着けなかったとしても、大切なのは考えること。「分からないことがあれば友だちや周りに聞いたり、対話することで視野が広がることもあります。そうして楽しく学んだ経験が、将来、実社会で生きていく力になると思う」。
思い描くのは、未来をたくましく生きる教え子たちの姿だ。


 

平敷さんのハッピーの種

Q.理科の面白さって何ですか?
目の前に不思議な現象があったら、それがなぜ起こるのかを考え、自分が持っている知識がつながって、発見というか理屈が分かる瞬間が楽しいですね。そういう経験を一回すると、考えるプロセスを応用して仮説を立てて広げていけるのが面白さです。

Q.幼いころはどんな子でした?
沖縄がすごく好きで、遺跡や自然など見て回っていました。県外とは異なる沖縄の特異性に興味深々でしたね。今でも印象に残っているのは、海洋博公園にあった沖縄館。青い海と日差し、建物のダイナミックな屋根と深い庇は、強烈でした。


「21世紀型能力を育む教育へのアプローチ」を開催

沖縄県主催の「新しい学び」についての講演会とワークショップが21日、琉球大学で開かれる。「知識構成型ジグゾー法」を考案した三宅なほみ氏のほか、研究者が講演。事例発表では平敷さんが協調学習の取り組み紹介も。
参加は無料(事前予約)。

特定非営利活動法人沖縄語学センター
098-943-1852
http://www.okilc.org​


彩職賢美|琉球大学教育学部附属中学校 教諭の平敷りかさん
PROFILE
平敷りか(へしき・りか)1970年、宜野湾市出身。96年、西原町立西原中学校教諭に。北谷町立北谷中学校や沖縄市立山内中学校での勤務を経て2010年から琉球大学教育学部付属中学校に勤務。理科の教科指導の傍ら校内研修の企画・運営を担当。NPOと連携した教育研究や「東京大学 大学発教育支援コンソーシアム推進機構」のセミナーに参加するなどネットワークづくりも



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撮影/比嘉秀明・編集/岸本貴子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1156>
第1439号 2015年2月12日掲載

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