彩職賢美
2017年2月2日更新
[彩職賢美]ウエディングプランナー 野村君代さん|島らしく演出
新郎新婦がサーフボードをこいで、海から浜辺へ登場! そんなオンリーワンの結婚式をプロデュースする野村君代さん(42)。島のロケーションを生かし、サプライズを演出するのを得意とする。生まれ育った島への誇りは人一倍、「オシャレに島らしく」がモットー。「友だちのように頼ってほしい」。そののびやかな雰囲気に、挙式後も姉のように慕う花嫁は多い。
島でオンリーワンの挙式
ウエディングプランナー
野村君代さん
「結婚式をプロデュースするのは出産と一緒。陣痛の時に『そうだった、この痛みだった〜』と思い出すけど、産むとすごい感動する。新しいものを生み出す喜びがある」。笑顔に、充実感があふれている。
新郎新婦の希望をカタチにする、コミュニケーション力と提案力が武器。打ち合わせでは、好みのスタイルから、好きなカラー、映画までじっくり聞き取り、式のイメージを固めていく。海から新郎新婦がサーフスポーツの「SUP」で登場したり、商工会とコラボレーションしたひまわり畑や南の島の星まつりでの公開ウエディングなど、ユニークな式も多い。「どれだけお二人のイメージに近づけるか。一組一組ストーリーが違うので、同じ結婚式はない」。「島らしさ」を意識しながら、個性的な挙式をプロデュースしている。
ウエディングプランナーは一見華やかだが、仕事はハード。日程や会場、予算の調整から、プランの提案、当日の進行まで内容も幅広い。「前日まで天候やゲストの到着具合などに心を配り、式が始まれば戦場(笑)」。当日は、手配や進行を確認しつつも、親のような気持ちで新郎新婦を見守る。「衣装や小物を運んだり、会場作りに関わったり。体力仕事で翌日はヘトヘト」だが、花嫁からの「お願いして良かった」「石垣島で挙式できてうれしい!」という声に、疲れが吹き飛ぶ。「幸せな仕事をさせてもらっているなぁと実感します」。結婚式では、毎回感動して涙を流す。
32歳で姉妹が営む美容室と連携し、婚礼衣装を貸し出すサロンの経営を始めた。そのほか、司会やリゾートウエディング、フォトウエディングのプロデュースなど、10年間で約500組のカップルに関わってきた。
未経験からの挑戦。仕事の支えとなったのが、趣味で10年続けた琉球國祭り太鼓と、前職のバスガイドでの経験だ。共通するのは、「ゲストに楽しんでほしい」という思い。バスガイドでは大型バスの乗客40人以上、祭り太鼓では観客に向けて、空間も含めて、いかに演出するかを工夫してきた。祭り太鼓では、支部長も務めて公演をプロデュース。曲順や照明、衣装、他団体とのコラボレーションなどアイデアを練った。「演出は楽しくて、自分に合っているなと思えた。祭り太鼓で学んだ、感謝を持って人を迎え、もてなす『迎恩』の精神は今も生きています」。
仕事でウエディングに関わる3年前に行った自身の結婚式も糧になっている。夫と二人、高校生とダンスをし、祭り太鼓の仲間とエイサーを踊った。「やりたいことは、すべてかなえてもらいました。新郎新婦がどうもてなしたいか、ゲストがどう祝いたいかが重なれば、型にはまらなくてもいい」。現在にも通じるモットーは、その時に生まれた。昨年2月、「もっと自由にプロデュースに専念したい」と、ウエディングプランナーとして独立した。
今後の目標は、島全体のリゾートウエディングのポータルサイトを立ち上げること。「宿泊、観光、全体で石垣のブランド力を上げてメモリアルな島にして、もっとお客さんに来てもらいたい」。「島のために」という思いが、野村さんを動かしている。
自然の中で、サプライズ!!!
個性的な挙式をプロデュースしてきた野村さん。マリンスポーツのSUP(大きなサーフボードの上に立ち、パドルでこぎながら進む)を用いたSUPウエディング(上写真)では、新郎新婦が海から会場の浜辺へ登場し、ゲストを沸かせた。「サンスマイルウエディング」(下写真)は、ひまわり畑の中に会場を設けて式を挙げた。「会場の演出も仕事の一つ。島の自然を生かし、いかに驚いてもらうか。見て、触れて、五感で楽しんでほしい」と野村さん。自由な発想で、オンリーワンの挙式を実現させている。
祭り太鼓で演出に開眼!
自身の成人式の式典で、創作太鼓集団「琉球國祭り太鼓」の公演を見てハマった野村さん。21歳で島に戻った直後、同団体の八重山支部に加入し、10年間活動した。そこで、公演をプロデュースする演出の面白さに目覚めた。「入場や退場のタイミング、曲順や照明を考えるのが楽しくて。演出を担当するには経験が必要なので、経験を積んで、任された時はうれしかった」。演出を手掛けたほか、県外、海外など多くの公演に出演した。現在は卒業したが、今もOGとして参加することがある=右写真。※3面の写真はすべて野村さん提供
野村さんのハッピーの種
Q.リフレッシュの方法は?
地域での活動です。仕事とは異なる環境に身を置くことが、リフレッシュになります。
商工会の女性部の常任委員としてみそづくりやバザーに関わるほか、消防団に参加し、親子防災教室で講師を務めたことも。また、シマクトウバを通して島のことを伝えたいと、司会をするメンバーで構成する「むーるまーる」を昨年夏に立ち上げ、学校を回ってシマクトウバで童謡を歌っています。いろんな団体に身を置くと、いろんな目線で島を見られる。そうして得られたつながりを生かして、何かの時に異なる団体を掛け合わせるのも楽しいです。
PROFILE
野村君代(のむら・きみよ)1974年石垣市出身。92年八重山高等学校卒業、県外で就職。95年島に戻り、琉球國祭り太鼓八重山支部に所属し支部長を務める。バスガイドとして8年勤務。2007年ウエディングドレスのサロンを経営。2015年2月、フリーのウエディングプランナーとして独立。ウエディングビューティフルジャパン認定ウエディングスペシャリスト。3人の子どもの母。
[今までの彩職賢美 一覧]
撮影/比嘉秀明・編集/栄野川里奈子
『週刊ほーむぷらざ』彩職賢美<1242>
第1542号 2017年2月2日掲載